温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

中ノ沢温泉 大阪屋

2015年04月21日 | 福島県
 
冬の福島温泉めぐり。続いては安達太良山の麓にある中ノ沢温泉へと向かいました。訪問の数日前に、拙ブログでリンクを張らせていただいておりますhiroさんのブログを拝見していたら、中ノ沢温泉「大阪屋旅館」のお湯がいつになく濃厚な白濁を呈していると取り上げていらっしゃったので(※)、果たしてどんな様相なのか自分の目でも確かめてみたくなった次第です。玄関の「入浴500円」という掲示を確認しながら、帳場にて日帰り入浴をお願いしました。
(※)hiroさんのブログ記事はこちらをご参照ください。


 
糸車や古箪笥などの民芸品が並ぶ廊下を進んだ先に紺の暖簾が掛かっていました。「生粋湯 栄寿の湯」という浴室名なんですね。


 
 
えてして冬のお風呂は湯気が篭りがち。窓から陽光が降り注ぐ室内は、いつもなら照明不要なほど明るいのでしょうけど、この時は室内に充満した湯気の影響で光が拡散し、かえって足元の視界も覚束ないほど濃く煙っていました。尤もこうした曇りは、寒さの中でお湯の暖かさを実感させてくれる冬の温泉らしい情緒と言えましょう。
内湯にはシャワー付きカランが4基設けられています。浴槽は1辺3.5mの直角三角形の角を面取りしたような、ホームベースのような形状をしたものがひとつ据えられています。槽内にはチャコールグレーのタイルが張られているようですが、底にたくさん沈殿している湯の華のために、あたかも青白く染まっているように見えました。
湯口からは熱いお湯が注がれており、縁の切り欠けから溢れ出ています。循環など行われていない完全放流式の湯使いです。加水することなく湯加減を調整するためか、投入量はやや絞られていましたが、それでも湯船はかなりの高温でしたから、入りやすくするためにお湯をかき混ぜたところ・・・


 
湯船のお湯は湯の華によってたちまち強く白濁し、これまで底がちゃんと目視できるほどの透明度があったのに、掻き混ぜた後は全く見えなくなってしまいました。上画像は内湯における、濁る前と後を比較したものです。左(上)画像は掻き混ぜる前の状態であり、槽内のステップが見えるほどの透明度が確保されていますが(ステップの白色は全て沈殿です)、掻き混ぜた後の右(下)画像では、お湯が強く乳白色に濁り、ステップがすっかり見えなくなっています。この手の濁り方をする温泉は、数分も立てば再び湯の華が沈殿し、透明度も徐々に回復してゆくものです。


 
続いて露天風呂「夢の湯」へ。内湯よりちょっと低いところにあるので、庭間を伸びる石の段を下ってゆきます。日本庭園風の岩風呂は、当世のお客さんから受けが良さそうな古民家調の造り。池のように大きな湯船の真ん中に巨大な岩が屹立しており、景観のアクセントのみならず、入浴中の背もたれとしても活躍してくれます。
内湯から出てすぐのところには露天を見下ろす展望台があり、左(上)画像はそこから眺めたものです。周囲の建物や駐車場からは見えてしまいそうですが、こっちは男ですから見えたところで大したことはありません。露天風呂専用の更衣小屋もあり、おそらく宿泊客はこちらからも利用ができるのでしょう。
庭園の中の露天風呂に張られているお湯は、神秘的な美しさを放っているターコイズブルー。大きな岩風呂や民芸調の構造物にこの美しい青白色の温泉が輝いており、この世のものとは思えない寓話のような世界が展開されていました。こりゃすごいぞ!


 
展望台の下は洞窟風呂。湯気とともに硫黄の香りが洞内に篭り、お湯の滴る音が響いて、なんとも言えない幻想的な雰囲気です。


 
洞窟風呂の近くにある筧から、酸っぱい匂いを放つ透明のお湯が注がれています。露天も完全放流式の湯使い。私が入った時のお風呂は、槽内に万遍なく付着した湯の華によってミステリアスな青白色を呈しつつ、底面がはっきり見えるほどの透明度を保っていたのですが・・・


 
槽内を動きまわって沈殿している湯の華をかき回すと、まるで積乱雲が発生しているかのようにモヤモヤっと濁りはじめ、あっという間に透明度ゼロの真っ白な強い濁りが発生しました。


 
白濁のビフォー・アフターを、上から見下ろした画像で比較してみます。左(上)画像は濁る前。右(下)画像が濁った後です。その違いは一目瞭然ですね。


 
続いて、お風呂に浸かった視線から比較してみましょう。同じく左(上)画像は濁る前。右(下)画像が濁った後です。


 
濁りをもたらす沈殿を手にとってみたところ、ドロドロとしたレモンイエローの湯泥が大量に底へ積もっていました。中ノ沢温泉は沼尻元湯から引湯しており、通常は弱い青白色の懸濁を呈し、白い湯の華がチラホラ舞う程度ですが、なぜかこの時は珍しく夥しい量が沈殿しており、ステップの岩すら見えないほど強い濁りを見せていました。源泉から温泉を引いてくる過程で、いままで何処かで溜まっていた湯泥が、何らかの拍子でドバっと流れこんじゃったのかもしれませんね。今回の訪問に際して参考にさせていただいたhiroさんのブログを拝見しますと、hiroさんが確認なさった日には筧から出てくる時点で既に濃厚に白濁しているのですが、私の訪問日ですと筧のお湯は透明に戻っており、強い濁りは槽内の沈殿を撹拌することによって発生したのでした。つまり引湯からの濁りは収束へ向かい始めていたのかもしれません。いずれにせよ、イレギュラーな現象であることは間違い無さそうです。

口腔の粘膜を強く収斂させ、歯をキシキシしてしまうような強い酸味、いわゆる明礬的な味覚と匂いが感じられる他、硫酸塩泉的な味も感じられます。強酸性のお湯らしいヌメリを伴うツルスベ浴感が大変気持ち良く、露天では長湯仕様の40℃前後に落ち着いていたので、ワンダフルな濃厚白濁に浸かりながら、じっくり長湯させていただきました。源泉からかなりの隔たりを経ているとはいえ、とっても素晴らしいお湯でした。


沼尻元湯
酸性・含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉 68.3℃ pH2.1 13400L/min(自然湧出) 溶存物質2.662g/kg 成分総計2.761g/kg
H+:7.9mg(19.11mval%), Na+:113.7mg(12.07mval%), Mg++:74.5mg(14.97mval%), Ca++:231.5mg(28.20mval%), Al+++78.8:mg(21.39mval%), Fe++:8.6mg,
F-:18.4mg, Cl-:582.5mg(39.38mval%), Br-:3.0mg, HSO4-:274.5mg(6.78mval%), S2O3--:6.1mg, SO4--:1025mg(51.15mval%),
H2SiO3:155.4mg, HBO2:26.1mg, H2SO4:5.5mg, H2S:98.7mg,
(平成26年7月2日)
※私が訪問した2015年1月時点で館内に掲示されている分析表は平成16年のものでしたが、別施設にて最新のデータが入手できましたので、この記事では新しいデータ(抄出)を掲載させていただきます。中ノ沢温泉はどのお宿でも沼尻元湯からお湯を引いているので、分析表上ではどの宿も共通です。

磐越西線・猪苗代駅より磐梯東都バスの達沢・高森方面行で「中ノ沢温泉」下車
福島県耶麻郡猪苗代町大字蚕養字沼尻山甲2855-138  地図
0242-64-3016
ホームページ

日帰り入浴時間不明(10:00~16:00という情報あり)
500円
貴重品は帳場預かり、シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★★
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

押立温泉 国民宿舎さぎの湯

2015年04月19日 | 福島県
 
表磐梯の押立温泉には3つの宿があり、以前拙ブログでは「住吉館」を訪れておりますが、今回はその手前側に位置する「国民宿舎さぎの湯」へお邪魔して立ち寄り入浴してまいりました。池や駐車場を囲む感じで建つコの字形の棟は、玄関まわりこそ改修されているものの、来客がはじめに目にする妻面などを中心に、昭和の香りがたっぷり漂う、田舎の宿らしい鄙びた佇まいです。


 
駐車場に車をとめ、玄関へ向かって歩いてゆくと、中の方からワンコがけたたましく吠えてくるではありませんか。けだし私の姿に怪しい気配を嗅ぎとったのかもしれませんが、日帰り入浴であることが理解できたのか、すぐに大人しくなってくれました。不審を覚えたらしっかり吠えて哨戒するのもワンコの大切なお仕事ですよね。それでいて、すぐに客であるかを判断できるのですから、なかなか賢いじゃありませんか。後ろ足でお腹を掻くワンコを尻目に、ロビーで談笑中のお婆さん達に入浴をお願いしますと、快く迎え入れてくださいました。


 
お婆さんの案内に導かれながら、玄関や帳場からまっすぐ伸びる廊下を進んで、突き当たりの浴室へと向かいます。男女別の浴室は奥と手前でちょっと離れているのですが、この男女の区別は固定されているのでしょうか、あるいは日や時間によって入れ替わっているのでしょうか。なお廊下の途中にはコインロッカーが設置されていました。

私が訪れた真冬の某日は、雲間から青空が覗く良い天気だったのですが、それでも雪に覆われた磐梯山麓の寒さはとても厳しく、フローリングの脱衣室は底冷えし、着替える僅かな時間でも体がジンジンと凍えてしまいます。室内は数年前に改修されたそうですが、建物自体が草臥れているためか、早くもオフホワイトの壁紙はくすみはじめていました。


 
脱衣室から浴室へと移る戸を開け、一歩中へ足を踏み入れた途端、浴室内に充満するお煎餅のような温泉由来の香ばしい香りが鼻孔をくすぐってきました。お風呂は内湯のみで、タイルと防滴建材で固められた室内には、1つの浴槽と4基のシャワー付きカランが設けられているばかり。脱衣室と同様、浴室も数年前にある程度改修されているようですが、天井の低さは如何ともし難く、建物としての古さを物語っているようにも思えます。しかしながら、客に媚びるような装飾も、偉そうな能書きも無い、余計な一切を省いたシンプルな構造からは、ビジュアルに頼らず、お湯の良さだけで勝負しようとする潔さが伝わり、室内の香りと相俟って、むしろ好感を抱かせてくれました。


 
質素なお風呂の中で強いて温泉風情を見つけるならば、岩の間から温泉を流すこの湯口でしょうか。古から噴火を繰り返してきた磐梯山をイメージしているのか、ちょこんと据えられているのは溶岩室の岩であり、恰もミニチュアの峡谷みたいに、その谷間を温泉が流れています。このお風呂で聞こえる音は、お湯が岩から浴槽へ落とされるトポトポという響きだけ。実用的な浴室にあって、ただ岩のみで温泉の情緒を醸し出そうとしている姿からは、同じく砂利と岩だけで世界観を描く枯山水の哲学に通じるものを感じ取れます(えらく仰々しい表現になっちゃいました…)。

浴槽はおおよそ1.5m×3.5mの平行四辺形で、槽内はタイル貼りですが縁には御影石が用られています。岩の流路には温泉成分が白くこびりついているのですが、この縁にも同様に付着が見られ、特にエッジ部分はトゲトゲしているため、入浴中に縁に腰を掛けたら、このトゲトゲがお尻を刺激して、ちょっとした痛みを覚えました。けだし長い年月にわたって使われる続けている浴槽なのでしょうね。


 

浴槽のお湯は、人が入れば縁の上から溢れ出てゆきますが、基本的には底にあけられた穴から排湯されています。窓の下には池があり、浴室から池へ常時お湯が捨てられていましたから、位置的に考えればこのお湯は浴槽の排湯なのでしょう。池(屋外)側の吐出口にはバルブが取り付けられていましたから、投入量や排出量を調整することによって湯加減をコントロールしているものと想像されます。また、館内表示によれば「源泉から湯槽に『かけ流し』をし、自然のままで入浴に適した温度になっております」とのことです。ただ、厳冬期であったためか、この日の浴室は裸でいると身震いするほど寒く、その影響を受けていたのか湯加減も(体感で)40~41℃まで下がっていました。掛け流しを守ろうとすると、湯加減の調整が難しくなってしまうのは、どの温泉旅館でも苦慮なさっている課題でしょう。なお、館内に表示されている分析表は昭和62年の古いものであり、そこに記されている表磐梯2号泉という名の源泉は、押立温泉に3つある宿にそれぞれ引かれているお湯であり、源泉自体はグランドサンピア猪苗代リゾートホテル(旧京急猪苗代リゾート)の敷地内にあるはずです。
お湯はほぼ無色透明で、口に含むと石膏味や何かが焦げたような味と一緒に、お煎餅のような芳ばしい風味が鼻へ抜けてゆきます。湯中では滑らかでサラサラとした浴感が優しく体を包んでくれ、上述のようにややぬるめの湯温でありながらも、湯疲れせずに長湯できたおかげで、入室時の頃の肌寒さを忘れてしまうほどしっかりと温まることが出来ました。


表磐梯2号泉
単純温泉 50.3℃ pH7.8 312.5L/min(動力揚湯)
Na+:64.3mg, Mg++:10.7mg, Ca++:24.3mg,
Cl-:20.3mg, HS-:0.6mg, S2O3--:0.9mg, HCO3-:270.1mg,
H2SiO3:169.0mg, H2S:0.1mg
(平成17年3月)

※館内に掲示されている昭和62年の分析表は以下の通り(抄出)。
単純温泉 48.5℃ pH記載なし 537L/min 
Na+:71.5mg, Mg++:10.5mg, Ca++:14.0mg, Fe++:0.3mg,
Cl-:24.9mg, HCO3-:268.5mg,


福島県耶麻郡猪苗代町磐根佐賀地2557  地図
0242-65-2515
ホームページ

日帰り入浴時間不明
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

泉崎さつき温泉 泉崎カントリービレッジ

2015年04月17日 | 福島県

前回取り上げた須賀川の「ひばり温泉」で台風のピークをやり過ごした後に、東京方面へ帰るべく国道4号を南下していたら、矢吹を過ぎ泉崎村に入ったあたりで空模様が一気に回復し、雲間から青空も覗きはじめたので、その機に乗じてもう一軒温泉へ立ち寄ることにしました。泉崎の温泉といえば「泉崎カントリービレッジ」ですね。私としては5年ぶりの再訪です。平日のお昼頃に伺ったのですが、直前まで暴風雨だったためか、野良仕事や土木工事ができなかった人々でごったがえしており、駐車場はほぼ満車状態でした。相変わらず大人気を博しているようです。


 
5年前に訪問した時は正面玄関(ロビー)やレストラン等があるターミナル棟から入館したのですが、今回はその裏手に位置している「さつきの湯」棟(以下、温泉棟)の入口を潜りました。この渋い木造建築からは「勝手口」といった雰囲気が感じられますが、後から知ったところによれば、基本的に日帰り入浴利用の場合は、この温泉棟側から入館するんだそうです。



上述のように館内は大変混雑しておりましたので、今回浴室(内湯)の撮影は控えさせていただきましたが、そのかわり5年前の訪問時に主浴槽を撮っており、当時も現在も殆ど変化ありませんので、今回の記事では過去の画像を採用させていただきました。長方形の主浴槽は全面タイル貼りで7~8人サイズ。隅っこに据えられた岩の湯口より非加温のぬるい温泉が注がれており、完全掛け流しで惜しげも無くザバザバと洗い場へ溢れ出ています。後述する他の浴槽と比べると、この主浴槽のお湯の良さは頭ひとつ抜け出ているのですが、具体的に何が良いのかは後ほど詳しく。
なお洗い場にはシャワー付きカランが計9基取り付けられており、ボディーソープなども備え付けられているので、使い勝手に問題ありません。



この露天風呂の画像は2014年のものです。時間軸が前後してしまい恐縮です。
温泉棟と後述するターミナル棟浴室との間には露天風呂が設けられており、その位置からして、両浴室の連絡通路を兼ねているようでもあります。露天ゾーンには岩造りの温泉槽の他、タイル張りの水風呂、そしてサウナが設けられており、サウナではひっきりなしに利用客が出入りしていました。露天の温泉槽は、3分の2ほど屋根掛けされており、この下に入れば雨天時の湯浴みも大丈夫。ただ四方は塀や建物に囲まれており、床も無機質なコンクリなので、景色を愉しむことはできず、いまいち温泉情緒に欠けるかも。
露天風呂に張られているお湯も、温泉棟の内湯同様にぬるめの湯加減でして、湯浴み客の中にはなんと1時間近くも微動だにせず、まるでヌードデッサンのモデルのように、ひとつのポーズを決めながらじっと浸かり続けている方もいらっしゃいました。でも長湯したくなるほど、微睡みを誘う気持ち良いお湯なんですよね。お気持ちわかります。



なお、5年前の時点では、露天風呂には屋根掛けされていませんでした。当時と現在との相違点はその程度かな。今も以前も、内湯同様に露天風呂のお湯は純然たる掛け流しです。


 
露天風呂を通り抜けた奥にあるもうひとつの浴室は、正面玄関を擁するターミナル棟の浴室です。前回訪問時はこちら側から利用しました。温泉棟よりも全体的にやや小さく、浴槽は5~6人サイズで、洗い場のカランは計8基。室内は全面タイル貼りで装飾性に乏しく、かなり実用的な造りです。以前は浴槽上の窓から露天風呂が見えましたが、現在ではサウナ小屋が建てられたために、すっかり視界が遮られてしまいました。



こちらの内湯は温泉棟の内湯や露天風呂と違い、私の体感で43℃前後というやや熱めの湯加減になっていました。加温されているのか、はたまた浴槽が小さいから温度低下を免れているのか。湯面には気泡がたくさん浮かんでおり、湯中でもしっかりと肌に泡が付着しました。

温泉棟・露天風呂・ターミナル棟の浴室、いずれも同じ源泉のお湯を引いており、放流式の湯使いを実践しているものと思われます。白河や矢吹界隈に湧く温泉に共通した特徴を有しており、見た目はごく薄い山吹色を帯びた透明で、口に含むと重曹的なほろ苦味が感じられます。湯口や湯面からはミシン油のような匂いや臭素臭、そして仄かな金気臭が嗅ぎ取れ、浴室内にもこれらの匂いがふんわり漂っていました。特筆すべきはニュルニュルと表現したくなるほど滑らかな浴感であり、ネット等でこの温泉を紹介する多くの温泉ファンのみなさんも異口同音に、その極上な浴感を絶賛なさっています。どの浴槽でもそのニュルニュルスベスベの浴感を楽しめるのですが、とりわけ温泉棟の内湯は、溢れ出しの量が多くて鮮度感が素晴らしく、泡付きも良好、それでいて湯疲れしにくいぬるめの湯加減なので、利用客はこの浴槽に集中し、延々と常連同士で語らったり、あるいは石仏のようにじっと動かず湯に浸かり続けたりと、とにかく長湯する人が多くいらっしゃいました。ただでさえ利用客が多いのに回転が悪いため、館内の混雑に拍車がかかってしまうのですが、これもお湯の良さゆえですから、致し方ないことなのでしょう。
湯上がりはさっぱり爽快で、体に変な熱が篭ることはありません。今回の再訪によって改めてこちらの温泉の良さを実感しました。このエリアには私好みのアワアワ・ツルツル・サッパリ系の温泉が点在しており、どの温泉に入ろうか迷ってしまうのですが、泉崎の素晴らしさを再確認したことにより、当地ではますます優柔不断になってしまいそうです。


アルカリ性単純温泉 44.5℃ pH9.8 125L/min 溶存物質0.1943g/kg 成分総計0.1943g/kg
Na+:49.7mg,
OH-:1.1mg, HS-:0.4mg, HCO3-:62.7mg, CO3--:27.1mg, HSiO3-:46.9mg,
完全放流式(清掃時のみ塩素系薬剤使用) 

JR東北本線・泉崎駅より徒歩30分
福島県西白河郡泉崎村大字泉崎字笹立山12  地図
0248-53-4211
ホームページ

9:00~21:00
500円
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

須賀川市 ひばり温泉

2015年04月15日 | 福島県
今月から「ふくしまデスティネーションキャンペーン」もはじまったことですから、今回から数回連続して福島県の温泉を取り上げてまいります。と言っても、一発目はキャンペーンの対象になりそうもない、温泉ファンからもB級感の強い施設として名の知れた須賀川の「ひばり温泉」です。派手な看板が目を引く国道4号沿いにある施設で、これまで目の前を何度も通りすぎていながらキッチュな外観に恐れをなし、尻込みして敬遠し続けていたのですが、台風による暴風雨に見舞われた半年前の某日、嵐をやり過ごす目的も兼ね、勇気を振り絞って初めて立ち寄ってみることにしました。


 
鳥居みたいな鋼鉄のゲートを潜って広大な駐車場へ。敷地内には温泉施設以外にも、骨董博物館と称する施設や神社、そして閻魔様や大黒様に恵比寿様など、オーナーの好みと思しき対象を巨大化しちゃった数々が建ち並んでおり、まさに神や仏の闇鍋状態。しかも随所にメッセージ性の強い看板があちこちに掲示されていて、鬼気迫る不気味なアトモスフィアが漂っています。「探偵ナイトスクープ」で取り上げられていても不思議ではないB級施設ですが、敷地に立ち入ったことによって、怪しい宗教に勧誘されたりしないのかなぁ。オイラ、無事に帰れるのなぁ。


 
付帯しているホテルを右手に見ながら、温泉施設の玄関へ。建物の塗装も独特なセンス。


 
受付カウンターで下足箱の鍵を預け、利用時間(90分や2時間など)に応じた料金を支払うと、更衣室のロッカーキーを手渡してくれました。ロビーの一角を占める物販コーナーとゲームコーナーに昭和的な郷愁を感じながら、その手前を通って浴室へと向かいます。物販コーナーに隣接するマッサージルームのガラスには「浪越式」と記されていました。「指圧の心は母心 押せば命の泉湧く」という名台詞と共に、ハッハッハッハッと高笑いする浪越徳治郎氏の声が聞こえてきそうです。


 
マッサージルーム前に続いて、今度は食堂の前を通過。電照のゲートが珍妙というかエキセントリックというか…。東京ではなかなかお目にかかれない感性です。


 
食堂の奥に「芸能人様の出入口」なるものを発見し、思わず苦笑してしまいました。なんじゃこりゃ。ここまで来ると、不気味を通り越して面白くなってきます。10年落ちのクラウンに乗った無名演歌歌手が、派手なジャケットとギラギラな装飾品を身につけ、肩で風を切りながらここから入場してくる姿が目に浮かんできます。
屋外の看板のみならず館内にも、メッセージ性の強い文言を記したプレートが隙間なくベタベタ貼られているのですが、それらに記された日本語はちょっと不自然であり、考えて伝えようとしているのではなく、思いつきのメモ書きをそのまま印字しちゃった感じです。たとえば「ひばり温泉とは野鳥名です」なんてカタコトな文言は、外国語を無料翻訳ソフトで日本語に変換したときじゃないと、なかなか出てきません。むしろ変な言葉遣いだからこそ、目を惹かれるのかもしれませんが。


 
摩訶不思議な施設ですが、きちんと保健所から飲泉許可を受けており、上画像のような飲泉用のお湯汲み場が設けられていました。独特な世界観に満ちた施設でありながら、守るべき規則はしっかり守っているんですね。立派じゃないですか。このお湯汲み場を横目にしながら更衣室へ。


 
広い更衣室にはスチールロッカーがたくさん並んでいました。受付で手渡されたキーと同じ番号のロッカーを利用します。郡山エリアの温泉施設では、なぜかこの手の縦長スチールロッカーを採用する施設が多い傾向にありますね。広くて備品類も揃っており、清掃もちゃんと行われているので、使い勝手はまずまずです。


 
浴室もかなり広いのですが、造りが少々古いためか天井が高くなく、床面積の割にはあまり開放感が無いような印象を受けます。内風呂には、温泉を張った大・中・小の各浴槽の他、サウナ、水風呂、アカスリ室、子供用足風呂など、バラエティーに富んだ設備が配置されています。
洗い場にはシャワー付きのカランが計10箇所。浴室の広さの割に、カランの数がちょっと少ないかもしれませんね。この洗い場にも小首を傾げたくなるようなメッセージが掲示されており、たとえば「ひばり温泉の神様健康第一と体はストレス解消」とか「シャワーをそのつど出しては止め節水願。大衆浴場は見た目」とか、なんとなくニュアンスとしては伝わってきますが、単に句読点の打ち方だけでは解決できない国語として問題を孕んでいるような気もします。でも悪気は微塵もなく、お客さんに好意を懸命に訴えようとするハートは伝わってくるので、読めば読むほど微笑ましく思えてきました。


 
主浴槽は目測で5m×10mというかなり大きな造り。41℃前後でややぬるめの湯加減でしたから、じっくり長湯するお客さんが多く見られました。一方、その左側に隣接する副浴槽はおおよそ3m×5mで、館内の説明によれば主浴槽よりも熱い設定となっているようですが、私の体感としては主浴槽とほとんど変わりなく、湯口から吐出されるお湯の温度が若干高いかなといった程度でした。また主浴槽の手前側にも5~6人サイズの小浴槽があり、43℃と記されたプレートが掲示されていたのですが、実際にはこちらも主浴槽と大差なく、多少は熱いかなといった湯加減に抑えられていました。
いずれの浴槽でも縁からしっかりとオーバーフローしており、掛け流しの湯使いが実践されています。


 
各浴槽の湯口や壁でもメッセージの洪水状態となっており、お湯に関する説明や効能、入浴方法、マナーなどが、長い文章によって述べられていました。一つ一つをここで取り上げることは避けますが、文章の調子が宗教めいていたり、非科学的だったり、この温泉には含まれていない成分(硫化水素等)に関する効能も書かれていたりと、かなりチンプンカンプン。読んでいるこちらがパニックになりそう…。


 
 
屋外の露天風呂も看板だらけ。そもそも周囲は目隠しされているので、景色を楽しめる環境ではありませんが、それにしても不思議なメッセージに溢れており、訳の分からぬ言葉の洪水に圧倒されそうです。その一部は看板製作業者や古物商業者の大きな広告なのですが、どうやらそれらの業者とこの「ひばり温泉」の運営会社は同じ母体のようであり、それゆえに施設内には看板やプレートなどで埋め尽くされているのでしょう。

露天ゾーン全てに対して鋼材の骨組みが組み立てられているのですが、屋根が張られているわけではないので、風はもちろん雨もどんどん入り込んできます。そのかわり岩風呂の上には東屋が掛けられていますので、屋根の下で露天風呂に入るのであれば雨は避けられます。私が訪問した日には台風で篠突く雨に見舞われていたのですが、この屋根のお陰で豪雨の中でも湯浴みをすることができました。


 
怪しげなメッセージと品に欠ける看板の数々で、入浴客の感覚が錯乱しそうになりますが、既に温泉ファンの皆さんがおっしゃっているようにお湯のクオリティは良好であり、温泉を引いている槽で完全掛け流しを行っている点は大いに評価したいところです。
こちらのお湯は郡山エリアでよく見られるタイプであり、わずかに山吹色を帯びた透明で、浴槽に用いられている水色のタイルは、温泉成分の付着によって黄色に染まっています。口に含むと薄いミシン油系の風味を伴いながら、重曹味や非鉄系の金気味が感じられました。また湯中では薄っすらとした泡付きがあり、滑らかなツルスベ浴感が実に爽快でした。

施設内は突っ込みどころ満載のメッセージに溢れており、その怪しさに今まで二の足を踏んで利用を躊躇っていましたが、実際に入浴してみますと、温泉としてはなかなか宜しく、浴感の良さには正直なところ感心してしまいました。湯船に浸かりながら看板の文言を読んで、漫才のようにひとつひとつツッコミを入れてみると、これまた意外に面白いもんです。
せっかくお湯が良質なんだから、余計な看板なんかでアピールせず、品よく勝負すれば良いのになぁ…なんていう想いを露天風呂に浸かりながら抱いたのですが、価値観が多様化していると言いつつも、実はネット等の情報により、かえって志向や感覚が一定方向へ固定化しつつあるという指摘もあるようですから、こうした個性的で多少ぶっ飛んでいる施設があった方が、社会としては健全なのかもしれませんね。


須賀川ぼたん温泉
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉 40.1℃ pH8.7 動力揚湯 溶存物質1.064g/kg 成分総計1.064g/kg
Na+:324.1mg(97.78mval%),
F-:8.6mg, Cl-:240.6mg(46.63mval%), OH-:0.1mg, SO4--:127.1mg(18.20mval%), HCO3-:241.8mg(27.20mval%), CO3-:21.1mg,
H2SiO3:30.9mg, HBO2:60.3mg,
加水あり(温泉の供給量の不足を補うため)
加温あり(入浴に適した温度に保つため)
循環消毒なし

福島県須賀川市滑川関ノ上22-2  地図
0248-63-1112
ホームページ

6:00~23:00 年中無休
530円/90分(時間に応じて利用料金が異なる)
ロッカー・シャンプー類・ドライヤーあり

私の好み:★★+0.5

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ベタな有名観光地を駆け足で巡る 京都の桜2015年

2015年04月13日 | 京都府・大阪府・滋賀県
本来でしたら今回から温泉の記事を復活させる予定でしたが、パソコンの前でいくら粘ってみても、なぜか温泉について書き綴る思考回路が働きません。そこで温泉とは無関係ですが、頭のリハビリ代わりとして、先日関西出張のついでに駆け足で巡ってきた京都の桜の画像を、洛西から洛東へ順にサクサクっとアップさせていただきます。
私のブログではマニアックな温泉を取り上げることが多いのですが、なんでもかんでもマニアックに攻めようとすると、どこを訪れようかと考えるだけでも疲れてしまい、行動するのは余計に億劫です。しかも行動できる時間は、日中から帰路の新幹線までの数時間に限られています。そこで今回は、敢えてわかりやすい有名観光地に的を絞り、一箇所一箇所をじっくり鑑賞すること無く、無粋にも駆け足で巡ることにしました。京都お花見タイムトライアル、いざスタート。


●仁和寺

私が京都を訪れた日、御室の桜はちょうど満開になったばかり。前日時点では7分咲という情報を得ていたので、この日になれば「間違いない」と踏んでいたのですが、その予想は見事的中。嵐電を下車して山門を潜ろうかというタイミングで、いままで翳っていた空が明るくなり、金堂を参拝後にしばらく空の様子を窺っていたら、幸運な事に五重塔の背後の空が晴れてくれました。「御室の桜」と言えば、容姿があまり宜しくない女性を意味する周りくどい言い回しでもありますが、いやいやどうして、ありきたりな染井吉野より、はるかに上品で淡麗ではありませんか。


 
高校時代に『徒然草』の「これも仁和寺の法師」を読み、その大馬鹿野郎な坊さんのエピソードに妙なシンパシーを抱いてしまった私は、学生時代に何度も京都へ通う中で、明らかに他の桜とは容姿を異にする、背も華(鼻)も低いこの仁和寺の桜と出逢い、それ以来、まるで自分の体型のようなこの桜がすっかり気に入ってしまいました。京都の桜の中では、御室の桜が一番好きだな…。


●妙心寺・退蔵院
 
広大な境内を擁する妙心寺の山内塔頭のひとつ。訪問お断りの塔頭も多い中で、この退蔵院は観光客の来訪を積極的に受け入れているのですが、けだしご住職のお考えがあってのことなのでしょう。ありがたいものです。庭園の冠木門を潜ってすぐのところに立つ立派な枝垂れが実に立派。



この退蔵院は庭園がフォトジェニックであり、しかもまだあまり有名ではないためか、他の名所のような混雑とも無縁なのが嬉しいところ。池の畔に腰を下ろし、静かにゆっくりこの景色を眺めていられるんですね。


●龍安寺

妙心寺へ訪れたついでに、山外塔頭である龍安寺にも立ち寄ってみました。日本どころか世界的に著名である枯山水のお庭では、いい具合に枝垂れが花をつけていました。それにしても外国人観光客の多さにびっくり。方丈の中で飛び交う言葉は英語・仏語・広東語・タイ語と実に多種多様。ここでは日本人の方が少数派じゃないのかな。


 
龍安寺って枯山水ばかりがクローズアップされますが、その奥にある桜苑は意外とボリューミーで見応えあるんですよね。でも花の付き方がボテっとしちゃって、いまいち品に欠けているような気がします。あんかけを作るとき、中華鍋に片栗粉を入れるタイミングを誤って、ダマになっちゃったような感じ。


 
ここでは花を見上げるより、視線を低くして、苔の絨毯の上に散った花びらを見つめていたほうが良かったなぁ。


●平安神宮



平安神宮の桜といえば「里帰りの桜」が有名ですけど、この八重紅枝垂が品種として大きく発展したのは、京都から遠く離れた杜の都仙台であります。仙台市内の桜の名所、たとえば榴岡公園や三神峯公園などでも八重紅枝垂が咲きますが、平安神宮の桜もこれらと同種であって、初代仙台市長で根っからの仙台っ子でもある遠藤庸治が、神宮の造営時に仙台から株を分けて献上したものなんですね。常日頃から東北へ足繁く通い、体内に仙台の血も流れている私としては、たとえ京都の他の桜を見逃したとしても、是非この桜にだけはお目にかからないと、東北への義理が果たせない気がしたので、今回立ち寄らせていただきました。「白河以北一山百文」と散々バカにされてきた東北の遺伝子が、こうして京都を代表する景観を生み出しているのですから、なんとも意地らしいじゃありませんか。


●哲学の道
 
御室の桜が満開ということは、他の多くの桜は見頃が終わっているという意味でもあり、ご多分に漏れず「哲学の道」の桜はほとんど散っていました。むしろシャクナゲやレンギョウといった花々が見頃。春の青空と芽吹き始めた新緑には、淡い色合いの桜より、こうした鮮やかな色彩の花が映えます。



染井吉野は葉桜になりかけていましたが、遅咲きの白い八重はちょうど見頃。こうして眺めると、リンゴやナシの花に見えないこともなく、サクラもバラ科の一種なんだなと再認識します。


●インクライン
 
「鉄ちゃん」としての楽しみも享受したく、蹴上のインクラインにも足を運んで、骨董品クラスのレールを愛でつつ、麓に広がる京都盆地を眺望します。ここのサクラもほとんど散っていましたが、辛うじて桜色が残った景色をバックにして、外国人旅行者が和装コスプレの撮影会に歓声をあげていました。中には和服の合わせが左前になっていたカップルもいましたけど、ご本人が満足していれば文句を言う筋合いもなく、まぁご愛嬌ということで、こちらも笑って見逃すことに。


 
日本の鉄道創世期にはイギリス製のレールが多く採用されていましたが、このインクラインに保存されているレールにはイギリスBarrow社製のものが多く見られます。また枕木とレールを固定する犬釘にも英国製が見られ、左(上)画像に写っている欧州の古いタイプの犬釘は、その名前の通り犬の頭のような形状をしているんですね。右(下)画像はインクラインで三十石船を上下させていた車両。そして、車両の後ろに立てかけてある大きな輪っかは、インクラインのケーブルを巻き上げる滑車であります。
荷重を分散させるためか、車両の台車がボギー台車になっており、一見すると一般的な鉄道の貨物車両と同じようなスタイルです。でも直線状のルートを上下するだけで、カーブを曲がる必要がないためか、ボギー台車に心皿が無く、車体と側受が接合されていました(保存にあたってそのような接合措置を施したのかもしれませんけど…)。
あれあれ、サクラと関係ない内容になっちゃった。軌道修正しなきゃ。レールの話題をしちゃったので…。


●毘沙門堂



東山を越えて山科の毘沙門堂へ。ここへ至る途中に越える山科疎水のサクラは大方散っていましたが、この境内の枝垂れはちょうど満開を迎えており、それでいて市街中心部の各名所ほど混雑していなかったので、人影を気にせずのんびり撮影できました。
このお寺は、春の桜や秋の紅葉も素晴らしいのですが、本堂の襖絵にこそ真髄があるように思います。逆遠近法を用いた「動く襖絵」(早い話がトリックアート)や、来客に「お引き取り願います」というメッセージを伝えるため風変わりな梅花禽鳥図など、障壁画が実に味わい深いんです。残念ながら撮影禁止なので、ここではご紹介できませんが、特に後者は京都人の嫌味ったらしい気質が現れており、とっても面白くて気に入っています。


●高台寺
 
京都の神社仏閣は、えてして夕方になると門を閉ざしてしまうものですが、桜のシーズンは一部寺院で夜間特別拝観や桜のライトアップが実施されますので、日没後にその中のひとつである高台寺へと向かってみました。方丈庭園ではプロジェクションマッピングによる演出が行われており、白砂をスクリーンに見立て、テーマに合わせて勅使門と枝垂れ桜にも照明が当てられるのですが、正直なところ、あんまりピンと来なかったかな…。それよりも、底冷えする中で各ポイントに立ち、暗い足元の注意を促したり、建物の案内をしたりと、英語を織り交ぜながらまじめにお仕事をしていた学生アルバイトさん達に、慰労の言葉を送りたいものです。
それにしても京都を訪れる外国人観光客は、驚くほど増加しているんですね。高台寺から京都駅へ戻る途中、祇園の街も京都駅行の市営バスも、いまや行き交う人の大多数が外国人観光客であるような印象を受けました。実際にそのわずかな間だけでも、5組の客から英語で道を尋ねられたのですが、それだけ明らかに日本人とわかる外見の人が(私以外に)いなかったということなのでしょう。おかげさまで良い社会勉強ができました。
さて、残り時間も僅かになってきたぞ…。


●東寺

新幹線に乗り込む直前、京都駅に近い東寺にも立ち寄り、僅か10分ほどですが、五重塔と桜のライトアップを鑑賞。
これにて今回の桜名所めぐりはタイムアップ。

実はこの記事で取り上げたポイント以外にも数箇所訪れているのですが、いずれも見頃が過ぎておりましたので、今回は取り上げませんでした。流石に京都は名所がギュッと凝縮されていますから、場当たり的に行動しても、なんだかんだでたくさん巡れるものです。もちろんその分、拝観料もたっぷり納めなきゃいけませんけどね。

.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする