◇ 「よきに計らえ」では危ないぞ = 日銀は脱炭素に向けた、新しい投融資計画を策定する。金融機関が気候変動に対応する事業に投融資することを、資金面から後押しする内容だ。詳細を詰めて、年内には運用を開始する予定。貸出金利はゼロ、期間1年だが30年まで借り換えできるようにする。脱炭素は世界的な潮流であり、日銀としても政策的に支援することにした。
その基本的な考え方は正しい。イングランド銀行やECB(ヨーロッパ中央銀行)も、脱炭素を支援する計画を発表している。ところが、この日銀の計画には、大きな落とし穴があるのではないか。というのも実際に投融資する事業の選定は、すべて金融機関まかせ。投融資先の拡大を図りたい金融機関が、将来性の不確かな企業や事業を選んでも、日銀にはチェックする手段がない。
イングランド銀行やECBは、その不安を除くために投資をグリーン債券やETF(上場投資信託)に限定するようだ。またFRBは脱炭素を目指した投融資そのものを考えていない。にもかかわらず日銀がこの計画を発表したのは、ヨーロッパの中央銀行に先を越されたくないという意向が働いたためと指摘する関係者もいる。
たとえば、ある企業が山奥の傾斜地に太陽光発電所を造ると計画する。その地方の金融機関は、日銀の新制度を使ってそこに融資する。ゼロ金利の元手だから、貸せば必ず儲かる。だが、この地域には送電線がなかった。事業は失敗するだろうが、金融機関に損は出ない。こんなとき、責任は誰が負うのだろうか。日銀にそれを防ぐ手段があるとは思えない。
≪28日の日経平均 = 下げ -388.56円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
その基本的な考え方は正しい。イングランド銀行やECB(ヨーロッパ中央銀行)も、脱炭素を支援する計画を発表している。ところが、この日銀の計画には、大きな落とし穴があるのではないか。というのも実際に投融資する事業の選定は、すべて金融機関まかせ。投融資先の拡大を図りたい金融機関が、将来性の不確かな企業や事業を選んでも、日銀にはチェックする手段がない。
イングランド銀行やECBは、その不安を除くために投資をグリーン債券やETF(上場投資信託)に限定するようだ。またFRBは脱炭素を目指した投融資そのものを考えていない。にもかかわらず日銀がこの計画を発表したのは、ヨーロッパの中央銀行に先を越されたくないという意向が働いたためと指摘する関係者もいる。
たとえば、ある企業が山奥の傾斜地に太陽光発電所を造ると計画する。その地方の金融機関は、日銀の新制度を使ってそこに融資する。ゼロ金利の元手だから、貸せば必ず儲かる。だが、この地域には送電線がなかった。事業は失敗するだろうが、金融機関に損は出ない。こんなとき、責任は誰が負うのだろうか。日銀にそれを防ぐ手段があるとは思えない。
≪28日の日経平均 = 下げ -388.56円≫
≪29日の日経平均は? 予想 = 上げ≫