経済なんでも研究会

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新次元・SF経済小説 【 プ レ ー ト 】

2018-10-28 07:35:00 | SF
第6章 ニッポン : 2070年代

≪56≫ 大活躍 = 名古屋の銀行に3人組の強盗が拳銃を持って押し入り、人質を取って立てこもった。ところが、この銀行のフロアには、マヤ工業製のガードマン型ロボットが配置されていた。強盗が「床に伏せろ」と威嚇しても、ロボットは言うことをきかない。そこで犯人の1人がロボットに向けて拳銃を発射。その瞬間、ロボットの頭から光線が出ると、強盗団はみな意識を失って倒れてしまった。

オランダのアムステルダムでは、夜間に有名な宝石店のガラスが破られ、軽機関銃を持った男たちが侵入した。だが、ここでも店内に配置されていたロボットが、光線で男たちを眠らせてしまう。ロボットは軽機関銃の乱射もはね返したと、現地の新聞は大々的に報じていた。

2070年代の初め、世界中の国が治安の悪化に悩まされていた。長く続いた不況のために、人々の心が荒れてしまったためだろう。日本も例外ではなかった。しかし高齢化の進展で、若い警察官は集まらない。財政も苦しいから、警察力の増強もままならない。

ある晩、マーヤがこんなことを尋ねてきた。「貴方はなぜ、ガードマン型と農水産型のロボットしか造らないの。ダーストン国のように、医療型や教育型のロボットも造れるのに」

――いまの世相をみていると、人々がいちばん求めているのは治安の回復だと思うんだ。それで、まずガードマン型の普及に力を入れる。銀行や店舗に配置するだけでなく、街のなかを巡回する“お巡りさん”ロボットも増やせば、犯罪だけでなく、事故や火災を早く見つけて通報できるだろう。

「海外ではマヤ製ロボットの内臓プログラムをコピーして、同じようなガードマン型を造り始めたらしいわ。特許を取ってないから、仕方がないけれど」

――ああ、ぼくらの生産台数には限りがあるからね。海外でも独自に造れば、それだけ治安の回復が早くなるだろう。ただ海外の製品には、ダーストニウム合金が使えない。だから機関銃や手りゅう弾でやられれば、ロボットの方が負けてしまう。結局、日本製の方が品質がいいことに、いずれ世界中が気付くだろうね。

「素晴らしい。でも貴方も相当の悪になったみたい」  こう言って、マーヤはぼくの腕のなかに飛び込んできた。

                            (続きは来週日曜日)  

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