経済なんでも研究会

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エネルギー無策 (上)

2019-06-12 08:21:42 | エネルギー
◇ 電源比率目標を作成できず = 政府は先週7日の閣議で、19年度版エネルギー白書を承認した。ことしの白書の主なテーマの1つは、地球温暖化防止のためのCO₂排出削減。日本の取り組みは遅れており、16年の1人当たり排出量は9.0トン。OECD(経済協力開発機構)加盟35か国中で、27番目の成績だった。これは火力発電への依存度が高いことが原因で、白書は「再生可能エネルギーの普及を促進するためには、新しい制度の導入が必要だ」と訴えている。

石油・石炭・LNG(液化天然ガス)を燃料とする火力発電への依存度が高いのは、原子力や再生可能エネルギーによる発電が増加しないためだ。東日本大震災前の10年度と17年度を比べてみると、原子力発電の比率は25.1%⇒3.1%へと急減。再生可能エネルギーは水力を含めて、9.4%⇒16.0%とやや増加。この結果、火力発電の比率は65.4%⇒80.7%に増大してしまった。

このような燃料別の発電比率は、国の経済の根幹にかかわる重大な指標である。たとえば火力発電の比率が高ければ、それだけCO₂の排出は多くなるし、莫大な代金が産油国に支払われることで購買力が流出、景気の上昇を抑えてしまう。だから政府はエネルギー政策の基本として、3年ごとに「電源比率目標」を作成することにしている。

経済産業省が15年に作成した電源比率目標は「30年度に原子力20-22%、再生可能エネルギー22-24%、火力56%」という内容だった。だが現状から判断して、原子力や再生エネルギーがこの目標を達成するのは全くムリ。しかし政府は新しい電源比率目標を、4年たったいまも作れない。どうやって原子力や再生エネルギーを伸ばしたらいいのか、考え付かないからである。白書でも問題提起はしたが、チエはない。無策である。

                             (続きは明日)

       ≪11日の日経平均 = 上げ +69.86円≫

       ≪12日の日経平均は? 予想 = 下げ≫  

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