麻野館へ泊った翌朝、チェックアウト前に近くの賓日館へ訪れてきた。
旅館街を抜けると、いきなり現れたすごく立派な建物。
賓日館は明治20年、伊勢神宮の賓客の休憩、宿泊施設として建設された。
ちなみに宿泊した麻野館も賓日館と同じ設計者だったとか。
大正初期から昭和11年頃までに2度の大規模な増改築を経て、現在の賓日館が完成。
改築時に玄関、車寄せが唐破風に改められ、
上がり框には檜、式台には欅、天井には屋久杉と随所に銘木が使用されてるそう。
階段親柱には地元の彫刻家、板倉白龍作の「二見かえる」が彫られてる。
柱にぶら下がるかえるが可愛い。
この彫刻はなんと後付けしたものではなく親柱と同じ原木から彫られてるのだとか。
階段の踊り場は寄木細工の床が美しい
明治20年建築当初から当時のまま残されている「御殿の間」
皇室を迎えるにあたり、天井は格天井より更に格式が高いといわれる二重格天井になっている。
こちらの部屋へは立ち入り禁止になっていたのだけど、
床の間の床框は螺鈿の輪島塗になっていたり、床脇は檜、床板は漆塗りの楓など素材や造りが凝ったものになっていた。
広縁にはテーブル椅子のセットが置かれていて、
二見の景色を楽しめるようになっている。
次の間の和風シャンデリア。
御殿の間の隣にある千鳥の間も創建当時から変わらない部屋だそう。
当初は御殿の間と襖で仕切られていただけで、御殿の間に賓客が宿泊した時の
お供の者や護衛の者の控室だったといわれる。
大広間は昭和5年の大増改築時に建築された書院造の広間だそう。
120畳の大広間、桃山式の折上格天井が圧巻。
格縁は檜が使われ、天井紙は型押し後彩色し、金箔をおいたものだそうで、
洋風の豪華なシャンデリアともマッチしていた。
シャンデリアを真下から見上げて
天井折上げ部分
床の間の床框は御殿の間と同様の螺鈿の輪島塗に。
床脇の欄間や障子に入れられた意匠もとても繊細で見とれてしまう。
違い棚
違い棚の木彫。
床の間の対面には能舞台がある。
舞台下には6つの甕が据えられていて、音を反響させる効果をもたらしているのだそう。
船底天井の廊下
太鼓橋風になっている廊下も。
中庭
松葉モチーフのシンプルな意匠
庭園から建物を。
明治以来、増改築されながら皇族や各界要人を迎えてきたという
賓日館の贅を尽くされた空間をじっくり味わうことができた。