m's diary

タイル巡り♡タイル制作♡建築巡り♡町歩き

近江八幡・吉田悦蔵邸

2023-11-11 | 建築巡り・街歩き【その他】

ヴォーリズ記念病院見学後、ランチして、吉田悦蔵邸へやって来た。
吉田悦蔵は、ヴォーリズの近江八幡の商業学校時代の教え子であり、
片腕として、生涯ヴォーリズを支えたといわれる人物。
現在、四代目のご夫婦がこちらの邸宅を保存維持されていて、
お住まいされながら、一般公開もされている。


ご当主さん案内の元、見学させて頂いた。


玄関には、ヴォーリズらしい造り付けの収納兼ベンチが設置されている。
収納部分も引き出しが三段もあったりと、細やかな造り。


玄関ポーチのタイルは、布目で、泰山タイルだといわれていた。


まずは1階のリビングへお通し頂く。
南向きの窓からは、明るい光が入る。
うっすらとミントグリーン系の壁紙が上品。



壁は土壁だそうだが、特殊な加工で、現在では再現するのは難しいものだとか。


リビングには暖炉があり、白いタイルが貼られてた。
上部は、絵画がはめ込まれた形に。


その白いタイル部分の上中央には、みにくいアヒルの子を描いたタイルが貼られていた。どこのタイルかは不明らしいが、
アール・ヌーヴォーぽい、、外国製?!


こちらは暖炉に置かれていたもの。
庭から出てきたものだそうだけど。
モザイクで作られていて、辰砂釉がきれいな発色。


こちらは風景を描いたものだけど、アヒル同様アール・ヌーヴォーぽいライン。


暖炉の内側には、耐火煉瓦が使われていて、いくつかの会社の刻印が見られる。サンプルを使ったのでは、とのこと。


座り心地よさそうなソファ。
ソファも文化財指定されているもので、
最近修理されたという。


リビングは二間続きになっていて、
こちらのスペースは、ピアニストであるお母さまの演奏会などにも使われている。


家具調度品がとても素敵で、代々、骨董品などを集める趣味を持たれていたとのこと。


机の上にはランプのついた裁縫道具入れなども。


これらの椅子も文化財指定されたもの。


可愛い形の椅子。


そしてリビングから出られるテラスには、タイルがあしらわれた壁泉跡があった。


布目のタイルがよい味わい。
中にはモザイクタイルも。


こんなオウムのタイルは、初めて見た。


貝殻を焼き付けたようなタイルも貼られていた。


テラスの先に見えるのは、離れの茶室。
こちらは非公開。


次に和室へ。
入口は、このような扉がついていた。





こちらの茶室は、日牟禮八幡から移築された江戸中期の建物だそう。


舟板が再利用されている。


茶室では、お茶のお稽古などもされていたそうだが、
人気の教室で、手狭になった為、後ほど離れにも茶室を建てられたのだそう。


襖の引手は竹の節が使われていた。



そして、ダイニングルーム。
ミントグリーンが素敵なダイニングルームだったが、
壁の色は、何度も塗り替えられているそうで、
最初からこの色ではなかったもよう。


造り付けの戸棚は、収納力もばっちりだそう。


ダイニングを出た所にあるスペースは、コート掛けなど
収納の為のスペースに。



隅にあるのは、2階へつながる糸電話的なもの。
いろいろと工夫が凝らされているなあ。


階段を上がって2階へ。



階段途中にある洗面所兼トイレ。
アメリカ製のホーローのシンクが二つ。
コロンとした形が可愛い。


2階の書斎兼居間。


細かく彫り込まれた軽井沢彫りの家具が美しい。


書斎の奥の部屋には、おばあさまが嫁入り道具として持って来たのでは、というクローゼットが、ワンポイントに薔薇の寄木細工が施されていておしゃれだった。





部屋の片隅には、座面がメッシュな小ぶりの椅子。
あちこちにさりげなく置かれてる家具がいいなあ。
家具は全部で23点が文化財として登録されているという。


そして、寝室。
実際にこちらで寝起きされているというが、生活感が全くなく、美しい。


寝室にはこの部屋の中で、身支度が完結できるようにと
洗面台が備わっていて、その両脇には、夫婦それぞれのクローゼットが造り付けで設置されている。



グレー味を帯びたホーローの洗面台、シックで素敵。
鏡は収納を兼ねている。


歯磨きのコップ置きと、歯ブラシ立てが一体となり、用の美を感じるデザイン。


階段ホールにぶら下がる照明は、ローズがモチーフでモダンな雰囲気。



廊下の隅にぴたりと収まっていたのは、ランドリーボックスとのこと。
竹製のようだけど、なんておしゃれなランドリーボックスなんだろう。


和室の入口に使われている杉戸絵の描かれた戸は、別の武家屋敷から持ってこられたものだそう。


その扉を開けると和室




ヴォーリズ直筆の絵とサインが残されている。


3階にも客室として使われていた部屋があり、そちらには、昔の旅行鞄が並べられていた。
昔の旅行鞄、、なんと大きいのか、、歴代の旅行鞄が並べられていたが、


やはり、この一番大きなものが最も古いそう。
カバンだけでも相当な重量があるという。


3階の部屋の床だけが、建築当時のまま残されているとのこと、
何ともいえない良い艶があった。



そして、金物のドアノブ。
ヴォーリズといえば、クリスタルのドアノブだけど、
初期の頃は、この金物のドアノブをアメリカから輸入して使用していたそう。
こちらは、ヴォーリズが建てた最初期の住宅なので、残されていたようで、
後ほど衛生面や耐久性などからクリスタルに変わっていったという。


部屋の隅には、ぽっかり穴のあいた造り付けのチェストがあった。
この穴は、室内で身支度を整える為に、水を張った洗面器を置いて使用したそう。

以上、いろいろと解説をして頂きながら一通り見学させて頂いた。
実際に住まわれている中での建物が見学できるという機会はなかなかないことで、使われている家具と共に建物が生き生きしているのを感じた。
公開する側にとっても勇気がいることだと思うけど、建物が大切に保存維持されて、活かされていて更にそれを見学できる機会を与えて頂けるのは、とても有難いことだなと感じた。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ヴォーリズ記念病院旧本館&礼拝堂&五葉館

2023-11-11 | 建築巡り・街歩き【その他】

10月のこと・・
友人にヴォーリズ記念病院旧本館(ツッカーハウス)の見学ができるようになったと教えてもらったので、吉田悦蔵邸見学と、ガウディが来たら佐川美術館へも行きたいと思っていたので、それらを兼ねて久々近江八幡まで訪れてきた。


近江八幡へは、初めて家族連れで来た時から、何度も訪れている好きな町だけど、ヴォーリズ記念病院へは、その時以来。
2007年に訪れた当時、ツッカーハウスは、解体は免れたものの建物は老朽化が進み、危うい状態で、外観のみかろうじて見れる状態だったが、この日は見事に改装されて、中へも立ち入れるようになっていた。


玄関ホール。
ボランティアガイドさんにより、建物内を案内して頂いた。


大正7年、結核が大流行していた当時、ツッカー女史の献金により、結核療養所として、ヴォーリズ設計により建てられた。
建物は、日照の方角や時間、効果的な通風などを最大限に考慮して建てられているそう。
病室は2階で、1階は管理事務所として使われていたという。


クリーム色のタイルが貼られた暖炉跡があった。




ヴォーリズといえばの、クリスタルのドアノブがあちらこちらに使われている。


院長室だったか?
こちらは鮮やかな黄色のタイルが貼られた暖炉。




家具なども当時のままのものが保存展示されていた。


開館当時のツッカーハウス。


建物両脇には、八角形に張り出した、こんな日当たりのよいコーナーも。



階段はゆるやか。


2階にある病室は男女に分かれた団体部屋になっていて、広く取られた窓が並び明るく、さすがに風通しもよさそうだった。
当時はこちらにベッドが並べられていたようだ。


窓が大きく明るいからか、照明は小さ目のものがぽつぽつと吊るされている。


こちらは女性用の団体部屋。
現在は、展示室に。
男女、全く同じ広さだそう。


男女共に、部屋から張り出したサンルーム的なスペースがついていた。


職員の部屋。



物置状態的な部屋の床に敷かれてた蜀江文のタイル。


この先、三階にも、物置などのスペースがあるそうだが、まだ整備途中の為、立入禁止。


そして、ヴォーリズ記念病院礼拝堂へ。
このアプローチがいいなあ。
昭和12年建築。




礼拝堂では、毎週日曜日に礼拝が行われ、
ヴォーリズ記念病院の患者さんたちが訪れる。










礼拝堂の窓からは、五葉館が見える。


丸みを帯びた窓のハンドル。


ドアノブと鍵穴の金具。
シンプルだけど、良い形。


壁紙には、独特な模様が入っていて、新たに作るのは難しいものだと言われていた。


最後に五葉館へ。


昔に訪れた時は、草木に覆われていて、全体を見渡せることができないほどだったが、修復されて、中へも入れるように。
ツッカーハウスと同じく、大正7年に建てられた。
療養がすすみ、退院間近の患者さんを収容する施設だったそう。



病室は一つ一つ独立していて、五方向に突き出しており、
高床式で建てられているため床下の換気も十分。



入口扉は、紫水晶のドアノブが使われていた。


建物内へ入ると、中央部分は大きな広間になっていて、各部屋の患者さんたちが娯楽室として、集えるようになっている。


病室は蒸気暖房が取り入れられ、各部屋は窓が三方向に付き、通気の良さと共に、窓からは自然の緑が目に入るようになっている。
なんと贅沢な部屋・・



窓越しに隣の病室の患者さんと話もできるようになっていたとか。


二部屋ほど、修復前の状態で保存されていたが、天井などボロボロの状態だったが以前の状態を見れるのはいいな。


部屋の扉はすりガラスに病室の番号が入っている。



洗面所はタイル貼りに。





衛生面など掃除のしやすさを考えてか、床からの立ち上がりは、曲面になっていたり、
さまざまな工夫が凝らされたヴォーリズ設計の建物をあらためて見ることができてよかった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする