経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

今週のポイント

2019-12-09 08:37:19 | 株価
◇ 世界は2つのイベントを凝視 = いよいよ12日と15日が、間近に迫ってきた。イギリスの総選挙と、アメリカの中国製品に対する追加関税引き上げの期限である。いずれも現状では、その結果を予測できない。推測や結末を巡って、今週の市場は揺れ動くのか。それとも静かに成り行きを注視するのか。

ダウ平均は先週36ドルの値下がり。前半は製造業の景況感が悪化したり、トランプ大統領が「中国との合意は大統領選挙後でもいい」と発言したりして下げ続けた。しかし後半になると、予想を大きく上回る雇用統計が発表されるなどして、株価は大幅に反発した。これでFRBによる利下げはなくなったとみられるが、市場は景気の順調な拡大の方を重視した。

日経平均は先週60円の値上がり。こちらも売り買いが交錯したが、一時は年初来高値を更新した。中国の製造業の景況感が改善したことで、中国関連銘柄が上昇。やや円安になったことも、下支えになった。政府が総額13兆2000億円の景気対策を決めたため、建設株も買われている。ただ景気対策に対する市場の反応は、きわめて限定的だった。

今週は9日に、7-9月期のGDP確定値、10月の国際収支、11月の景気ウオッチャー調査。11日に、10-12月期の法人企業景気予測調査、11月の企業物価。12日に、10月の機械受注。13日に、12月の日銀短観。アメリカでは11日に、11月の消費者物価。12日に、11月の生産者物価。13日に、11月の小売り売上高。また中国が10日に、11月の消費者物価と生産者物価を発表する。

       ≪9日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

「読解力」急落の 衝撃 !

2019-12-07 08:05:34 | なし
◇ 学校教育が悪いのか? = OECD(経済協力開発機構)は3年に1度、世界79か国の15歳60万人を対象に、PISA(国際学習到達度調査)を実施している。昨年の実施結果が先週3日発表され、大きな話題を呼んだ。というのも「読解力」の部門で、日本が前回の8位から15位に転落したからだ。文部科学省は「SNSなどで短文のやり取りが増え、読書などで長文に触れる機会が減ったためではないか」と解説。テレビ番組では、専門家が「学校教育に問題がある」と力説している。

PISAは「読解力」のほか「数学的応用力」と「科学的応用力」についても調査している。日本は「数学的応用力」部門では5位、また「科学的応用力」部門では6位だった。世界第1位は中国(北京、上海、江蘇、浙江)で、第2位はシンガポール。第3位はマカオだった。中国、シンガポール、マカオは、それぞれ3部門で1位、2位、3位を占めている。

本や新聞などを読まなくなったことが、読解力を低下させる原因になったことは明らかだ。OECDが同時にアンケート調査した結果では、本を読まない生徒は中国が3.3%だったのに対して、日本は25.7%に達している。では、なぜ本を読まなくなったのか。この点については実にさまざまな意見が出ているが、なかで最も多いのが「学校教育に問題がある」という主張のようだ。

しかし何でも学校のせいにするのは、いかがなものか。もちろん、学校教育やSNSも読解力を低下させる原因になっているのだろう。だがゲームはどうだろう。長時間ゲームに熱中すれば、読書の時間などは無くなるに決まっている。文科省はゲームと読解力の相関性について、調べるべきだ。さて、ゲーム時間を短縮させるには? 本来は親の責任だと思うが、叱り過ぎると「虐待だ」と言われるこのごろ。難しい世の中になったと思う。

       ≪6日の日経平均 = 上げ +54.31円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝1敗】   

最後のトリデは 個人消費 / アメリカ

2019-12-06 08:15:00 | アメリカ
◇ 年末商戦は活況の滑り出し = アメリカでは、先週28日が感謝祭の休日。毎年この日の夕刻から、恒例のXマス大売出しがスタートする。ことしの滑り出しは、きわめて好調。デパートや専門店には、行列ができたという。調査会社の予測では、売上総額が7300億ドル(約80兆円)、前年の4%増になる見通し。この年末商戦は12月中旬まで続くので、トランプ大統領も中国製品への追加関税引き上げを12月15日まで延期した。

これまでも個人消費は堅調に推移してきた。7-9月期も前年比2.9%の伸びを維持している。失業率が3.6%と50年ぶりの低さとなり、賃金も3%台の上昇率を維持していることが原動力だ。こうしてみると、アメリカ経済は底堅い動きをしているように思われる。しかし半面、製造業は深刻な状態に陥っている。工業生産はことし6月以降、8月を除いて減少中。ISM(サプライ・マネジメント協会)による景況感調査は、11月まで4か月連続で好不況を分ける50を下回った。

アメリカのGDPは、個人消費が7割を占める。製造業の比重は1割強しかない。したがって個人消費の堅調が続けば、そのうちに製造業の業況も回復する。だから経済の将来に不安はない。こう考える人が、いまは過半数を占めている。もちろん、その可能性も小さくはない。だが一方で、落とし穴もないではない。

と言うのも、Xマス商戦の売れ筋は玩具やゲーム、化粧品など。その多くは中国製品であって、アメリカ製品はむしろ少ない。このため年末商戦が活況でも、アメリカの製品在庫は減りにくい。また現在の消費ブームは、15日以降の高関税を見越した“駆け込み”かもしれない。仮にそうだと、消費は年明けから鈍る可能性もないではない。楽観は禁物である。

       ≪5日の日経平均 = 上げ +164.86円≫

       ≪6日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

新車が売れない理由は?

2019-12-05 08:09:50 | 自動車
◇ 消費増税の影響だけではない = 業界団体の集計によると、軽自動車を含む11月の新車販売台数は38万5859台で前年同月を12.7%下回った。内訳は普通車が23万8844台で14.6%の減少、軽自動車が14万7015台で9.4%の減少だった。消費税が10%に引き上げられた10月は前年比で24.9%も減少していたから、減少率は半分程度に縮小している。だが、それにしても販売不振は厳しすぎる。なぜ、売れないのだろう。

消費税が5%から8%に引き上げられたのは、14年の4月だった。そのときの販売状況は、4月が前年比5.5%の減少。5月は1.2%減少にまで戻している。それに比べると、今回の販売減少はやや異常なほどだ。政府はこうした需要の減退を防ぐために減税措置を講じたが、その効果もなかったと言えるだろう。

増税前の駆け込み需要は、たしかにあった。一般車でみると、8月が4.0%増、9月が12.8%増。軽自動車では8月が11.5%増、9月が13.2%増だった。10月以降、その反動が現われたことは間違いない。だが販売不振の理由は、それだけではなさそうだ。加えて複数の原因が、微妙に影響しているように思われる。

たとえば台風や大雨の影響。あるいは増税により生じた消費者の節約志向。また将来の生活に対する不安。さらに本格的なEV(電気自動車)の登場待ちや若者の車ばなれ・・・。一過性の天候不順を除けば、その他の要因は長引く可能性が大きい。世界経済の停滞で、輸出にも暗雲が。自動車業界は、消費増税を機に、下り坂に入ったのかもしれない。

       ≪4日の日経平均 = 下げ -244.58円≫

       ≪5日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

水平飛行が続く 円相場

2019-12-04 08:04:34 | 円相場
◇ ことしの値幅は8円以内 = 円の対ドル相場が、異常と言っていいほど動かない。11月は1ドル=108円台で始まり、109円台で終わっている。月間の値幅は1円60銭以内に収まった。ことし1-11月間をみても、最高値は1月の104円台。最安値は4月の112円台で、年間を通しても値幅は8円以内にとどまっている。かつては1年間に50円ぐらい変動しても、全く不思議ではなかった。いったい、どうして動かなくなったのだろう。

円相場を決める最大の要因は、日米間の金利差であるということが定説になっている。FRBはことし7月末に政策転換し、利下げに踏み切った。日本の金利は一貫してゼロだから、8月以降は円相場に上昇圧力が加わるはず。ところが円相場は、やや下げ気味に推移している。この動きは、為替の専門家でも予測できなかった。

もちろん、円相場を決める要因は、ほかにも多数ある。たとえば国際緊張の高まり、世界経済の回復基調、あるいは日本の対外純資産の増加などは、円の上昇要因に。また国際緊張の緩和、世界経済の不調、あるいは日本の貿易黒字縮小、日本企業の海外債券投資などは円の下落要因になると考えられている。

最近はこれらの要因が強まったり弱まったりして、全体として均衡しているのではないか。そして重要なことは、各国の金利水準がゼロに近づいたため、金利差が圧縮されてきた。その結果、金利差による為替変動が起こりにくくなったのではないか。もし、こういう状態が続けば、円相場の膠着状態は長期にわたる可能性がある。喜ぶのは、日本の経営者と株式投資家ということになりそうだ。

       ≪3日の日経平均 = 下げ -149.69円≫

       ≪4日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

Zenback

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