兵庫陶芸美術館で心惹かれる企画展「縄文~いにしえの造形と意匠」が開催されていたので久々に丹波立杭やきものの里へ訪れた。
春休み限定メニューとして「見る!!聞く!!触れる!!縄文土器」と題した子供向けワークショップも先着順で募集していたのでもちろん事前に申し込んで参加。
ワークショップでは、この企画展を企画した学芸員と共に展示室を回り、鑑賞用ワークシートに沿って解説を受けたり、ワークシートの設問に答えたり、自分の気に入った土器をスケッチしたり。
縄文土器の摩訶不思議な形には以前から興味があったが、こんなに多くの量の多種多様な縄文土器を一度に見たのは初めてでほんと~に興奮した!
これほどの規模の展示は関西では初めてなのだそう。
深鉢形土器(火焔型土器) 国宝 縄文時代中期
縄文土器は一万三千年前の縄文時代から作られ始めた土器。
世界の中でも土器が作られたのは日本が初めてではないかと言われているという。
見た感じ日本人の祖先が作ったとはちょっと思えない!
縄文時代の人々はこんなにデザイン性豊かでパワーあふれる面白いものを
作っていたなんて!ほんとにすごい!すご過ぎる!
深鉢形土器(水煙渦巻文深鉢)長野県宝 縄文時代中期
初期の頃は地面に埋めて使うため底がとがった縄目模様もシンプルな土器が作られていたがそのうち、炎が激しく燃えているような渕を持つ火焔土器や水が弧を描くような水煙土器などとにかくものすごい造形のエネルギッシュで装飾過多な土器が次々と登場し、もう私はうなりっぱなし!!
あの岡本太郎も縄文土器を見て感動したというのもよく分かる。
深鉢形土器(把手状装飾付深鉢)
煮炊きをするための実用のものだとするとこの過剰ともいえる装飾は邪魔なものではないか?ということで、祭器としても用いられたとされているが、祭器として使用する以上の量が作られていたようなのでやはり実用品としても使われていたとのこと。
それにしても実用品としてはかなり遊び心のある爆発的なデザインだなあ。
その頃の文字というものは残ってないので本当はどういう意図があったのかは定かではないが想像力が掻き立てられる・・
深鉢形土器(人面把手付土器) 縄文時代中期
こんな人面が貼り付いた土器も。
出産時の母親の胎内や生みの苦しみの状況をあらわしているのではないかとされている。
台付鉢形土器(トロフィー形土器) 縄文時代中期
こんなトロフィーのような形をした土器まで。
台付の土器は食物などを盛るために作られたといわれる。
これ以外にも大きさや形、装飾などさまざまな種類の台付土器もある。
土偶(遮光器土偶) 重要文化財 縄文時代晩期
これは歴史の教科書でもおなじみの土偶。
土偶は自分の身代わりとして当時の人は一人一つは持っていたのではないかとされている。
この土偶のように足が欠けたり、手が欠けたりしているのは、自分の痛い所を土偶に身代わりになってもらっていたのではないか?目が大きいのは当時の人も遮光器という光を遮るメガネのようなものをかけていたのではないかと言われている。
縄文後期に作られた土製耳飾りは現在のピアスのようなもの。
縄文時代の工芸技術のひとつの極致といわれる。
ほんとに花びらのように立体的で繊細な模様が施されているのには驚いた!
四つに分かれた展示室を一通り見て回った後はセミナー室へ戻り、今度は生の縄文土器の破片に触れてみる、ことに。
新潟県中魚沼郡津南町から貸し出しを受けたという土器の破片。
向こうの博物館でも触れるという体験はなかなかできないらしい、貴重な体験だそう。
破片でもずっしりと重みのある土器。
細かいところもきっちり作り込まれているように感じる。
縄文人の器用さがうかがえる。
そして縄文土器が登場!と思いきや、さすがにこれは樹脂で作られた複製品。
持ってみると軽いのですぐ分かるが見ただけでは分からないくらい精巧に作られている。
この日は多方行から縄文土器について楽しみながら知ることが出来、予想以上にすばらしい興奮と感動のひと時が過ごせた!
兵庫陶芸美術館の中庭の通路。
自然に囲まれたこの美術館はほんとに広々として気持ちのいい空間だった。
あちこちに陶器のオブジェが散りばめられていて楽しい。
いくつかに分かれた棟がこんな小道や渡り廊下でつながれている。
木々の間にはやきものがところどころに置かれていて、周りの自然に溶け込んでいる。
美術館をじっくりと楽しんだ後には静かな窯元の町並み散策へ。