温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

ベタな有名観光地を駆け足で巡る 京都の桜2015年

2015年04月13日 | 京都府・大阪府・滋賀県
本来でしたら今回から温泉の記事を復活させる予定でしたが、パソコンの前でいくら粘ってみても、なぜか温泉について書き綴る思考回路が働きません。そこで温泉とは無関係ですが、頭のリハビリ代わりとして、先日関西出張のついでに駆け足で巡ってきた京都の桜の画像を、洛西から洛東へ順にサクサクっとアップさせていただきます。
私のブログではマニアックな温泉を取り上げることが多いのですが、なんでもかんでもマニアックに攻めようとすると、どこを訪れようかと考えるだけでも疲れてしまい、行動するのは余計に億劫です。しかも行動できる時間は、日中から帰路の新幹線までの数時間に限られています。そこで今回は、敢えてわかりやすい有名観光地に的を絞り、一箇所一箇所をじっくり鑑賞すること無く、無粋にも駆け足で巡ることにしました。京都お花見タイムトライアル、いざスタート。


●仁和寺

私が京都を訪れた日、御室の桜はちょうど満開になったばかり。前日時点では7分咲という情報を得ていたので、この日になれば「間違いない」と踏んでいたのですが、その予想は見事的中。嵐電を下車して山門を潜ろうかというタイミングで、いままで翳っていた空が明るくなり、金堂を参拝後にしばらく空の様子を窺っていたら、幸運な事に五重塔の背後の空が晴れてくれました。「御室の桜」と言えば、容姿があまり宜しくない女性を意味する周りくどい言い回しでもありますが、いやいやどうして、ありきたりな染井吉野より、はるかに上品で淡麗ではありませんか。


 
高校時代に『徒然草』の「これも仁和寺の法師」を読み、その大馬鹿野郎な坊さんのエピソードに妙なシンパシーを抱いてしまった私は、学生時代に何度も京都へ通う中で、明らかに他の桜とは容姿を異にする、背も華(鼻)も低いこの仁和寺の桜と出逢い、それ以来、まるで自分の体型のようなこの桜がすっかり気に入ってしまいました。京都の桜の中では、御室の桜が一番好きだな…。


●妙心寺・退蔵院
 
広大な境内を擁する妙心寺の山内塔頭のひとつ。訪問お断りの塔頭も多い中で、この退蔵院は観光客の来訪を積極的に受け入れているのですが、けだしご住職のお考えがあってのことなのでしょう。ありがたいものです。庭園の冠木門を潜ってすぐのところに立つ立派な枝垂れが実に立派。



この退蔵院は庭園がフォトジェニックであり、しかもまだあまり有名ではないためか、他の名所のような混雑とも無縁なのが嬉しいところ。池の畔に腰を下ろし、静かにゆっくりこの景色を眺めていられるんですね。


●龍安寺

妙心寺へ訪れたついでに、山外塔頭である龍安寺にも立ち寄ってみました。日本どころか世界的に著名である枯山水のお庭では、いい具合に枝垂れが花をつけていました。それにしても外国人観光客の多さにびっくり。方丈の中で飛び交う言葉は英語・仏語・広東語・タイ語と実に多種多様。ここでは日本人の方が少数派じゃないのかな。


 
龍安寺って枯山水ばかりがクローズアップされますが、その奥にある桜苑は意外とボリューミーで見応えあるんですよね。でも花の付き方がボテっとしちゃって、いまいち品に欠けているような気がします。あんかけを作るとき、中華鍋に片栗粉を入れるタイミングを誤って、ダマになっちゃったような感じ。


 
ここでは花を見上げるより、視線を低くして、苔の絨毯の上に散った花びらを見つめていたほうが良かったなぁ。


●平安神宮



平安神宮の桜といえば「里帰りの桜」が有名ですけど、この八重紅枝垂が品種として大きく発展したのは、京都から遠く離れた杜の都仙台であります。仙台市内の桜の名所、たとえば榴岡公園や三神峯公園などでも八重紅枝垂が咲きますが、平安神宮の桜もこれらと同種であって、初代仙台市長で根っからの仙台っ子でもある遠藤庸治が、神宮の造営時に仙台から株を分けて献上したものなんですね。常日頃から東北へ足繁く通い、体内に仙台の血も流れている私としては、たとえ京都の他の桜を見逃したとしても、是非この桜にだけはお目にかからないと、東北への義理が果たせない気がしたので、今回立ち寄らせていただきました。「白河以北一山百文」と散々バカにされてきた東北の遺伝子が、こうして京都を代表する景観を生み出しているのですから、なんとも意地らしいじゃありませんか。


●哲学の道
 
御室の桜が満開ということは、他の多くの桜は見頃が終わっているという意味でもあり、ご多分に漏れず「哲学の道」の桜はほとんど散っていました。むしろシャクナゲやレンギョウといった花々が見頃。春の青空と芽吹き始めた新緑には、淡い色合いの桜より、こうした鮮やかな色彩の花が映えます。



染井吉野は葉桜になりかけていましたが、遅咲きの白い八重はちょうど見頃。こうして眺めると、リンゴやナシの花に見えないこともなく、サクラもバラ科の一種なんだなと再認識します。


●インクライン
 
「鉄ちゃん」としての楽しみも享受したく、蹴上のインクラインにも足を運んで、骨董品クラスのレールを愛でつつ、麓に広がる京都盆地を眺望します。ここのサクラもほとんど散っていましたが、辛うじて桜色が残った景色をバックにして、外国人旅行者が和装コスプレの撮影会に歓声をあげていました。中には和服の合わせが左前になっていたカップルもいましたけど、ご本人が満足していれば文句を言う筋合いもなく、まぁご愛嬌ということで、こちらも笑って見逃すことに。


 
日本の鉄道創世期にはイギリス製のレールが多く採用されていましたが、このインクラインに保存されているレールにはイギリスBarrow社製のものが多く見られます。また枕木とレールを固定する犬釘にも英国製が見られ、左(上)画像に写っている欧州の古いタイプの犬釘は、その名前の通り犬の頭のような形状をしているんですね。右(下)画像はインクラインで三十石船を上下させていた車両。そして、車両の後ろに立てかけてある大きな輪っかは、インクラインのケーブルを巻き上げる滑車であります。
荷重を分散させるためか、車両の台車がボギー台車になっており、一見すると一般的な鉄道の貨物車両と同じようなスタイルです。でも直線状のルートを上下するだけで、カーブを曲がる必要がないためか、ボギー台車に心皿が無く、車体と側受が接合されていました(保存にあたってそのような接合措置を施したのかもしれませんけど…)。
あれあれ、サクラと関係ない内容になっちゃった。軌道修正しなきゃ。レールの話題をしちゃったので…。


●毘沙門堂



東山を越えて山科の毘沙門堂へ。ここへ至る途中に越える山科疎水のサクラは大方散っていましたが、この境内の枝垂れはちょうど満開を迎えており、それでいて市街中心部の各名所ほど混雑していなかったので、人影を気にせずのんびり撮影できました。
このお寺は、春の桜や秋の紅葉も素晴らしいのですが、本堂の襖絵にこそ真髄があるように思います。逆遠近法を用いた「動く襖絵」(早い話がトリックアート)や、来客に「お引き取り願います」というメッセージを伝えるため風変わりな梅花禽鳥図など、障壁画が実に味わい深いんです。残念ながら撮影禁止なので、ここではご紹介できませんが、特に後者は京都人の嫌味ったらしい気質が現れており、とっても面白くて気に入っています。


●高台寺
 
京都の神社仏閣は、えてして夕方になると門を閉ざしてしまうものですが、桜のシーズンは一部寺院で夜間特別拝観や桜のライトアップが実施されますので、日没後にその中のひとつである高台寺へと向かってみました。方丈庭園ではプロジェクションマッピングによる演出が行われており、白砂をスクリーンに見立て、テーマに合わせて勅使門と枝垂れ桜にも照明が当てられるのですが、正直なところ、あんまりピンと来なかったかな…。それよりも、底冷えする中で各ポイントに立ち、暗い足元の注意を促したり、建物の案内をしたりと、英語を織り交ぜながらまじめにお仕事をしていた学生アルバイトさん達に、慰労の言葉を送りたいものです。
それにしても京都を訪れる外国人観光客は、驚くほど増加しているんですね。高台寺から京都駅へ戻る途中、祇園の街も京都駅行の市営バスも、いまや行き交う人の大多数が外国人観光客であるような印象を受けました。実際にそのわずかな間だけでも、5組の客から英語で道を尋ねられたのですが、それだけ明らかに日本人とわかる外見の人が(私以外に)いなかったということなのでしょう。おかげさまで良い社会勉強ができました。
さて、残り時間も僅かになってきたぞ…。


●東寺

新幹線に乗り込む直前、京都駅に近い東寺にも立ち寄り、僅か10分ほどですが、五重塔と桜のライトアップを鑑賞。
これにて今回の桜名所めぐりはタイムアップ。

実はこの記事で取り上げたポイント以外にも数箇所訪れているのですが、いずれも見頃が過ぎておりましたので、今回は取り上げませんでした。流石に京都は名所がギュッと凝縮されていますから、場当たり的に行動しても、なんだかんだでたくさん巡れるものです。もちろんその分、拝観料もたっぷり納めなきゃいけませんけどね。

.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする