m's diary

タイル巡り♡タイル制作♡建築巡り♡町歩き

智頭・石谷家住宅

2023-05-28 | 建築巡り・街歩き【その他】


智頭では、前回も訪れた石谷家の見学&お茶してきた。
石谷家の前回のレポはこちら→
今回は引き手コレクションと、喫茶室をピックアップ。


40余りの部屋があるので、襖の引き手のバリエーションも豊富。
周りの透かし模様が素敵なものから、細かくレリーフが施されたものなど。
モチーフとしては、瓢箪や龍、鳳凰など、おめでたい文様がいろいろ。
中央に龍と周りに雷文レリーフのものは、初めてみたかも。
龍の姿も襖毎に?変えられてた。


「庭園の見える喫茶室」は民藝の吉田璋也のデザインで、
石谷家では、家族の団らんに使用されていた部屋だったそう。


こちらののテーブルやいすなどもオリジナルのもの。


他にお客さんは誰もいなかったので、席は好きなところへ。
庭園に面した席でお茶を頂いた。


欄間のデザインも素敵だなあ。
周囲が漆塗りされていて、上品な欄間。




襖は柿渋で染められた生地が貼られ、よい味わい。



引き手は、中央に花が彫られたかわいいデザイン。


床板は、3枚一組で、正方形にしたものが交互に貼られ、


隣の部屋は5枚一組



抹茶のロールケーキは濃厚で美味しかった。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

智頭宿・タルマーリー他

2023-05-26 | 建築巡り・街歩き【その他】
ここしばらく自転車にドハマりしてる旦那が、何を血迷ったか?最近レースに出始め、
前回の伊吹山に続いて、今回はちくさ高原ヒルクライムに参加するという。
そんな所まで車を出すならついでに自分も便乗して、近くの街歩きできるスポットに降ろしてもらって、観光して来ようということに。
レースは、午前中にさくっと終わりそうだったので、結局そのレースを見てから一緒に智頭へ行くことにした。


ちくさ高原は子供たちが小さかったころ、何度か冬にそり遊び連れてきたことがあった。懐かしい。
レースは、このちくさ高原スキー場へ向かう県道沿い上り12.5㎞のコースで、
車でここまで上ってきたけど、上りの12.5㎞、思ったより長いなあ。
スキー場の麓から先は更にキツそうな上りが続く。
見てるだけでしんどそう・・なんとか旦那も無事完走。


そこから車を走らせ、智頭宿へ。
6年前に一度訪れたことがあった智頭宿。
登録有形文化財の旧塩屋出店が「食事処たけよし」になっていたので、
そこでランチしたいと思ってたのだが、予約しようとすると、その日は臨時休業だそうで、
自家製天然酵母のパン屋さん、タルマーリーでピザランチをすることに。
以前智頭に来た時、旧保育園を改装したお店だったが、こちらの智頭宿にお店が移転し、先月オープンしたばかりのよう。


古民家を改装した店内は、天井には古い梁が残り、
真っ青な壁と天井、アンティークな家具やシャンデリア
一見雰囲気の違うものが合わさった不思議空間。




モザイクタイル貼りのカウンターコーナーもあった。


店内には古い井戸も残されていて、それが上から眺められるガラス張りのテーブルの土台になっていた。


野生の菌を自家培養して発酵させて作るという生地のピザやパンをいくつかチョイスした。






パンの盛り合わせも。


お手洗いに入ると、最初から貼られてたようなモザイクタイルと、
新しいモザイクタイルとの融合?


オレンジのボーダータイルもかわいい。





食後は智頭宿を歩く。
背景の山並みがきれいな静かな街道。
智頭宿は、江戸時代から鳥取藩最大の宿場町として栄えた。
町並みの中には、驚くような広大な敷地の大邸宅も点在していて、
当時の繁栄ぶりがうかがい知れる。
その中の石谷家住宅へも再訪。以前のレポ→



水路が通る路地。





智頭消防団本町分団屯所。昭和16年に建てられた建物は、改修を重ねながら現在も現役で活用されている。
上部の火の見櫓は外壁に掛けられたはしごから直接上ることができるそう。
下見板貼りの洋風の外観がかわいい。


智頭消防団本町分団屯所の2階から見下ろす、向かいの石谷家住宅。


智頭町役場として建てられ、昭和3年に現在の場所に移築されたという下町公民館。


縦長窓が並ぶ1階、2階は土壁にハーフティンバーのような梁を見せた家も。




江戸末期から続く、諏訪酒造の酒蔵のある通り。


石谷家の分家、旧塩屋出店。
こちら、「たけよし」という食事処として活用されているようだけど、
この日は残念ながら臨時休業。


前回に続いて、内部は拝見することは叶わなかった。




敷地内にある下見板貼りの洋館は、西河克己映画記念館となっていて、
こちらは自由に見学することができる。



2階展示室。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

旧鎌掛小学校&古民家カフェ&ギャラリー守貞他

2023-04-19 | 建築巡り・街歩き【その他】
岡家住宅を見学させて頂いた後は、近くの旧鎌掛小学校へやってきた。
下見板貼りの外観がいい感じ。


旧鎌掛小学校は、昭和5年に建てられ、平成13年に廃校になった。
その後、NPO法人により、様々な活動の場として活用され、又ドラマなどのロケ地としても使用されてきた。


モザイクタイルアートが、、卒業制作?




土日は、一般公開されていて、維持協力金300円で見学できるようだ。


長い廊下の一番手前は、校長室。




校長室のガラス戸は結霜ガラスに。


長い廊下を突き進むと、
台形アーチの先は増改築部分か一段天井が下がり、更に廊下が続く。


給食室は、奥に調理室があり、こちらの窓から、配膳されていたよう。


講堂兼体育館。



後方部は、4本のモザイクタイル貼りの柱が支えていた。





2階へ上がる階段には、セセッション風の意匠が刻まれている。


こちらは図書室。畳敷で、格天井。
書架は見当たらなかったが、和風の図書室、落ち着いて読書できそう。


家庭科室も和式。


アニメファンの聖地でもあるようで、意外に賑わっていた。


最後、日野商人街道へ戻ってきて、お茶することに。
街道沿いでも一際大きなお屋敷は、明治時代の日野商人屋敷だった建物が、そば屋、カフェ、ギャラリー、そして一棟貸しの宿など複合施設として生まれ変わっている。


その中のカフェ守貞へ。入口前の持ち送りは紅葉をあしらった素敵デザイン。



カフェ棟は、新たに作られたようだが、
ステンドグラスや照明など、アンティークの部材が使われ、


古い洋館の雰囲気さながら。


天井に入れられていたアールデコのステンドグラス。


各コーナーにぶら下がるアンティークな照明もそれぞれ素敵。


店内のあちこちには、ステンドグラスの衝立やオールドノリタケらしきコレクションも。
値札がついてるものもあったので、販売もされてるようだ。


廊下突き当たりの部屋のドアのステンドグラス。


テーブルにも。


コーヒーゼリーのパフェを。


旦那はいちごのタルト。
ケーキもかわいい〜


カフェで一休みした後は、敷地内を散策。


こちらは一棟貸しの宿、お高いようだけど、
内装も気になる。





突き当たりは、そば処。


ギャラリーでは、昭和レトロ家電展が開催中。


レトロな照明他


様々な懐かし家電などが並ぶ。




この後、旦那がそば屋の方でお手洗いを借りたので、店内に入る。
井戸や古い電話室などもあり、興味津々で見ていると、店員さんが、よかったら中も見て行ってと言ってくださった。


うれし〜い!
ちょうど、お客さんは、おられなかったので、自由に見せて頂けた。
廊下の床は、ぼこぼこした質感の手斧仕上げに。


箱階段が見える1階の飲食スペース。


こちらのそば処もカフェと同じく、古い建物とアンティークの家具や小物とがとてもセンスよく調和していた。


社長のご趣味だそう。
照明も素敵で、型板ガラスが使われた建具などは、リメイクされたものなのか?




廊下突き当たりのガラス扉もそうかな?


2階の客席。



2階にはこんな舞台もあった。

広大な敷地の日野商人のお屋敷が、見事にセンスよくリノベーションされ、活用されていて、素晴らしいなと感じた。

この日は、岡家住宅と日野商人街道のお屋敷いろいろ満喫できた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日野・旧山中正吉邸

2023-04-06 | 建築巡り・街歩き【その他】

向町カフェでランチをした後は、すぐそばの旧山中正吉邸へやってきた。
山中家は、静岡県の富士宮市で酒造業を営んでいた日野商人。
建物は、万延元年から昭和13年に渡り、増改築され、現在の形になったという。


門をくぐると、左手にドイツ壁の洋間の外観が見える。


玄関を入ると、江戸期に造られたという田の字型に並んだ四間が並ぶ。


釘隠しは蝙蝠。
それぞれ、形が違ったもの。


同じ蝙蝠で、それぞれ形を違えてるというような凝り方をしてるのは、初めてかも?
まだ他にも数種類。


毎年5月3日に行われるという日野祭を見物するための桟敷。


ぴったりビルトインされた金庫。


江戸末期から明治初期に増築された座敷のひとつ、だるま部屋と呼ばれた部屋は、丁稚見見習いに読み書きなど教育を行った部屋だそう。
欄間には、珍しく襖が入れられている。


梅が描かれていた。
季節毎に変えられると言われていたような?!


台所のおくどさんは昭和13年に改装されたもので、排煙設備も備えられている為、
全くすすけておらずきれいに保たれていた。


浴室、脱衣所は昭和初期に増築されたもので、



大理石の浴槽に亀甲型のタイル貼り、


椿と鳥が配されたステンドグラスが華やか。


当時、最新設備だったシャワーも完備していた。






脱衣所には、床面には、畳の下にコルクが敷かれていて、防湿面の配慮もされている。


天井は、網代貼りで照明もおしゃれなもの。



新座敷へ。
縁側の欄間には、結霜ガラスが入る。


昭和2年に建てられた新座敷。
お庭を一望できる部屋では、要予約でランチも頂けるそう。



次の間との境には、
細かい桟が入るおさ欄間が入れられている。


障子の引き手も様々で楽しい。
七宝焼で装飾されたものや、



船を引く人が描かれた地袋には、



櫂をモチーフにしたような引き手がついていた。


新座敷から庭園を望む。


次の間。


欄間には、鳳凰の透かし彫り。





結霜ガラスの入った廊下に入れられた建具


大正末期に建てられた洋間。
接客用に使用されていた洋間には、直接入れる専用の玄関もあった。




洋間に敷かれてた絨毯。


扉の向こうは、洋室専用の玄関。


洋館専用玄関と同じく、もう一方の出入り口にあったステンドグラス。
ガラスが膨れ上がって今にも割れそうだった。

増改築されながら、大事に使われてきたお屋敷を堪能することができた。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水口&日野の街歩き&向町カフェ

2023-04-04 | 建築巡り・街歩き【その他】
日野に行く途中、水口も通るので、久しぶりに旧水口図書館へも立ち寄った。
昭和3年、ヴォーリズ設計により建てられた図書館。


入口は2本の円柱に上部は半円アーチにレリーフが施されている。


中央には蝋燭が灯された燭台、その両脇にブックエンドに挟まれた本、
オリーブの葉がデザインされていた。


入口のある棟のてっぺんには塔屋も乗って、こじんまりと可愛くまとまっている。桜も満開で建物に彩を添えていた。
掲示板によると、毎月第2第4日曜日の10時から16時は見学できるようで、
この日は、土曜日で残念。


同じ敷地内には水口小学校があり、校歌が刻まれた陶板が。
周りもタイル。


せっかくなので、水口教会へも立ち寄る。
昭和5年、こちらもヴォーリズ設計により建てられたもの。
煉瓦の門柱、門柱の上のアーチ形の照明も良いな~




隣の牧師館も同時期に建てられたもの。


向かいにあった旧鮮魚店の足元に、


ブルー混じりのモザイクタイルが貼られてた。


タイルが大胆に貼られた旧店舗。


入口上部は、丸モザイクがびっしり。




タイル壁に角丸窓。



その後、車を走らせ、日野に到着。
岡家住宅の予約時間の1時までに、ランチを済ませることに。


車を停めて歩き始めると、めちゃめちゃいい感じの旧たばこ屋さんに遭遇。


飴釉のモザイクが貼られたショーウィンドウ下の土台に、


小窓の下はカウンターのような台になった部分に数種類の細かなモザイクタイルが貼られてた。




腰壁に本物っぽい竹のタイルが貼られたお店?


太細、大小さまざまな竹、節がとてもリアル。




竹タイルの向かいのお店の腰壁には、


コンクリートで成形したような擬木が並ぶ。


2階の面格子がかわいいアパート?






旧野口写真館。
少し黄色味がかった壁の色もいいし、「野口寫眞館」のフォントといい、
窓回りの飾り、瓦屋根で和洋折衷具合も魅力的な建物だった。


2階の窓下にライオンも潜んでた。





入口横のショーウィンドウ。
こちらも内部は、日曜のみ公開されてるよう。


日野商人街道には、古民家が並んでいて、こちらは日野を代表する漢方薬、萬病感応丸を扱っていたお店。
現在、観光案内所となっている。


骨董屋「かく福」。
後ほど、こちらのお店が手がけた古民家カフェへ行くが、とてもセンスよく素敵なとこだった。




そして、この日、お目当てにしていた「向町カフェ」へやって来た。


お店の前には籐製の乳母車。


店内は、レトロで可愛い空間が広がる。


一番乗りだったので、どこに座るか迷うなあ。


型板ガラスが素敵で、一枚のガラス戸に、
数パターンの型板ガラスが嵌められてるのが良い。



こちらは、桟毎に、3種類の型板ガラスが使われてる。


カウンターには、コラベルタイルがしきつめられていた。色合わせも素敵。


そして、プレートランチを注文。
野菜が盛り沢山で栄養たっぷりなプレートランチを堪能。

この後は、旧山中正吉邸へ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヴォーリズ建築の岡家住宅見学

2023-04-02 | 建築巡り・街歩き【その他】
滋賀県の日野にあるヴォーリズ建築の岡家住宅の見学会へ。
実は先週、交通事故に遭い、まだ万全ではないので、あまりの遠出は避けたかったが、だいぶ前から予約していたしと迷っていたら、哀れに思ったのか?珍しく旦那が車を出してくれることになったので、行くことにした。


岡家住宅は、昭和14年にヴォーリズ設計により建てられた木造2階建ての和風住宅。
現当主の岡さんご夫妻に迎えていただいた。
お庭の桜が見ごろと伺っていたので、きっと見学者も多いのだろうかと思いきや、この日は自分一人だけで、(翌日は埋まっていたそうだが)有難くもマンツーマンで案内して頂くことに。
ご夫妻は、こちらのお家に20年暮らされ、その後20年は別の地に移り住まわれたが、現在はご自宅と行ったり来たりの2拠点生活で、定期的一般公開されているという。


正面から見て、手前、奥の屋根共、切妻造りで、和風を強調するべく、妻面には柱が表面に現れる真壁造りになっているのが特徴だという。


2階には虫籠窓がつくなど、こちらもまた和風色が出ている。


瓦は今はもう生産されていない塩焼き瓦。
この米を二つ重ねたようなマークは謎だそう。



ストックの瓦を間近で見せて頂いた。
旧杉江製陶所の塩焼きのクリンカータイルを思わせる色。
塩だけで、このような自然釉が一様にかかるのがやはり不思議。


そしていよいよ玄関へ。


玄関の両脇の腰壁には、泰山タイルがびっしり。これが見たかった。
3寸5分という少し大き目な布目タイルが存在感を放つ。
落ち着いた渋めの色合いのタイルに
ほんのりと赤いベンガラ入りの目地で、少し華やかさが加わる。




造り付けの下駄箱もちゃんともうけられている。


床面にはヘリンボーン状に貼られたマットなベージュ色のタイル。こちらも泰山タイルだそう。あまりノーマルな泰山タイルを見たことがなかったので、こんなタイルも作っていたのだなあと。


玄関は、採光の為、ガラスが入った格子の引き戸で、欄間にもガラスが入り、
玄関灯は、一つの明かりで内側と外側共通になっているという工夫が。


玄関からサンルームへ。
サンルームの窓は、上げ下げ窓でも引き戸でもなく、観音開きの扉で、上部につけられた窓も90度に回転し、最大限の通風が考えられているという。


造り付けの飾り棚は、壁の裏が玄関の為、玄関の下駄箱と共有していて、下部の引き戸を開けると、下駄箱部分が収まっていて、それがうまく棚に利用されていた。



飾り棚の下部には、洋風の柱装飾が、


上部の棚には和風の柱飾りが入れられていて、一つの棚に和洋の様式を組み入れるという実験的なデザインだったのでは?と、
ヴォーリズ研究者の山形先生がおっしゃられてたとのことだった。


サンルームは、元々テラスのあった方に建て増しされていて、薪ストーブのダクトも取り付けられている。
当初の設計では、お部屋はもう少し広くとられ、暖炉も考えられていたそうだが、
戦時下ということもあり、贅沢だと建築許可が下りなかったのだとか、、
もし許可が下りていたら、、ひょっとすると泰山タイルの暖炉が見られたのかも?!


サンルームのもう一方の出入り口からは、廊下が通り、和室が並ぶ。
廊下の天井は、軒先まで化粧垂木が通しで入り、その軒の角度が絶妙だそう。冬は、部屋の奥まで日差しが差し込み、夏は、部屋まで日が差し込まないよう計算されてるという。


座敷の床の間は、通常のバランスからすると、床柱は、もう少し右手の方に付くらしいが、襖を開けると、中に仕込まれている仏壇を壁面の中央に配置する為に考えられたバランスなのだとか。



次の間との間には、渋沢栄一が書かれた書が掛けられている。
関わりの深かった御先祖さまがおられたようだ。
岡家の初代は栃木県の佐野市で醤油醸造業を営んでおられたとのこと。


欄間の透かし彫り。


座敷と次の間に使われていた襖の引き手も、様々なデザインで趣向が凝らされている。


こちらは、小さな瓢箪の透かし模様が二つずつ連なる。




戸棚の引き戸に付けられていた引き手は、七宝焼きが入っていた。


主玄関の北に、勝手口があり、そのそばには女中部屋があったが、
こちらの部屋にも観音開きの大きな窓と、上部の換気窓がついていて通風も完璧。
小さな部屋ではあるが、造り付けの棚や、
廊下に出た所にも押入れがついていたり、十分な収納が考えられている。


こじんまりしていい部屋だなと思った。


台所は、調理台、流しなどがあった部分は取り払われ、増築されているが、
こちらの造り付けのキッチンカウンターは、建築当初からのもの。


隣の、お茶の間への配膳口も広く取られ、
上部の棚も、食器棚として、お茶の間からも取り出せるように扉が付くなど、使いやすい設計が考えられている。


棚にビルトインされていたのは、米びつ。
底にコマが付けられていて、容易に引き出すことができる。


この八芒星の物体は何?鍋敷きにしてはデカいな、、と思っていたら、
こちらは風呂場の天井の換気口の飾りに使われてたものだそう。
ヴォーリズ研究者の山形先生いわくヴォーリズの建物には、どこかに八芒星のマークが取り入れられてるという。
風呂場を改装した時に、偶然大工さんが取っておいてくださったとのこと。


そして、台所の隣の、家族団欒の間であるお茶の間。
建築当初は4畳半だった茶の間が、北側に増築されている。


お茶の間側から見た台所から通じる配膳窓。


お茶の間には、階段下のスペースを活用した造り付けの地袋、飾り棚があり、このスペースにより部屋の広がりが感じられる。



階段を挟んで、隣には暗室があり、
先代の趣味の写真用の部屋として使われていたという。


手前には、陶製の流しが取り付けられ、
窓に面して、机や棚も造り付けに。


階段下スペースを有効活用した階段箪笥を連想させるような引き出しが並ぶ。



階段状に並んだ小引き出しは、
その引き出しのサイズに合わせて、クリスタルのつまみの大きさを変えるというこだわり。


ドアノブもやはりヴォーリズらしいクリスタル。


2階へ上がる階段は、実際上がってみても体感するが、バリアフリーの基準値よりも勾配が緩やかで、優しい設計に。


2階の書斎には、窓周りにベンチ兼収納も。


そして、本棚。


隣の部屋との境には、竹をモチーフにした透かし彫り。


ベッドルームもとても明るい。
三方向に窓があり、通気もよい。
全ての部屋に共通するのは、最低二方向の出入口が設けられ、効率の良い動線や、換気が考えられている。



ベッドの間のサイドボード


こちらもやはり造り付けの箪笥。
クローゼット横のデッドスペースにぴったり収まっているのが気持ちいい。


クローゼットを開けると、中にも細かな細工が見られる。
こちらは見た目の美しさと共に、ポールを面で支える補強材としての役割も持つという合理性がすばらしい。



出入口ドアのストッパー。
細かな部分までデザインがされていて素敵。
先端のゴムも劣化してないそう。
又、2階では、寝室だけが板貼りになっていて、階下に音が響かないよう、床下に工夫がされていたり、



六甲山荘などでも見られたように、窓のサッシや敷居は、雨による侵入を防ぐために、水が外へ流れていくように勾配が付けられるなど考えられ、当時の大工泣かせだったそう。


お庭には、枝垂れ桜が満開。
現当主の娘さんが生まれた時に、植えられたものだそうだが二十数年の時を経て立派な枝垂れ桜に成長し、
訪れる人の目を楽しませているという。
この時期、夜のライトアップもされていたそうだ。



桜の木越しの岡家住宅。
いつか行きたいと思っていた岡家へ、この時期に訪れることができてよかった。
ヴォーリズの現役の和風住宅は、なかなか拝見することはできない貴重なものだが、きれいに維持され、公開されているのはとてもありがたい。
現当主の、貴重な建物を次世代に継承していこうとされる姿勢にも感銘を受け、詳しいご案内で、ヴォーリズの合理性や美意識を建物から十分感じることができた見学会だった。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

倉敷山陽堂さんの本業タイル&倉敷国際ホテルのタイル

2022-12-27 | 建築巡り・街歩き【その他】
児島から倉敷の美観地区周辺へやって来た。
倉敷山陽堂さんのお店の方へタイルを見に。
お店全体を撮り忘れてたが、出入り口周辺の壁には、本業タイルが貼られてる。



手に入れられたタイルを貼られているようだけど、
バリエーションに富んだ本業タイルと、織部の敷瓦やマジョリカタイルも。


この星型?のも初めて見るかも?
イスラム風のデザインのようでもある。




お店の入口にあった両脇のシーサー、いい顔してる~



お店の半分はおもちゃの博物館にもなっていて、
江戸時代から昭和のおもちゃが3000点以上展示されている。


レトロな缶コレクションもいろいろあって可愛かった。



2階へ上がると、屋根の上に整列するビクター犬の後ろ姿。


ビクターの犬のグッズコレクションも豊富。






アンティークのステンドグラス、素敵だった。


この後は、バス待ち時間まで、倉敷国際ホテルでお茶することに。
浦辺鎮太郎設計により昭和38年に建てられた倉敷国際ホテル。



玄関周りに貼られていた焼き締めのタイル。
数種類の石も使われている。


吹き抜けのロビーには、棟方志功の版画が、2階、3階に渡って掛けられている。
世界最大の木版画だそう。





床のタイルのことをお伺いしたら、アスファルトブロックという
ものだそう。


エレベーター周りはモザイクタイルデザインされていた。


ガラスモザイクのよう。


階段周りまで。



カフェで、ケーキセットを頂きながらひとやすみできた。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

旧野崎家住宅&ジーンスストリート

2022-12-25 | 建築巡り・街歩き【その他】


児島のジーンズストリート周辺へやって来た。
こちらの建物は、元写真館で、改装されジーンズショップとして活用されている。





ちょうど向かいには、旧野崎家住宅がある。
製塩業と新田開発で財をなした野崎家。
長屋門から敷地内へ。


土蔵群が並ぶ。


表玄関


表書院。建物内に入ることはできないが、
庭の方から中を見ることができる。


波とも山ともいえる欄間のデザインはとてもモダン。




枯山水の庭園には大きなソテツや

立派な黒松他様々な木々が植えられ、大小の石が配置されている。


最も大きな石は籠を置くための石。



三つある茶室のひとつ、庭の築山にある観曙亭。


住まいとして使用されていた中座敷は九つの座敷が連続する。


茶室、臨池亭。


台所だった場所には、さまざまな昔の道具類の展示。



石製の冷蔵庫は初めて見た。
内部が見れなかったので、念のため、トイレや風呂場にタイルは貼られてないか?伺ってみるとやはり、本業タイルらしきものが貼られてると伺った。
非公開部分で残念だった。


旧野崎家を出た後は、ジーンズストリートを歩いてみた。
通りは、地元のジーンズメーカーのショップが軒を連ねている。


元銀行をリノベーションし、現在はおしゃれな古道具屋さん。


銀行らしい円柱が並ぶファサード。
内部は撮影禁止だったが、古道具と現代の小物とがマッチする素敵空間だった。



その斜め向かいの建物もジーンズショップ。
2階部分や天辺に装飾が見られる。


こちらは入口の両サイドの柱が丸モザイクタイル貼りに。


茶~黒の渋めの丸モザイク。



民家の腰壁にはスクラッチタイル。

この後は倉敷山陽堂さんへ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

倉敷・梅荘&むかし下津井回船問屋

2022-12-21 | 建築巡り・街歩き【その他】

倉敷山陽堂さんのマジョリカタイルを見せて頂いた後、
児島の登録有形文化財のうどん屋、「梅荘」へ訪れた。


建物は築100年以上になる、児島の塩田王、野崎家の別荘として建てられたもの。


本館の玄関が二つあり、お座敷へ続く玄関へ。
花の蕾のような形の玄関灯。





お座敷には丸窓のついた書院や波?山並?のようなデザインの欄間があった。






人気メニュー?のえび餅ぶっかけを注文。
おいしかった~


渡り廊下で繋がれた奥のお部屋も見せて頂けることに。


舟底天井の渡り廊下。





渡り廊下の先にあった広間。



欄間には鶴の透かし彫り。








梅荘でランチ後、「むかし下津井回船問屋」へやって来た。
北前船の寄港地としてかつて栄えた下津井港に復元された回船問屋が資料館として公開されている。


お目当てはタイル尽くしのお手洗い。
男女二つのトイレの中には、床にも壁にもびっしり貼られた本業タイルが染付の便器と共に残されてる。


男性用には、三種類のタイルが使われてる。

雀が四羽羽を広げてるタイル、可愛いな。



女性用は二種類のタイルが。
縁に蛸唐草文がびっしり描かれた便器。


資料館の方はさらっと見て、少し周辺を歩く。
和風のなまこ塀に、2階はアーチの開き窓が和洋折衷な建物。



笹の葉模様がリアルな面格子的なもの。





うだつが立派な建物も。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

倉敷山陽堂さんのマジョリカタイル

2022-12-17 | 建築巡り・街歩き【その他】
友人情報により、先日倉敷山陽堂さんのマジョリカタイルを見せてもらいに
日帰りで訪れてきた。
倉敷で、骨董品の販売や貯金箱やおもちゃの博物館などをされてる倉敷山陽堂さん。
お店とは又違う実家兼倉庫として使われてる建物のお手洗いに
収集されたマジョリカタイルを貼られているという。
何度かやり取りして伺わせて頂けることに。
元造り酒屋だったというお家。



到着すると、ちょうどいいタイミングで、伊勢神宮からのお祓いの獅子舞がやってきていた。
この地方ならではの慣習だそうだが、相当稀なことなので運がよい、と言われてしまった。
帰って調べてみると、伊勢太神楽という重要無形民俗文化財のよう。
何度かお約束が流れてこの日になったのだけど、これに遭遇するためだったのか~


獅子舞に頭も噛んでもらってパワーアップできたかも!



そしてお家のお手洗いに敷き詰められたタイルを見せて頂いた。
うおーっ、すごい!
色とりどりのマジョリカタイル、本業タイル、などが敷き詰められたタイルパラダイスが広がっていた。
収集されたタイルを、専門業者の方に貼っていただいたとか。


一番数多く貼られていたのは、マジョリカタイルの中でも
ポピュラーなデザインのもの。
色違いで2種類、ピンクとグレーの取り合わせの方はあまり見たことがないかも。ピンクの発色がきれいだな。


奥には、花唐草文の印花が押された敷瓦が並ぶ。


マジョリカタイルの中でも、この桜模様のは初めて見たかも。



陶製のスリッパもあった。


銅板転写の本業タイルもいろいろ。







チェーンが繋がったようなデザインが面白い。





腰壁には白いタイルに縁に細いボーダー状のマジョリカタイルが貼られてる。
こちらは元から貼られていたもののよう。


ついでにお風呂場床もモザイクタイル尽くし。


浴槽もタイル。
腰壁には、お手洗いと同じくボーダー状のマジョリカタイルが貼られてた。


台所にもモザイクタイル貼りのかまどが残されていて、
タイル貼りの調理台に、


シンク中は玉石タイル貼り。


床もこのようなモザイクタイル貼りで、縁は飴釉のモザイクタイルで囲っていた。


台所は土足で出入りしていたそうで、昔はダンスホールとしても使っていたという。


照明はフリンジのついた洋風のもの?かと思ったら、
よく見たらザルをアップサイクルしたものだった。
一見ザルとは分からず、おしゃれ。


トルコかイランのイスラーム風のタイルなども無造作に置かれていて、
どこかの博物館からもらい受けたものだとか。


こちらも。



かまどの下にもタイルらしきものが立てかけられてる・・


こんな織部の敷瓦が出て来た。
いろいろと長居させてもらって、自分の必要とする額縁も発掘し、


いくつか購入させて頂いた。
後ほど店舗の方へもお伺いすることに。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする