昨日の続きをお話しましょう。
いよいよ、瓦礫の中にいる人を探すのですが、いきなり隠れても犬は探せません。
まずは、告知BOXという箱の中に人(遭難者)が入るのですが、
入り口を開けたまま入って、犬にもその状態を見せます。
しゃがんだ状態でやっていたことを、箱の中に身体を入れている人を探すわけです。
これだと、まだ探してるという感じはしませんね。
これを根気強く繰り返すことで、犬の探したいと言うモチベーションを上げていくわけです。
いよいよ箱の扉を閉めていくのですが、やはりいきなりは閉めません。
遭難者が入って行く様子を犬は見ています。
扉は少し隙間を開けておきます。
犬が駆け寄ると、隙間から遭難者をすぐに確認できるようにします。
箱に慣れてきたら、別の場所にも隠れます。扉は少し開けて。
これを繰り返すことで、犬は狭いところに閉じ込められている人を探すのだと
理解していきます。
姿が見えなくなることで、鼻を使うようにもなっていきます。
最初は、隙間から目視して吠えていますが、徐々に効率よく探すために鼻を使いはじめます。
犬が、自分自身の素晴らしい能力に気付く瞬間でもあります。
ワクワクしますね。
少しづつ、犬には見せないで隠れるとか、扉を閉めるとか、
少し難易度を上げて、瓦礫を乗り越えた先に隠れるなど、
いろんな状況を想定しながら、訓練をしていきます。
難易度を上げていくと、当然、仮想遭難者に到達できるまでの時間が長くなり、
モチベーションが保てなくなってくる可能性もあります。
仮想遭難者に指示をして、声をかけて、犬にヒントを与えてあげることもします。
姿は見えずとも、声を頼りに探し出せたことで、犬にとっては引き出しが増える訳です。
救助した時は、仮想遭難者に十分に褒めてご褒美、または遊んでもらうようにします。
その際、ハンドラーは、声をかけたり褒めたりせずに、あくまでも仮想遭難者にまかせます。
これは、探すことと探し出したことで、報酬を得られたと犬に思わせるためです。
目的の強化ですね。
ハンドラーが褒めたり、ご褒美をあげると犬はあくまでも
ハンドラーのために働くという意識になりがちです。
ハンドラーに対する依存度も高くなりかねない。
目的は、救助ですから、救助する喜びを犬が感じることができるようにします。
災害救助犬になるために欧介としてきたことのほんの1部分を書いただけですが、
少しでも興味を持っていただけると、うれしいです。
今回の震災で海外からも多くの災害救助犬がやってきて被災地域で活動をしました。
日本の災害救助犬の活動も報道などで紹介され、注目を集めています。
「ウチの犬も救助犬に」と、思っていただいている方もいると思います。
しかしながら、救助犬の育成は時間がかかります。
日々積み重ね、根気強く努力をしていかなければならず、大変なことです。
被災地の復興も長期に渡ることと思われます。
今だけじゃない、1年後も2年後も続けていく支援が必要です。
もしも、継続していく支援をと考えていただけるのであれば、
災害救助犬の育成もそのひとつだと思います。
欧介兄さんは、次回また救助犬の試験を受けれるかどうかはわかりませんが、
体力の続く限り、精神力の続く限り、欧介が捜索したいと思っているかぎり、
かかわり、継続していくことができれば、それも協力・支援の一つなのかなと思っています。
RDTA救助犬訓練士会http://www.rdta.or.jp/
もっともっと奥が深いのですね。奥が深いとは思っていましたが知らないことがたくさんでお勉強になりました。
救助犬の活躍の様子はあまりテレビでは放送されませんがたくさんの方が動いていらっしゃる。
頭が下がる思いです。。。
こうして分かりやすく書いてくださって有難う!
こちらこそ長い文を読んでいただいてありがと~♪
救助犬は服従はもちろん大事。
勝手に探してたら体力ばかり使っちゃうので、
ハンドラーが指示をした方向を探すことで、
効率よく捜索活動ができるのです。
だけど、いちいち指示していたらきりがないので、
訓練で養った引き出しを広げながら、犬自身の判断で捜索するんです。
犬は本当に奥が深い生き物です。