半年ほど前から計画をあたためていた台湾、嘉義のマジョリカタイル博物館へ、この三連休にぷにょさんと訪れてきた。
博物館の徐さんとは事前にやり取りさせて頂いて、期待は最高潮に高まっていたのだけど、
本物のタイル博物館はその期待を更に上回るすばらしい博物館で、マジョリカタイルに囲まれた至福の空間で
2日間宿泊させて頂き、更には1日かけて嘉義近郊のレアなマジョリカタイルスポットへアテンドして頂ける
というタイル好きの私たちにとっては夢のような貴重な体験をしてくることができた。
台湾マジョリカタイル博物館(台湾花磚古厝)は台湾鉄道駅から徒歩9分
日本統治時代に材木商店を営んでいた古民家を改装した建物にある。
1日目の夜、雨の中、駅まで迎えに来てくださった徐さんに迎え入れられたミュージアム。
一歩足を踏み入れた途端、そこはマジョリカタイルの洪水が待ち受けていた。
床から天井まで壁面いっぱいを埋め尽くすマジョリカタイルのタペストリー。
写真では見ていたけど、本物をこの目でみるとその迫力に圧倒されっぱなし。
すごい~すごすぎる~~
これらのマジョリカタイルたちは、博物館のオーナーであり、IT業界のエンジニアとしての仕事も持つ徐さんが
20年の歳月をかけて、老朽化の為取り壊される古民家から
救い出し、ひとつひとつ手作業で裏のセメントを取り去り、丁寧にクリーニングされたもの。
その数4000枚にものぼるというコレクション。
その一部の1500枚がこの博物館に展示されているという。
日本で見かけたことがあるデザインもちらほらあったが、見たことのない図案の方が多いのでは
というくらい多種多様な色合い、デザインのものが取り揃えられている。
これらのタイルはほとんどが日本製造のものなのだという。
大正から昭和初期に日本で作られたマジョリカタイル(和製ビクトリアンタイル)は主に東南アジアへ輸出され、
台湾でも裕福な家でしか買うことのできなかったという高級品。
こちらの壁面にはレリーフ状に盛り上がった模様が刻み込まれたタイル。
縁起のよい花や果物などのデザインは台湾人好みのデザインのよう。
壁面のタイルだけでなく、テーブルや階段などにも貼られているマジョリカタイル。
こちらは本来ベッドヘッドに使われていたという家具。
日本では家具とマジョリカタイルの組み合わせは見たことはないけど、
台湾では木の家具とタイルの融合がいろいろと見られる。
こんな風に階段の蹴込み部分に貼ると迫力があるなあ。
椅子の背にも。
竹の家具とタイルの組み合わせもあった。
この壁面は同じタイルを4枚組み合わせたディスプレイが豪華。
さらさ西陣で見たタイルやダントーで見たタイル、いろいろあるなあ。
色が違ったり、内と外を組み替えるとガラッと雰囲気が変わって全く別のタイルに見えるのも面白い。
低めの台はベッドに上るための踏み台。
踏み台にこんな豪華なタイルを貼るなんて贅沢だなあ。
日常的に踏まれるものなのでタイルに亀裂が生じている箇所も。
ここで気付いたけど、台湾のマジョリカタイルにはタイルとタイルの間に目地がないなと。
伺ってみると、やはり目地は入れずに接着剤だけで固定するのだそう。
こちらも踏み台。
クリスマスのリース柄のようなデザインがかわいい。
この椅子はお嫁さんが家事の合間に座る椅子なのだとか。
お嫁さんは背もたれのついた椅子には座らせてもらえないそうだ。
孔雀模様のタイルが入れられたキャビネットも。
スィッチプレートもレトロだなあ。
タイルだけでなく、この古民家に合わせた照明や家具などの設えも素敵だ。
古民家でのタイルの解体作業のVTRも見せて頂いた。
タイルは民家の屋根の部分に貼られていることが多いので、
屋根の上に乗る危険な作業でもある。
オーナーの徐さんは各解体業者と繋がりをもっておられ、解体される建物があると
各業者から徐さんの所に連絡が行くようになっているのだとか。
クレーンで吊りながら剥がされるタイルの付いた屋根部分
こうして解体現場から救出してきたものを今度は手作業で丁寧に裏のセメントなどを取り除いていく。
釉薬の間に染み込んだカビのような汚れを落とすには、化学薬品を使い、磨き、水に浸し、を
何度も繰り返し根気強く落としていくのだ。
気の遠くなるような作業だなあ。
こちらで展示されている美しいタイルはそういった地道な作業の賜物なのだ。
波模様のタイルに、このアザミのタイルも珍しいデザインだなあ。
タイルの裏には会社の刻印が入っている。
ダントーの他不二見タイルや佐治タイル、山田タイルや神山製陶など初めて聞くようなメーカー名も。
マジョリカタイル全盛期には日本のたくさんのメーカーが競って東南アジアへ輸出していたんだろうか。
今では日本で残る会社はダントーのみで、しかもマジョリカタイルの生産はされていない。
今ではもう作ることはできない貴重なタイルたちなのだ。
こちらの展示は同じデザインだけど、フラットな面になっているものと、レリーフ状になっているものとが
となり同士に並んでいる。
踏み台などにはフラットなものを、壁付や屋根につけるものはより豪華に見えるレリーフ状のものと
使い分けられていたのだろうか。
こちらは同じ図案で、正方形のものとそれを縦長に圧縮したようなデザインのもの。
こんな風に同じ図案の大きさ違いのものを二列に並べて貼ると更に豪華さも増すだろうなあ。
そして思わず可愛い!
とうなってしまったのは花がちょっと丸くデフォルメされてデザインされたもの。
デザインも色も最高に可愛いなあ。こういうの復刻したら売れそうだけど・・
この鮮やかでカラフルな釉薬の色はもう出すことはできないだろうなあ。
そして徐さんは、私がお土産にと作ってきたマジョリカタイルを喜んでくださり、
なんと恐縮なことに、早速壁面にかけてくださった。
なぜか私の作った額縁が周りの写真の額縁とちょうど同化してる;
徐さんは夕方やってきた私たちを食事や近くの有名な廟へ連れていってくださり、
博物館へ戻った後も、夜遅くまで、タイルの展示について英語があまりできない私たち
に根気強く説明をしてくださったのだ。
台灣花磚古厝フェイスブック→☆
台湾では様々なメディアに取り上げられ、先日TVでも放映があったようです。
建物からタイル部分を解体する作業の様子や解体したタイルをクリーニングする作業、
復刻タイルを造られている様子などが見られます。↓