私は、服従訓練で最も重要かつ難しいのは、「脚側行進」だと思っています。
人によっては、「なんで犬にツケをして歩かせなければいけないのか。。。?」と
疑問に思うかもしれません。
もちろん、普段のお散歩で常に「ツケ」で歩かせる必要は私もないと思います。
そしてこのような発想は、形ばかりを見て、教える本当の目的を理解できていないためだと
私は、思うのです。
「脚側行進」は、お散歩を楽にするためのものじゃないし、飼い主の見栄のためでもありません。
「脚側行進」は、ウチでは「アト」という言葉を使用しています。
「脚側停座」つまり、ハンドラーの左側に犬が同じ方向を向いて、
犬の肩がハンドラーの膝の延長線上に来るように座るというある一定の形があります。
これの連続が「脚側行進」です。
ほとんどの人が、「脚側行進」は犬がハンドラーの横をついて歩く、と理解していますが、
実は、脚側停座の連続なので、教える段階で、まずは「脚側停座」を教え、
1歩、2歩、3歩と段階を踏んで歩く距離を伸ばしていくのです。
「脚側停座」の位置は、上に書いた位置ですが、犬のお尻に注目してください。
外側に開いてハンドラーとハの字になってしまっていると、歩きだした時もハの字です。
とくに意欲のある子は、飼い主に注目してほしくて、歩くと前へ前へと出たがるので、
ハの字になりやすいです。
そうすると、どんどん離れて行き、脚側行進と言うより、お散歩になってしまいます。
そうならないために、犬のお尻は人の足に巻きつくように後ろ側へ入れるように教えます。
そして歩きだすと、犬と人が並行に歩いているように見えるのです。
このように書くと、「なんだ、やっぱり形なんじゃん!」って思うかもしれません。
ただ、お散歩のように歩くのと、この形を教えることの違いは、
飼い主と犬で試行錯誤する、その過程が私は大事だと思うのです。
中には、形を教えるためにチョークチェーンを無理やり引いたり、「NO」ばかり言って
犬を動かし、形だけを手っ取り早く教え込む人もいます。
でも、服従訓練はそんな単純なものではありません。
犬が定位置を習得するためにはどうしたら理解できるんだろう。
褒めるタイミングはいつなんだろう、ご褒美をあげるタイミングは
いつならもっとも効果的なんだろう、手の動かし方や、身体の使い方をどうしたら
犬に伝わるんだろうか。。。
理解したら、どうしたら犬が自信を持って行動できるようになるのだろうかを考える。
意欲を持って、やりたいと思うことに変えるには、何をしたらいいのだろうか。
こうした試行錯誤で犬を深く理解できるようになるのです。
表面的なものにとらわれないで、「オスワリ」一つでもいいのです。
どうしたらオヤツが無くてもやってくれるのか?
どうしたら勝手に立ち上がらないのか?
どうしたらモジモジしないで落ち着いて座ってられるのか?
そういう犬とのやり取りから自分の犬を理解することはたくさんあります。
けど、突き詰めなければ、ただ芸をさせるのと変わらないんです。
犬がお散歩の時に飼い主の立ち話に付き合って、自発的に座った。。。
それは褒めるに値することではあると思います。
しかし、それは犬にとって当り前のことなんじゃないかなと思います。
基本的な生活や運動など、満足している犬であれば、飼い主がリラックスしている状態なら、
その傍らで、落ち着いているのが普通です。
もっと、深く犬の気持ちや犬の行動を理解するには、
何かをきっちり教えてみる、犬に伝えてみる、そうすると見えてくるものがあると思います。
私にとっては、「停座の位置」それが基本であり、原点だと思っています。
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