帯広市街 ふく井ホテル 2014年夏再訪

帯広駅前には規模の大きなビジネスホテルが林立しており、温泉に入れる大浴場を「売り」にしているホテルも数軒見られますが、その中でも温泉にこだわる私がレコメンドしたいのは、「天然温泉」という大きな看板を誇らしげに掲げる「ふく井ホテル」であります。拙ブログでも以前に一度取り上げたことがありますが、実はこれまで何度も利用しており、すっかり私が帯広に滞在する際の定宿となっています。

アコモディションとしてはごくふつうのビジネスホテルなのですが、駅の真ん前というこれ以上ない便利な立地、リーズナブルな料金設定、明るく丁寧な対応のスタッフ、ビジネスホテルっぽくない美味しくてボリュームのある朝食（洋定食・和定食のいずれかを選択）、決して新しくないけど綺麗で使いやすい客室、などといった点の他、何よりも素晴らしいのが自家源泉のモール泉を掛け流している大浴場であります。今回記事では「やっぱり良い」と改めて実感した大浴場に的を絞って書き綴ってまいります（客室等に関しては前回記事をご参照ください）。


　
部屋で浴衣に着替えて、エレベータで地下1階の大浴場へ。脱衣室には自由に使える大小のタオルが積まれており、後述する浴室内にはシャンプー類も用意されていますので、客室から手ぶらでやって来ても大丈夫。一般的にビジネスホテルの大浴場では「タオルは客室からご持参ください」なんて案内されている場合がよく見受けられますが、ここではそんな手間を気にすること無く入浴できるんですね。


　
天井以外はほぼ全面タイル貼りの浴室。床はベージュ系ですが、壁や浴槽はレンガやワインレッドに近い色合いで、自家源泉の温泉の色と合わせているような印象を受けます。中央に小判型の大きな浴槽が据えられ、周囲の壁に沿ってコの字形に洗い場が配置されています。シャワーの数は22基で、カランから出てくるお湯は真湯です。備え付けの腰掛けは大型のもので、座った時の安定感が良好。無理に背中をかがめたりお尻の筋肉を突っ張ったりすることなく、自然な姿勢でシャワーできました。ボディーソープ・シャンプー・コンディショナーがぞれぞれ別箇になっている点も高評価。



全国のお父さんが大好きなサウナも併設されていますよ。でも水風呂が無いのは玉に瑕かも。


　
浴槽に面して屹立する柱の湯口よりお湯が絶え間なく注がれ、槽の縁からしっかりと溢れ出ています。館内表示によれば加温加水循環消毒の無い完全掛け流しとのことですが、その言葉に嘘偽りは無いかと思われます。帯広界隈で湧く温泉はいわゆるモール泉と呼ばれるタイプのお湯が多く、こちらもその典型であり、分析表に記載されている「腐植質4.2mg」がそのことを端的に示しています。
ひと口にモール泉といっても、見た目・匂い・浴感など源泉によって個性に違いが見られるのですが、こちらのお湯はロゼワインを思わせる淡い色合い、卵黄味・重曹味・弱金気味が渾然一体となった味わい、モール泉らしい香りに弱金気臭や芳醇なタマゴ臭がブレンドされた芳香、そしてツルツルスベスベの大変滑らかな浴感が特徴的で、湯船に一度でも浸かるとそのツルスベ感の虜になり、湯船から出るのを躊躇ってしまうこと必至です。尤も、湧出温度45～6℃のお湯を加水せずにそのまま投入しているため、一般的なお風呂よりもやや熱めの湯加減であり、正直なところあまり長湯はできないのですが、それでも多少逆上せても浸かり続けていたくなるほど、魅惑的な浴感を有しています。このお湯を頭から被るとコンディショナー要らずで、髪がツヤツヤ。湯上がりも肌がサラサラすべすべ。宿泊中は寝る間も惜しんで、何度も大浴場と客室を往復してしまいました。
日帰り入浴はできませんし、露天風呂もありませんので、リゾートホテルのようにゆったりと過ごすような施設ではありませんが、いろんな面で同価格帯のホテルを超越していますので、ビジネスユースのみならず観光にももってこいの、コストパフォーマンスに優れたホテルであると自信を持っておすすめできます。


アルカリ性単純温泉　45.8℃　pH8.8　200L/min　溶存物質0.672g/kg　成分総計0.672g/kg
Na+:159.3mg(97.74mval%),
Cl-:92.2mg(34.76mval%), OH-:0.1mg, HS-:0.8mg, HCO3-:269.5mg(59.09mval%), CO3--:10.5mg,
H2SiO3:84.9mg, HBO2:43.8mg, 腐植質4.2mg,
加水加温循環消毒なし

JR帯広駅前
北海道帯広市西1条南11丁目19　　地図
0155-25-1717
ホームページ

立ち寄り入浴不可
宿泊者は15:00～翌朝10:00利用可能

私の好み：★★★