北海道十勝地方の中心都市である帯広は、日本屈指の温泉都市でもあると、私は勝手に考えております。昨年某日のこと。そんな帯広の温泉に浸かって一晩を過ごすべく、廉価で宿泊できる「みどりヶ丘温泉ビジネスホテル」へと向かいました。まずはJR帯広駅から路線バスに乗り、「春駒通12条」バス停で下車。
バス停がある十字路の反対側にお宿がありますので、バスから降りた後も迷うこと無くすぐに辿り着くことができました。なおバスに乗らなくても、帯広駅から徒歩20分で行くことも可能です。
暗い画像じゃ外観がわかりにくいので、翌朝に撮った画像も載せておきますね。屋上の大きな看板が目印です。
今回のお部屋は2階のシングルルーム。室内はふた昔前のビジネスホテルといった雰囲気で、テレビ・冷蔵庫・湯沸し器・ドライヤーなどひと通りの備品が用意されており、ユニットタイプのシャワーとトイレも備え付けられていますが、壁紙など全体的にくすんでおり、カーペットもヨレヨレで、室内の随所に哀愁が滲んでいました。また禁煙室の設定が無いらしく、タバコが苦手な私としては、部屋に篭っていた臭いを少しでも追い出すべく、夜通し窓を開けて換気に努めました。なおこのホテルは3階建てですが、エレベーターは無いそうですから、もし大きな荷物を抱えている時に3階の客室をあてがわれたら、結構辛いかもしれませんね。「楽●」や「じゃ●ん」など大手宿泊サイトからも宿泊予約可能なのですが、このホテルに関して両者の口コミを比較してみますと、「楽●」の利用客は比較的穏やかな表現であるのに対し、「じゃ●ん」の利用客は辛口なコメントを残す傾向にあるようです。私個人としては「じゃ●ん」の口コミに賛同したいかも…。
ネット予約のプランには、素泊まり料金にプラス数百円で夕食がいただけるものがあったので、今回はそれを利用しました。夕食のメニューはプランによって異なるのですが、今回選んだのはホテルご自慢の「豚丼」。コスト面を重視したい旅行者には有り難いプランですが、しかも単に安いだけじゃなく、ここの豚丼は美味い! 駅や繁華街からちょっと離れているので、夕食のためにわざわざ出かけるのは面倒という方にももってこいです。なお食事はフロントに隣接している食堂でいただきます。
またホテル前の交差点には、北海道コンビニ業界の雄「セイコーマート」がありますので、ここで食事関係を調達しても良いですね。この時は、食後のコーヒーとスイーツ、お茶、そして私の大好物であるクレードル「やさいジュース」など、大量の水分を買い込んで、部屋へと戻りました。
食事やコンビニでの買い物などがひと通り済み、落ち着いたところでお風呂を浴びることにしました。浴場入口はフロントの右奥。暖簾を潜って奥へ進むと、脱衣室手前の右側に休憩用の別室があり、いかにも昭和の香りがする合成皮張りのソファーが何台も並んでいました。湯上がりに利用しようかとも考えましたが、室内にはタバコの煙が充満していたので、今回利用は遠慮することに…。
そこそこ広い脱衣室は、中央に籠の台が用意され、周囲の壁沿いにスチールロッカーが並んでいます。またパーテーションを挟んだ隣の空間にはアメニティ類が用意された洗面台が配置され、一角では冷水のサーバーも用意されていました。まさにオジサンのためのサウナって感じです。
浴室は全面タイル貼り。男湯の場合は左手に各種浴槽が、右手に洗い場が配置され、奥の突き当たりに2種類のサウナが並んでいます。
洗い場に取り付けられているカランは計31箇所あり、いずれも押しバネ式カランと固定式シャワーの組み合わせで、カランから出てくるお湯は真湯です。お湯・水とも吐出圧力が弱く、シャワーも心細くて、いまひとつサッパリできません。ついイライラしちゃったので、私は桶で湯船から直接お湯を汲んで掛け湯してしまいました。
サウナはドライとスチームの2種類。洗い場手前には垢すり台があり、別途料金で施術が受けられるようです。
浴室内に設けられた4つの浴槽は、手前側からバイブラバス・大浴槽・高周波バス・水風呂の順に並んでおり、水風呂以外には温泉が使われています。中でもお湯の質感が最も良かったのは中央の大浴槽。槽の大きさは目測で2.5m×3.5mほどで、ちょっと深めの造り。「温泉」と書かれた湯口から琥珀色のお湯が落とされており、縁から惜しげも無く床へ溢れ出ていました。この大浴槽では入浴に適した温度に保つため加温されているものの、加水循環消毒などは無く、れっきとした放流式の湯使いが実践されています。
お湯はやや暗めの麦茶色。帯広の温泉はいわゆるモール泉に属する泉質が多く、こちらもそのひとつに含まれるのですが、モール泉らしいダークブラウン系統であるものの、コーヒーではなく麦茶色のような色合いに見ました(あくまで夜間に見た状況であり、日中だと変わってくるかもしれません)。半透明で底がぼやけて見える程度の透明度があります。湯口のお湯を手にとってみますと、(地中に堆積した生物由来と思しき)芳醇なゆで卵の卵黄臭と味が伝わってくると同時に、これまた芳醇なモール臭、そして重曹的なほろ苦みが感じられ、湯中ではモール泉らしい実に心地よいツルツルスベスベの滑らかな浴感を全身で楽しむことができました。また湯船にじっと浸かっていると、肌に薄っすらと気泡が付着してきました。私が大好きなモール泉の香りと浴感に包まれた湯浴み中は、至極極楽、最高の気分でした。
一方、右隣りの高周波バスでは加水によりぬるめに設定されており、明らかにお湯が薄くなっています。左(上)画像は大浴槽と高周波バスを比較した画像で、左は加温のみの大浴槽、右は加水された高周波バスなのですが、その差は一目瞭然ですね。高周波バスは大浴槽の半分ほどの大きさ。その名前から、何かしらのビリビリするものが放たれているのかと思いきや、ただのジェットバスであり、しかもパワーが弱くて一部は稼働していませんでした。
大浴槽の左隣りはバイブラバス。4つある浴槽の中では最も小さいのですが、こちらは大浴槽と同じく加温のみの温泉が張られており、お湯の色の濃さも湯加減も大浴槽とほぼ同じです。その名の通り、ブクブクと絶え間なく気泡を上げていました。なお高周波・バイブラ各浴槽とも放流式の湯使いであり、縁からしっかりとお湯が溢れ出ていました。
加温されているものの、さすが帯広のモール泉を掛け流しているだけあり、お湯のフィーリングは実に素晴らしく、時間が許す限り、いつまでも入っていたくなる上質の温泉でした。が、残念ながら、朝の入浴はできず、夜も23時でクローズしてしまいます。お部屋の案内などには24時までと記されていたので、その時間まで入浴できるものと信じて、23時を過ぎてからも私は呑気に湯船に浸かっていたのですが、私がいることを知ってか知らずか、23時過ぎ、湯口のお湯が止まるや否や、室内の照明も落とされてしまい、暗い状況の中で慌ててお風呂から上がるはめになってしまいました。ひとこと声をかけてくれたらよかったんだけどなぁ…。でも宿泊料金は安いし、豚丼も美味いし、何よりお湯が素晴らしいので、まぁ良いか(笑)。
アルカリ性単純温泉 42.9℃ pH9.4 186L/min(動力揚湯) 溶存物質0.498g/kg 成分総計0.498g/kg
Na+:149.9mg(98.34mval%),
Cl-:110.0mg(44.54mval%), OH-:0.4mg, HS-:0.9mg, HCO3-:109.9mg(25.86mval%), CO3--:39.3mg(18.82mval%), BO2-:24.6mg(8.19mval%),
H2SiO3:55.2mg, 腐植質2.0mg,
大浴槽・バイブラバス:加温あり(入浴に適した温度に保つため)
高周波バス:加水あり(適温にするため)
帯広駅より徒歩20分(1.6km)。もしくは駅前バスターミナルから拓殖バスあるいは十勝バスの南商高校線(南商・あかしあ線)で「春駒通12条」下車。バス停がある交差点の向かい側。
北海道帯広市西12条南17丁目3 地図
0155-22-6787
ホームページ
12:00~23:00
日帰り入浴料金1000円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり
私の好み:お湯は★★★・ホテルとしては★+0.5)