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岩木山の名湯嶽温泉。週末になれば白濁した硫黄のお湯を求める観光客で賑わいます。しかしながら、私は温泉めぐりを趣味としている身でありながら、花より団子なメンタリティであるため、嶽と言って真っ先に連想するのは、温泉ではなく、いまや知名度が全国区になりつつある名産のトウモロコシ(嶽キミ)だったりします。
尤も、嶽キミの旬は夏のお盆以降から初秋にかけてですので、それ以外のシーズンは、硫黄の白濁湯が当地を訪れる唯一無二の目的になります。某日訪れた際には上画像の「赤格子館」で日帰り入浴してまいりました。こちらは簡易郵便局を内包している珍しいお宿です。私は以前2度ほど日帰り入浴を断られた苦い経験があり、今回は3度目の正直を信じて、湯めぐり手形を片手に訪ったところ、快く入浴を受け付けてくださいました。
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地形に沿って徐々に上がってゆく長い廊下をどんどん進んで浴室へ。
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廊下のどん詰まりに紺と紅の暖簾が下がっていました。
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温泉ファンからシンプル・イズ・ベストと評されているこちらの浴室は、その言葉通り余計な設備や装飾の類が無く、木板の床の上にポリバスが一つ据えられているばかり。また後から追加されたと思しき補強用の柱が3本立っており、草臥れゆく湯屋の天井を支えています。画像だけ見たら、仮設のお風呂と勘違いしそうな雰囲気ですが、それだからこそお湯とじっくり対峙できるのであります。
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洗い場も簡素で、押しバネ式の水道栓が一つ、そして熱いお湯が上向きに吐出され続けているパイプが一つあるだけです。そのお湯はいかにも嶽温泉らしい硫黄の湯なのですが、湯船に供給されているお湯(分析表に掲載されている組合のお湯)よりはるかに熱いので、もしかしたら組合の集湯槽とは別箇の源泉なのかもしれません。なおボイラーの沸かし湯などは設けられておらず、掛け湯するには酸性のお湯を使うことになるため、石鹸やシャンプー類などは用意されていません。また水道の配管は硫化によって黒く変色しており、迂闊にその配管に触ると手が黒くなっちゃいますので注意。
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私が訪れるまでしばらく入浴者がいなかったのか、ヒバ材と思しき床板は、浴槽からオーバーフローするお湯によって、一面硫黄で白く覆われていました。そしてその上を歩くと、くっきりと足跡が残りました。ただし、このような状況ですと、床は非常に滑りやすいので要注意です(と、実際に滑ってバランスを崩した私が申しております)。
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浴槽は3~4人サイズのポリバスです。この手のバスタブは簡易的な浴場でよく見られますが、お宿で恒常的な浴槽として用いられているケースは、なかなか珍しいのではないでしょうか。だからと言って侮るなかれ、浴槽の容量がコンパクトである分、お湯の入れ替わりも早く、同じ源泉を引いている嶽温泉の他宿と比べて、鮮度感がいくらか優れているように感じられました。
湯船のお湯は、はじめのうちは無色透明なのですが、私が入るとザバーっと音を立ててお湯が勢い良く溢れ出るとともに、槽内が撹拌されて湯の華は舞い上がり、忽ち底が見えないほど強く白濁しました。
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お湯は上画像の湯口よりドバドバ供給されており、その投入量は浴槽の容量に対してかなり多いため、入浴中にお湯から伝わるフレッシュさが際立っています。浴槽からは惜しげも無くザブザブと床へお湯が捨てられていました。
析出・結晶がビッシリこびりついたこの湯口は、お湯の濃さを物語っているようで、これを目にした私は興奮が抑えきれませんでした。お湯からは刺激を伴うイオウ臭が放たれており、口腔内を収斂される酸味を有し、酸性泉らしいヌルスベ浴感が楽しめます。
とにかくこのお風呂は、投入されるお湯の量が素晴らしく、その光景、その鮮度には心の底から惚れました。新鮮な食材は余計な手を加えずにシンプルな調理法でいただくのが最も美味しいわけですが、温泉もこれに然りであり、コンディションが良ければ、奇を衒わずにシンプルなお風呂で湯浴みするのが、そのお湯の良さをヴィヴィットに感じる最善の方法なのであります。そのことを再認識させてくれた素敵なお風呂でありました。
嶽温泉旅館組合4・5号集湯槽、6~8号集湯槽(再)
酸性・含硫黄-カルシウム-塩化物温泉 48.2℃ pH2.03 湧出量測定不能(自噴) 溶存物質2.314g/kg 成分総計2.991g/kg
H+:9.4mg(23.08mval%), Na+:128.5mg(13.83mval%), Mg++:59.5mg(12.12mval%), Ca++:275.8mg(34.04mval%), Al+++:53.2mg(14.64mval%), Fe++:5.5mg, Fe+++:1.5mg,
Cl-:1130mg(81.09mval&), Br-:2.0mg, I-:0.2mg, S2O3--:2.6mg, HSO4-:90.8mg, SO4--:289.0mg(15.32mval%),
H2SiO3:213.1mg, HBO2:20.5mg, H2SO4:2.1mg, CO2:676.6mg, H2S:0.8mg,
(平成24年12月10日分析)
弘前駅より弘南バスの枯木平行で「嶽温泉」下車
青森県弘前市大字常盤野字湯の沢21 地図
0172-83-2734
紹介ページ(嶽温泉旅館組合公式サイト内)
日帰り入浴時間8:00~19:00
300円(湯めぐり手形利用可能)
備品類なし
私の好み:★★★