温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

フェリーと列車で北海道から三陸へ縦断 2014年夏 その1(フェリーと八戸の朝市)

2015年06月21日 | 旅行記
前回記事「日高本線の完全復旧を願って。バスと列車で襟裳岬をまわる 2014年夏 後編」の続編です。

前々回および前回の記事で述べてきたように、2014年夏の北海道旅行では、早朝に帯広を発って路線バスで襟裳岬をめぐり、更にバスと日高本線を乗りついで苫小牧までやってきた。ここからフェリーで青森県八戸へと渡って、三陸海岸に沿って南下し、鉄道を乗り継いで盛岡まで向かう計画である。今回とそれ以降の記事では、苫小牧到着から先のフェリー乗船記や三陸紀行について述べてゆくことにする。当地はそろそろ本格的な観光シーズンに突入するので、もしこの記事をご覧になって、ちょっとでも興味を抱いて下されば幸いだ。

<<旅程>>



・1日目
帯広7:15→【十勝バス】→9:37広尾10:00→【JR北海道バス】→10:57襟裳岬(観光・昼食)13:27→【JR北海道バス】→14:20様似14:34→【JR日高本線】(※)→17:53苫小牧18:28→【室蘭本線】→18:35糸井(「しらかば温泉湯」で銭湯・夕食)19:51→【室蘭本線】→19:58苫小牧(タクシー移動)苫小牧港21:15→【川崎近海汽船「シルバープリンセス」】
(※)日高本線は現在鵡川~様似間が不通で、代行バスによる運行となっている。

・2日目
(船中泊)→4:45八戸港(タクシー移動)本八戸5:43→【JR八戸線】→5:49陸奥湊(朝市で朝食)7:28→【JR八戸線】→9:02久慈10:35→【三陸鉄道北リアス線】→11:30島越(北山崎断崖クルーズ・12:15発)13:58→【三陸鉄道北リアス線】→14:11普代(昼食)14:50→【三陸鉄道北リアス線】→15:47宮古15:53→(JR山田線)→18:08盛岡(夕食)19:50→【新幹線「はやぶさ36号」】→22:04東京
●今回の記事では下線部の旅程に関して述べている。


 
【18:28 苫小牧・発】
様似から苫小牧まで日高本線を一気に乗りつぶした後は、この日の汗を流すため、いきなりフェリー埠頭には行かず、2駅先の糸井駅前にあるスーパー銭湯へ立ち寄ることにした。そのため、苫小牧で室蘭本線の普通室蘭行に乗り換える。ホームで待っていたのは、札沼線の電化開業に伴い札幌都市圏の通勤輸送から都落ちしてきたキハ143。国鉄の50系客車にディーゼルエンジンを搭載して、自分で走行できるように改造した変わり種でもある。2012年秋のダイヤ改正以降、室蘭本線の苫小牧以西を走る普通列車は、これまでの電車からほとんどが気動車に置き換えられた。電化しているのに勿体無い気もするが、何だかんだでこれが合理的なのだろう。


 
【18:35 糸井駅・着】
苫小牧近郊の住宅地なので、そこそこの数のお客さんがここで下車。簡易委託駅であり、日中は窓口が開いているが、私が訪れた時には既に閉じられていた。跨線橋で駅舎の裏側へ出て、ホームの目の前にあるパチンコ屋へと向かう。といっても、一攫千金を狙っているわけではない。


 
【18:40~19:45 しらかば温泉湯】
パチンコ屋に併設されているスーパー銭湯に行きたかったのだ。このスーパー銭湯「しらかば温泉湯」では、その名の通り温泉に入れるらしい。エレベーターで2階へ上がると、広いホールは多くの家族連れで混雑していた。
脱衣室のロッカーはハンガー付きの大きなタイプで、洗面台ゾーンもゆとりがあり、総じて使い勝手良好。浴室も広々しており、大きな主浴槽・壺湯・桧風呂・サウナ(定期的にロウリュ実施)、そして露天風呂と、実にバラエティーに富んでおり、人気を集めるのも頷ける。一方で肝心のお湯だが、冷鉱泉を加温循環消毒させたものが使われており、源泉の状況がほとんどわからず、どの槽でもカルキ臭が強くて、まともに湯浴みできなかった。そんな状況だったので、拙ブログでは単体記事として取り上げていない。念のため、分析表を以下に抄出する。
でも施設としては綺麗で使い勝手が良く、駅のすぐそばなので、旅の汗を流すにはもってこい。さくっとシャワーを浴び、サウナで身をシャキッとさせて、着替えを済ませて身支度を整えた後は、施設内の食堂で生ビールと唐揚げ定食をかっ食らう。
 
冷鉱泉 19.8℃ pH8.7 634L/min(自噴) 溶存物質0.153g/kg 成分総計0.153g/kg
Na+:15.5mg(51.54mval%), Mg++:1.7mg, Ca++:8.3mg(31.54mval%),
Cl-:5.4mg(11.11mval%), SO4--:4.2mg(6.67mval%), HCO3-:48.7mg(59.26mval%), CO3--:9.1mg(22.22mval%),
H2SiO3:55.7mg,



【19:51 糸井駅・発】→【19:58 苫小牧・着】
さて糸井駅に戻って19:51発の普通列車に乗車。苫小牧へ戻るこの列車には私しかおらず、完全に貸切状態であった。
苫小牧駅前からタクシーでフェリーターミナルへ。


 
【20:15 苫小牧フェリーターミナル】
苫小牧フェリーターミナルには自分の車でも何度か訪れており、臨海北通からターミナルへ入る丁字路の先にセイコマート(北海道でシェアトップのコンビニ)があることも知っている。そこでタクシーの運ちゃんにセイコマートへ寄ってもらい、缶ビール(もちろん「サッポロクラシック」)やおつまみ類など諸々を買い込んでからターミナルへと向かった。


 
乗船案内には既に「シルバープリンセス 八戸 21:15 手続中」と表示されていた。川崎近海汽船の窓口には車検証を片手にした客がたくさん並んでいる。私は既にネット予約しており、車両の無い人間だけの乗船なので、サクサクっと手続きができる自動発券機を利用しようとしたのだが、なぜかこの日は券売機が稼働しておらず、仕方なく行列に並ぶはめに。


 
発券手続後、第三乗船口から船へ乗り込んだ。タラップの先に見える巨大な船体こそ、私がこれから乗る「シルバープリンセス」。


 
船内はプリンセスの名に相応しく、小洒落て落ち着いた雰囲気。まるでカフェのようなインテリア。
2012年に就航したばかりの新しい船だ。船内では自販機が並ぶオートレストラン(24時間営業)や売店(運行中でも非営業時間あり)、そして男女別の浴室も利用できるので、私のようにわざわざ乗船前にスーパー銭湯やコンビニへ立ち寄らなくても良いのだが、お風呂に関しては利用時間が限られており、私が乗船した便に限って言えば、出航から1時間15分後にはクローズされてしまうので、あんまりノンビリできないかも。



今回利用した2等客室。一般的な2等は雑魚寝だが、この船では一人ひとりの区画がセパレートされており、発券時に場所が指定される。各区画には折りたたまれたマットレスが用意され、そのまま座ればクッションとして、真っ直ぐ伸ばせば寝具として使える(上掛けは無い)。また頭上には施錠できるロッカーもあり、各扉にはマットレスの使い方がシンプル且つ可愛らしいイラストで説明されていた。一人分の区画はやや狭く、寝返りを打つと隣のお客さんにぶつかってしまいそう。夏の週末の山小屋に泊まっているような気分。


 
【21:15 苫小牧港出航】
夜だからかフェリーは汽笛を鳴らすこと無く、いつの間にか静かに離岸していた。船上から苫小牧の夜景を眺めて、「サッポロクラシック」を飲みつつ、北海道に別れを告げる。街の灯が噴火湾の彼方へ小さくなってゆく代わり、漁船の漁火が次々に現れ、洋上で眩しく輝いていた。


 
【翌朝4:45 八戸港到着】
指定された2等客室では隣の客が気になり、しかも備え付けの枕が高かったためになかなか寝付けず、ラウンジのソファーに凭れながら衛星放送を見たり本を読んだりしているうちに、ようやくウトウトしはじめた。でも決して深い眠りに就くことはなく、寝たのか起きていたのかよくわからない呆然とした状態で、船は黎明の八戸港へと入港。



着岸すると、乗客は足早にターミナルを出てゆく。さすがにこんな早朝に路線バスは運行されていないので、ターミナル前に待機していたタクシーに乗り込み、JR八戸線の本八戸駅へ。


 
【5:43 本八戸駅・発】
八戸港から約15分で本八戸駅に到着。駅付近のコンビニでコーヒーを飲みつつ時間を潰し、5:43発の八戸線初発列車・久慈行きに乗車。


 
【5:49 陸奥湊駅・着】
腹が減っては、戦もできなければ旅だって楽しめない。八戸の早朝といえば朝市が有名だから、本八戸の2つ先にある陸奥湊駅で途中下車し、駅前朝市で朝食を摂ることにした。駅前ロータリーではホクロがチャーミングな「イサバのカッチャ(市場の母ちゃん)」像がお出迎え。


 
 
 
駅前通りの両側には、婆ちゃん達がズラリと屋台を広げている。蔬菜・果物・漬物・乾物などの食料品を中心に、諸々の雑貨類や仏花に至るまで、多種多様なものが売られていた。土地柄なのかあるいは年寄りばかりで覇気が無いからか、他地域の観光市みたいな商売ッ気はあまりないので、鬱陶しい呼び声に悩まされることもなく、通りを往復しながら呑気に冷やかしてしまったのだが、商売になるのか不安になるほど、僅かな品数しか並べていない婆ちゃんもいて、無責任ながらも見ていて不安になる。でもそんな不安なんて杞憂にすぎず、普段から熾烈な競争社会で生きている自分とその婆ちゃんは、全く違った経済社会で生きているのだろう。


 
駅前まで戻って、ロータリー前の「八戸市営魚菜小売市場」へ。既にご存知の方も多いかと思うが、ここでのお食事はちょっと面白い。


 
市場内の各店舗では一匹まるごとの鮮魚や切り身の他、小分けにされた刺し身や焼き魚も売られているので、お店をハシゴしながら好みのものを選んで、各店舗でお支払い。


 

おかずを選び終えたら、市場の最奥にある食堂に向かい、そこでご飯と味噌汁のセット(300円)を注文。この食堂では揚げ物や和え物などもあるので、市場内の魚介と一緒に食べれば、かなり充実し朝食が楽しめるはず。私はイカミミ(220円)・サンマ刺(200円)・サーモン・ヒラメ・メジ等の盛り合わせ(320円)を店先で買い、ご飯・海老の味噌汁と一緒にいただいた。美味い! 朝から結構なボリュームだが、あっという間に平らげた。この市場での楽しみ方について、詳しくは観光情報サイト「八戸あさぐる」をご覧あれ。


 

食後は「八戸市営魚菜小売市場」を出て、通り沿いに店を開いていたコーヒー屋台で食後の一杯。ブレンドコーヒーSカップ120円、Mカップ150円、有機栽培コーヒー200円、モカ250円という感じで、どれも財布にやさしい市場価格だが、注文するごとにちゃんとドリップしてくれる本格派。
私がベンチに座って飲んでいると、ひと仕事を終えた婆ちゃんが、背負子を下ろして隣に座り、コーヒーで一息ついていた。前時代的な背負子の籠、そしてコーヒーという、何ともチグハグな組み合わせが見られるのも、当地ならではなのかも。


 

【7:28 陸奥湊駅・発】
7:28発の八戸線久慈行に乗車。
通学時間帯ゆえ、車内は高校生で満席だったが、2つ先の鮫駅でゴッソリ下車し、忽ちガラガラになった。みんな水産高校の学生さんだったのかな。


 
鮫駅を出て間もなく蕪島の横を通過。
列車は種差海岸に沿って、太平洋岸を南下してゆく。
海岸の景色は、眼前に広がってしばらくの間は興奮するものだが、広大な海原はビジュアル的な変化に乏しく、やがて飽きてしまい、「どうせ同じような景色がこれからも続くんだろう」と高をくくりはじめ、興奮が冷め、そして眠気に襲われてしまうのだ。上画像を撮ったところまでは覚えているのだが、そこから先、久慈に到着する直前までの記憶が無い。

その2へ続く 
コメント (4)
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