
波佐見観光を終えて、乗り合いタクシーで、再び有田へ戻ってきた。
この日は、博多から広島へ向かう予定だったので、その時間まで、
もう一つ行っておきたかった佐賀県立九州陶磁文化館へ。
こちらは、30数年ぶり。

建物は昭和55年、内田祥三の次男、内田祥哉+アルセット建築研究所設計により建築。
やきものの町ならではな、タイルが床面にも壁面にもふんだんに使用されている。


美術館前のコンクリート部分に、こんなアートを発見。
陶製のリング状のものから波状、網状のものもある・・何かの転用なのだろうか?
館で伺ってみると、やはり、工業製品の廃材のパイプだそうで、陶磁器は酸に強いことから、酸を使用する工場の鉄パイプの内側の管に使われるものだそう。こういう廃材アートは、好きだなあ。

館内に入ると、床面にはふんだんにタイルが敷き詰められ、

扉のひとつひとつに、陶製のドアノブが使用されている。

全てのドア、それぞれ違ったものなので、とても楽しい。

有田の各窯元で作られたもののよう。



それにしても、種類豊富で美しかった。

かと思うと、トイレのスイッチプレートも。
こんな山水画の絵付けが施されていた。

その多目的トイレを覗くと、まさかのやきもの尽くし。
洗面ボールはもちろん、トイレットペーパーホルダーからごみ箱、
なんと洋式の便器まで・・

更に三角ボックス?まで抜かりがない。

風流なホルダー。

洗面ボール、排水溝カバーの波に兎もかわいい。

多目的トイレは、一つだけにとどまらず、

こちらは、蔓性の花をモチーフにしたセット。


桜の花のコーディネートも可愛いかった。


排水溝のカバー、こちらは金魚。
なんて風流なトイレなのだろうか・・
さすが、有田だなあ。

そういえば、有田のメイン通りを歩いている時に、ショーウィンドウ越しに
こんな洗面ボールを扱っているお店を見たなあ。
美術館がまるでここのお店のショールームになっているかのようだった。

展示も新しくなって、有田焼の歴史を美しい有田焼の名品や映像と共に
紹介するなどいろいろ工夫が凝らされていた。
余白の乳白色の磁器が美しい柿右衛門。

モダンなデザインの鍋島。



柿右衛門は、日本で造られたものがヨーロッパで真似をされていて、その比較展示も。
左はオリジナル、右がマイセンで制作されたもの。
ぱっと見た目は、ほぼ変わらないようだけど、よく見ると、
マイセンの方は、やや省略された部分があったり、オリジナルより
ちょっとアレンジ?が加えられていたりしておもしろい。

海外からの来客と商談時、朝に訪れていた旧田代家西洋館で使用されたという
正餐用の洋食器セット。
果実文が繊細に表現されていた。

ヨーロッパへ輸出された金襴手などの華やかな陶磁器たちの里帰りの展示も。(蒲原コレクション)
バロック様式やロココ様式の室内には、「磁器の間」を設えることが流行したそうで、そのイメージで展示されていた。

ヨーロッパで、金具が付けられ、シャンデリアなどとして使用されたものもあるそうで、こちらのシャンデリアは、カップ&ソーサーをそのまま蝋燭立てとして用いていた。
おもしろいなあ。

そして柴田コレクション。
柴田夫妻により寄贈された江戸時代の有田焼一万点の中から1000点の展示を見る。
このような小皿から始まったといわれる柴田夫妻のコレクション、
好みの雰囲気のものが多くて楽しい。



波が描かれたこの変形皿も面白いなあ。

紅葉と流水、雲、太陽と大胆な構図が良い。

花びらが細かく表された菊花型皿も美しい。

竹を寄せ集めたような形の急須だけど、その竹一本毎に違った植物が描かれている。

牡丹に止まった蝶をかたどった形のお皿。

吹墨という技法で、霧のような細かな釉薬が月に掛かっている。
なんとなく異国情緒感じるこのお皿、いいなあ。

青磁の牡丹唐草文の香炉
何とも言えない愛らしいフォルム。

変形の猪口。こちらもエキゾチックなデザインが好き。

さまざまな複雑な形の小皿のセットが圧巻だった。

他にも、貝の形や富士山、蝶など、さまざまな文様をかたどった小皿もそれぞれに遊び心があって興味深かった。

そして、ちょうどイベントが終了した後の大ホールを見学。

壁面がタイルになっていたけれど、よく反響するんだろうか?!

音の吸収か?音響効果の為なのか、細かく穴の開いたタイルもあった。
美術館を堪能した後は、駅へ向かうことに。

有田川にかかる橋の欄干に貼られた陶板いろいろ。

各窯元の個性豊かな陶板の競演が見られた。



こちらは香蘭社のもの。
この後は、有田駅から一路博多へ。