前回取り上げたリニューアル後の川原湯共同浴場の素晴らしいお湯で気分が高揚した私は、その気勢のまま「湯めぐりこけし」を入手して、蔵王のお宿のお風呂を巡ることにしました。といっても何だかんだで蔵王へは幾度も足を運んでおり、入湯済のお宿も多いので、今回は未だ訪れたことのないお宿を優先して訪うことにしました。まず向かったのは「堺屋旅館」です。
こちらのお宿は、温泉ファンの間では旧館の「源泉風呂」が評判でしたが、2012年に発生した漏電火災により旧館が焼失してしまい、現在では火の手を免れた鉄筋コンクリ造の新館のみで営業を続けています。蔵王温泉ではその2年前(2010年)にも「かわらや旅館」が烏有に帰しており(その後見事に復活)、もっと遡れば1983年の蔵王観光ホテル火災では近隣の旅館が類焼した他、一酸化炭素中毒による犠牲者も出ています。蔵王の温泉街は古い木造建築が密集していますし、硫黄で建材が腐食しやすいため、漏電等も発生しやすいのでしょうね。2014年秋の報道では蔵王山の火山活動が話題になっていますが、私個人としては火災対策も是非万全を期していただきたいと願っています。
蔵王体育館の斜め前にある玄関からお邪魔して、湯めぐりこけしを提示しながら入浴をお願いしますと、女将さんが丁寧に対応してくださいました。
ロビー前の階段を下りて浴室へ。火災後の営業再開に際しては、館内改修が行われたらしく、廊下は古い構造と新しい内装材が混在していました。
脱衣室も非常に綺麗で、隅々まで実によく清掃が行き届いており、気持ちよく使うことができました。なお洗面台は3台並んでおり、籠は24個用意されています。また扇風機も設置されていますから、湯上がりのクールダウン対策も問題ありません。
脱衣室から浴室へ入った瞬間、タマゴ臭が混じった明礬臭がプンと鼻孔を突いてきました。浴槽側の大きな窓から採光がたっぷり得られる浴室は、内湯にありがちな閉塞感を払拭するに十分な明るさが満ちています。なお窓は曇りガラスであるため、景色は期待できません。浴室内もきっちり手入れされており、訪問時には腰掛けや桶が各カランの前できちんとセッティングされていました。
出入口を挟んで二手に分かれた洗い場には、計7基のシャワー付きカランが設置されており、シャンプー類も備え付られています。カランのお湯は真湯です(もしカランに源泉なんて使ったら、水栓がすぐに壊れちゃいますし、石鹸やシャンプーだって全然泡立ちません)。
浴槽は縦長のL字型で、奥行き(長辺)は約6m、奥側の幅は約5m、手前側の幅は約2m弱といったところ。少なくとも15人以上は余裕で同時入浴できそうな容量があります。槽内はタイル張りですが、縁には木が用いられ、湯船に張られた白濁のお湯とともに、温泉らしい風情を醸し出していました。そしてその縁からお湯がしっかり溢れ出ていました。
岩の上っ面を円形にグリグリと刳り抜いたような形状の湯口は、イオウによって黄色く染まっており、お湯の吐出口まわりには湯の華が溜まっていました。湯船では外光の影響か、明るいグレーに濁っており、底がわずかに見える程度の濁り方を呈しています。
湯口のお湯を口に含んでみますと、蔵王らしい収斂酸味が感じられるのですが、あくまでこの時の私個人の感覚として、蔵王の他源泉よりフルーティであり、まるで柑橘類の果汁のような味わいが強いように思われました。とはいえ強い酸性であることには変わりなく、フルーティっぽさで私を油断させたお湯は即座にアグレッシブさを発揮し、テイスティングした口の中はアルミホイールを齧った時のような不快感が走りました。その一方、酸性泉らしいニュルスベ浴感が実に気持ちよく、また加水の有無は不明ですが湯船では41~2℃という実に入りやすい湯加減となっていましたので、その心地良さのため、私は入浴中についつい微睡んでしまいました。
強さと優しさを兼ね備えている、武士道精神のようなお湯と、私のような日帰り入浴にも丁寧に接客してくださる女将さんに、自然と心がほだされる、素敵なお宿でした。
堺屋1号・2号・3号源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 49.8℃ pH1.7 溶存物質3116mg/kg 成分総計3587mg/kg
H+:20.1mg(42.81mval%), Na+:47.8mg(4.47mval%), Mg++:59.7mg(10.54mval%), Ca++:91.2mg(9.77mval%), Al+++:123.7mg(29.52mavl%), Fe++:14.4mg,
F-:15.7mg, Cl-:354.7mg(21.58mval%), HSO4-:838.1mg(19.10mval%), SO4--:1247mg(57.47mval%),
H2SiO3:223.1mg, H2SO4:42.2mg, CO2:460.3mg, H2S:10.8mg,
山形駅より山交バスの蔵王温泉行で終点(蔵王温泉バスターミナル)下車、徒歩4~5分(400m)
山形県山形市蔵王温泉上の台64 地図
023-694-9322
ホームページ
日帰り入浴時間不明
湯めぐりこけし利用可能
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5
こちらのお宿は、温泉ファンの間では旧館の「源泉風呂」が評判でしたが、2012年に発生した漏電火災により旧館が焼失してしまい、現在では火の手を免れた鉄筋コンクリ造の新館のみで営業を続けています。蔵王温泉ではその2年前(2010年)にも「かわらや旅館」が烏有に帰しており(その後見事に復活)、もっと遡れば1983年の蔵王観光ホテル火災では近隣の旅館が類焼した他、一酸化炭素中毒による犠牲者も出ています。蔵王の温泉街は古い木造建築が密集していますし、硫黄で建材が腐食しやすいため、漏電等も発生しやすいのでしょうね。2014年秋の報道では蔵王山の火山活動が話題になっていますが、私個人としては火災対策も是非万全を期していただきたいと願っています。
蔵王体育館の斜め前にある玄関からお邪魔して、湯めぐりこけしを提示しながら入浴をお願いしますと、女将さんが丁寧に対応してくださいました。
ロビー前の階段を下りて浴室へ。火災後の営業再開に際しては、館内改修が行われたらしく、廊下は古い構造と新しい内装材が混在していました。
脱衣室も非常に綺麗で、隅々まで実によく清掃が行き届いており、気持ちよく使うことができました。なお洗面台は3台並んでおり、籠は24個用意されています。また扇風機も設置されていますから、湯上がりのクールダウン対策も問題ありません。
脱衣室から浴室へ入った瞬間、タマゴ臭が混じった明礬臭がプンと鼻孔を突いてきました。浴槽側の大きな窓から採光がたっぷり得られる浴室は、内湯にありがちな閉塞感を払拭するに十分な明るさが満ちています。なお窓は曇りガラスであるため、景色は期待できません。浴室内もきっちり手入れされており、訪問時には腰掛けや桶が各カランの前できちんとセッティングされていました。
出入口を挟んで二手に分かれた洗い場には、計7基のシャワー付きカランが設置されており、シャンプー類も備え付られています。カランのお湯は真湯です(もしカランに源泉なんて使ったら、水栓がすぐに壊れちゃいますし、石鹸やシャンプーだって全然泡立ちません)。
浴槽は縦長のL字型で、奥行き(長辺)は約6m、奥側の幅は約5m、手前側の幅は約2m弱といったところ。少なくとも15人以上は余裕で同時入浴できそうな容量があります。槽内はタイル張りですが、縁には木が用いられ、湯船に張られた白濁のお湯とともに、温泉らしい風情を醸し出していました。そしてその縁からお湯がしっかり溢れ出ていました。
岩の上っ面を円形にグリグリと刳り抜いたような形状の湯口は、イオウによって黄色く染まっており、お湯の吐出口まわりには湯の華が溜まっていました。湯船では外光の影響か、明るいグレーに濁っており、底がわずかに見える程度の濁り方を呈しています。
湯口のお湯を口に含んでみますと、蔵王らしい収斂酸味が感じられるのですが、あくまでこの時の私個人の感覚として、蔵王の他源泉よりフルーティであり、まるで柑橘類の果汁のような味わいが強いように思われました。とはいえ強い酸性であることには変わりなく、フルーティっぽさで私を油断させたお湯は即座にアグレッシブさを発揮し、テイスティングした口の中はアルミホイールを齧った時のような不快感が走りました。その一方、酸性泉らしいニュルスベ浴感が実に気持ちよく、また加水の有無は不明ですが湯船では41~2℃という実に入りやすい湯加減となっていましたので、その心地良さのため、私は入浴中についつい微睡んでしまいました。
強さと優しさを兼ね備えている、武士道精神のようなお湯と、私のような日帰り入浴にも丁寧に接客してくださる女将さんに、自然と心がほだされる、素敵なお宿でした。
堺屋1号・2号・3号源泉
酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 49.8℃ pH1.7 溶存物質3116mg/kg 成分総計3587mg/kg
H+:20.1mg(42.81mval%), Na+:47.8mg(4.47mval%), Mg++:59.7mg(10.54mval%), Ca++:91.2mg(9.77mval%), Al+++:123.7mg(29.52mavl%), Fe++:14.4mg,
F-:15.7mg, Cl-:354.7mg(21.58mval%), HSO4-:838.1mg(19.10mval%), SO4--:1247mg(57.47mval%),
H2SiO3:223.1mg, H2SO4:42.2mg, CO2:460.3mg, H2S:10.8mg,
山形駅より山交バスの蔵王温泉行で終点(蔵王温泉バスターミナル)下車、徒歩4~5分(400m)
山形県山形市蔵王温泉上の台64 地図
023-694-9322
ホームページ
日帰り入浴時間不明
湯めぐりこけし利用可能
シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:★★+0.5