昨日(10月14日)は、鉄道の日で、記念日の一つです。もともと、鉄道省によって、大正
10年(1921年)10月14日に「鉄道記念日」として制定されたのでした。 日本初の鉄道が
開業したのは、明治5年(1872年)9月12日に、新橋~横浜(現、汐留~桜木町)間29kmであり、
式典では、明治天皇のお召列車が区間を往復したとあります。この日が、新暦で10月14日に
あたるのと、大正10年のこの日に、鉄道開業50周年を記念して東京駅に鉄道博物館(初代)が
開館したことを記念して、鉄道記念日が制定されたのでした。
しかし、新橋~横浜間の鉄道は、既に明治5年5月7日(4か月前)に仮開業という形で1日6~
10往復で運行されていました。 明治3年頃より、具体的な鉄道建設の測量が開始され、工事
を経て実際に蒸気機関車がレールの上を走る“陸蒸気”(おかじょうき)に、人々は大変な
驚きと新時代到来を感じたことでしょう。
開業時の全区間の運賃は上等が1円12銭5厘、中等が75銭、下等が37銭5厘であったそうです
が、下等運賃でも米が5升半(約10kg)買えるほど高額なものであったといいます
浮世絵に描かれた開業当時の鉄道(横浜)
(ウイキペディアより)
1949年には、日本国有鉄道が出来、記念日はそのまま国鉄の記念日となり、民営化(1987年)
後も引き続きJRグループの記念日として祝われてきましたが、1994年には運輸省により、より
広くすべての鉄道事業者が祝う記念日として「鉄道の日」と改称されたのでした。
第1回鉄道の日には、当時102歳の長寿双子姉妹きんさん・ぎんさんが一日東京駅長を務め、
東北・上越新幹線ホームで新潟行き「Maxあさひ309号」の出発指示合図を行ったとありました。
今も、この日を前後して、全国的にイベントが開催されていますが、日比谷公園では、今年
10/8~9に 第23回鉄道フェスティバル が開催され毎年大賑わいだそうです。
そもそも、イギリスのジェームズ・ワット(1736~1879)が蒸気機関の改良型を実用化し、
産業革命の進展に大きく貢献し、それが蒸気機関車として1825年、イギリスのストックトン -
ダーリントン間で貨物鉄道の運行が開始され、その5年後にリヴァプール - マンチェスター
間に旅客鉄道として開業したとあります。日本人がこれらのことを知ったのはそれから10年
後の1840年代なのだそうです。
そしてさらに、10年以上経った、1853年にロシアのプチャーチンが長崎に来航した折に、
船上で蒸気機関車の鉄道模型を日本人に見せたのが始まりで、翌年にはペリーが2度目の来航
をした折に、大型の模型を幕府に献上したそうです。日本の役人を屋根に乗せて時速約20マイ
ル (32km) のスピードで走ったとの記録があるそうです。 これらに刺激を受けて、田中久重
(からくり儀右衛門)が全長27mのアルコール燃料で動作する模型機関車を完成させているのです。
それやこれやで、鉄道熱はますます盛んになり、明治2年(1868年)には、北海道の炭鉱で、
鉄板で補強した木のレールを使用し、牛馬で運行した鉄道?がありました。その後、本格的な
鉄道敷設計画が提案されますが、具体的になったのは明治維新後間もなくであったとあります。
それでも、当時、欧米列強諸国による植民地化が進んでいることもあり、慎重論もあったそう
ですが、国民の近代化に向けた動きから、鉄道の建設は本格的となったのです。 そして、
首都東京と港のある横浜の間、29kmの敷設が明治2年に決定したのです。
鉄道発祥国のイギリスの技術力を評価し、イギリス人技師を建築師長に据えるなどお雇い
外国人を招き、本格的工事が始まったのでした。 枕木などは、経費、工事の点から木材製
とし、橋梁も木製と決め、軌間は当時の輸送量を勘案し、費用削減、カーブの多い状況な
どから狭軌が採用されたのだそうです。 日本の築城技術が、これら敷設工事に高い評価が
あったそうです。
また、ちょっと奇異に思えるのですが、鉄道が当時の日本人にとっては未知のものであった
ことから、線路を敷設することに、多くの反対運動があり、結局、薩摩藩邸などがあった芝 -
品川付近では、築堤を海上に築き、その上に線路を敷く方法がとられたりして、全線29kmのう
ち、1/3にあたる約10kmがこの海上線路になってしまっているそうです。
幾多の困難を克服して、線路工事が完成し、停車場などの整備も順次進められ、明治5年5月
7日の仮開業にこげつけたのですね。機関車など車輌はすべてイギリス製であったそうです。
開業時に輸入された1号機関車(後の国鉄150形)
(ウイキペディアより)
明治5年といえば、その12月2日(旧暦。新暦では12月31日)に天保歴が廃止され、新暦に
変更されたために、開通(10月14日)して間もなくの鉄道の発着時刻の対応を迫られることに
なったのです。 大変な混乱だったでしょうね。 その後、鉄道は急激に発展し、列車本数が
増える他、明治29年には急行列車が導入されるなどによって、“列車ダイヤ”の必要性が生じ、
ここでも、イギリス人技師「ページ先生」の出番となるのです。(ページ先生、当ブログ
2011.12.30ご参照)
鉄道の日 から、ちょっと深入りしてしまいました。 鉄道ファンの方には、まだまだ物足
りない内容ですが、日本の鉄道は、1906年に、鉄道国有法が可決され、大手私鉄17社を買収し
翌年国有化が完了したのです。その後も、鉄道は目覚ましい発展を遂げ、東海道新幹線をはじ
め 日本中に新幹線が開通し、1987年の民営化後は、列車そのものも快適さが増し、豪華列車
なども登場しています。 今国会では、自民党議員の質問に、“日本中の新幹線網構築につい
て、持論を展開していました。すなわち、先の北陸新幹線を延長し、山陰、四国を中心とした
網構想が提案されていました。”さらに、リニア―へと夢はまだまだ広がって行くのでしょう。
記事アップの時刻が、遅くなったおかげ?で、夕方東の空に大きなお月様を見ました。
旧暦9月15日の月で、一昨日は“十三夜”だったのでした。満月は、明日です。
旧歴9月15日のお月様
(2016.10.15、17:40頃 東10度)