NHK MUSIC SPECIAL 坂本
龍一 Playing the Piano in
NHK & Behind the Scenes
の再放送を観ました。
がん闘病中の身体を押して、
ご自身がその響きを愛したと
いうNHK509スタジオで行わ
れた収録の一部。体調を考慮
して1日2、3曲、約1時間の
収録が8日間行われたそう。
今となってはまさに命を削る
ような演奏。その中でも生ま
れ続けていた完成日を楽曲名
にした新曲の存在という驚き
枯れ枝のように細った指から
は命の息吹のような音楽が奏
でられ生と死のせめぎ合いを
目撃しているかのようです。
心を揺さぶられる渾身の演奏
は鎮魂なのだと思いました。
「芸術は長く 人生は短し」
という本人の言葉どおり、命
ある限り続いた創作の灯が背
後から忍び寄る死の陰にかき
消される前に、自らが自らの
魂を鎮めているようでした。
やり終える人生などないのだ
と、つくづく思いました。自
ら命を絶ちでもしない限り、
誰もみなあれもこれもと思い
ながら、とっちらかしたまま
突然やってきたお迎えに飛び
乗ってこの世を去っていく。
それで、いいのだと。
氏のご冥福をお祈りします。