雲仙温泉は古湯・新湯・小地獄などいくつかのエリアに分かれていますが、今回訪れたのは新湯地区の「新湯共同浴場」です。九州で湯めぐりを楽しむ温泉ファンなら誰でも訪れる極めて基本的な施設であり、ネット上では既にたくさんのレポートが上がっていますので、拙ブログでは簡単な内容にとどめさせていただきます。
新湯エリアの突き当たりにある第二駐車場の周りには山の木立が茂っていますが、駐車場右側の木立へ伸びる階段を数段上った先にある、古びた民家のような地味な佇まいの建物が共同浴場。看板に書かれた「源泉かけ流しの湯」という文字が誇らしげです。
玄関には券売機が設置されていますので、ここで入浴料金を納めます。その料金はわずか100円。ワンコインでかけ流しの温泉に入れるんですから、実にありがたい施設ですね。
館内は撮影禁止なので、ここから先は文章のみでレポートさせていただきます。
出入口は男女別に分かれており、券売機で印字された券を手に男湯へ入ると、男女両浴室の間に番台がありますので、そこに置かれたボックスに券を投入します。私が入館した時の番台は無人だったのですが、退館時にはおばちゃんがいらっしゃいましたので、番台の店番は時間帯によっていたりいなかったりするのかも。
脱衣室は典型的な銭湯スタイルとでもいうべき構造で、カレンダーや各種お知らせの張り紙が壁を覆い尽くす光景は、地元の方が愛用する共同浴場そのもの。フローリングの広間の右側にはアルミの松竹錠が付いた木扉のロッカーが設置され、反対側(左側)には貴重品が保管できるしっかりとした造りの小さなロッカーも用意されています。また室内には「つぶやき(想い出の詩)」と題されたノートがぶら下がっており、津々浦々からやってきた利用者による湯あみの感想が、思い思いに綴られていました。
浴室も典型的な銭湯であり、側壁はモルタル塗りで下半分はタイル張り、床や浴槽は石板張りで、中央の浴槽を挟んで左右に洗い場が配置されるシンメトリーなレイアウトになっています。左右に分かれている洗い場にはお湯と水のカランのペアが4組ずつ(計8箇所)取り付けられており、カランから出てくるお湯は、源泉の熱いお湯を貯湯槽にストックして冷ましたものです。このためお湯を出し過ぎは禁物。
浴槽は目測で3m×2mの長方形。かなり深めの造りになっており、槽内のステップに腰をかけると肩が出ちゃうし、底にお尻をつけようとすると頭まで潜っちゃいます。このため中腰の状態で湯船に入ると、いい具合に肩まで浸かれるのですが、いくら浮力が働く水中とはいえ、いつまでも中腰でいられるはずもなく、ちょっと面倒臭いこの深さには少々難儀しました。
浴槽へお湯を注ぐバルブ付きの投入口は2つあり、ひとつには「中温」、もうひとつには「高温」と書かれています。「高温」は熱すぎ流ためか、私の訪問時は「中温」からの投入がメインとなっていました。湯面には温度計が浮かべられており、この時は43℃を指していました。このお風呂をよく利用するという島原市民の常連さん曰く「いつもは45℃近くあるんだけど、今日はぬるい」とのことでしたが、それでもピリッとくる熱さが私の肌を刺激し、それと同時に強めの酸性泉らしいヌメリを伴うツルスベ浴感がはっきりと感じられました。
湯船に張られているお湯は淡いレモンイエローを帯びたライトグレーに薄く濁り、湯中では無数の湯の花が舞っています。透明度は30~40cmほどで、槽内のステップは見えますが、上述のように深い浴槽ですので、底面までは目視できません。とはいえ、雲仙温泉の他の源泉よりは濁り方が薄いような気がします。
湯口にコップが置かれていたので、湯口のお湯を汲んでテイスティングしてみますと、明礬由来と思しき酸味や匂いが口腔の粘膜が収斂し、渋みやアンモニア臭も少々感じられました。また水で薄めて再度口に含んでみますと、硫黄由来のタマゴ味も得られました。でも変な雑味は少なく、酸味がストレートに伝わり、まるで新鮮なレモンを齧ったかのような爽やかさすら覚えました。
比較的熱めの湯船でしたが、地元の常連さんから次々に声をかけられ、みなさんとお喋りしながら湯あみを続けていたら、すっかり茹だり上がってしまい、前後不覚になるほどフラフラになってしまいました。でも地元の方との交流ができるのは、こうした地域密着型の湯屋だからこそ。おかげさまで旅の良い想い出をつくることができました。かけ流しのお湯をワンコインで楽しめる素敵な共同浴場でした。
含硫黄-単純酸性温泉 51.2℃ pH2.4 自然湧出(湧出量未記載) 溶存物質0.45g/kg 成分総計0.63g/kg
H+:4.0mg(74.48mval%), Na+:6.1mg, NH4+:1.9mg, Mg++:2.1mg, Ca++:6.5mg(6.00mval%), Al+++:3.4mg(7.13mval%), Fe++:1.3mg,
Cl-:4mg(1.80mval%), HSO4-:37mg(6.21mval%), SO4--:270mg(91.83mval%),
H2SiO3:110mg, CO2:160mg, H2S:18mg,
諫早駅から島鉄バスの雲仙行で「雲仙お山の情報館」バス停下車
長崎県雲仙市小浜町雲仙320 地図
0957-73-3233
雲仙温泉観光協会公式サイト
9:00~23:00 水曜定休
100円
ロッカーあり
私の好み:★★