蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

メートル法

2022-04-28 | 日々雑感、散策、旅行

 ふたつ前の拙ブログ記事(4/24) に「距離を測る」・・を取りあげましたが、
遠い遠い天体の距離をどの様にして測定するのか? をもとにしました。
 長さといえば、この4月は「メートル法」が制定された月なんですね。正しくは、
1875年に世界でメートル法が定められ、その10年後には日本も参加しており、法と
して決めたのが、1921年(大正10年)4月11日で、この日を「メートル法公布記念日」
としているのですね。
(先のゴルフを例とした記事でも、パー3のホールが、205ヤードと表示されている
など未だにメートルではない場合もありますね。)

 そもそも、18世紀頃には世界ではそれぞれの地域の間で物理量の単位が同じでは
なかったのですが、次第に取引などの活動範囲が広範囲になってくると、単位がま
ちまちであることの不便さが浮き彫りとなってきていたのです。

 フランス革命後の1790年のフランスで、世界で長さの単位を統一し、新しい単位
を創設することが決議されたのです。

 地球の北極点から赤道までの子午線弧長の「1000万分の1」が1メートルとして定
義されました。(これにより地球の円周が4万キロメートルとなるように定義された。)。
 実際、フランスの最北端の都市、ダンケルクからスペインのバルセロナまでの距
離を三角測量で測定し、そこから計算されたそうです。

        ダンケルクからバルセロナ迄
         (ネット画像に加筆しました)

 確かに、世界中で単位が統一されることは、合理的で素晴らしいことではありま
すが、これが各国でなかなか導入されにくかったのですね。従来の慣習が壁になっ
て単位の統一には困難があったのです。

 日本では、それまでは、尺貫法が使われていました。  1885年(明治18年)に
メートル条約に加入し、4年後(明治22年)にメートル原器の交付を受け、1891年
(明治24年)に施行された度量衡法で尺貫法と併用する形でメートル法が導入され
ました。 新たに基本単位に漢字を当てたり補助単位の漢字を創作(mは米、㎝は
糎など)してメートル法が早く普及するように努めたとあります。
 しかし、メートル法が完全に実施されたのは、それから40年近くも経った1956年
で、尺貫法を用いないように決められたのは、さらに7年後の1966年(昭和41年)3
月31日以後である とありました。

          メートル原器
          (ウイキペディアより)

 1960年以降、メートル原器を長さの基準とすることをやめ、物理現象による長さ
の定義に
改められ現在は、「299,792,458分の1 光秒」が1メートル、とされている
のだそうです。

         メートル法完全実施記念切手
              (ウイキペディアより)


  やはり単位というのは、生活や産業に深く浸透しているだけに難しいのですね。
このことは世界においても同じ状況で、 アメリカは、いまもヤードポンド法で、
長さは“メートル”ではなく“マイル”ですね。

  ヨーロッパに比較して、アメリカ合衆国では、メートル法はほとんど普及してい
なく、
いまだにヤードポンド法が主流ですし、イギリスでも、国内向けにヤード・
ポンド法を
用いており、国外向けにはメートル法を用いて、使い分けをしていると
いいます。

              

 近代、科学や工業の発達により、他の物理量についても単位が必要となり、メー
トル
法を基礎としながらも、それぞれ違う大きさを持った単位が作られたり、異な
った物理
量を基本として単位系が作られたりしたため、各種の単位系が無秩序に存
在することと
なってしまい、これらの単位系を再統一する必要が生じました。
 それが、派生した
単位系の一つであるMKSA単位系を元として作られた国際単位系
SI)なんです。

 SIは、フランス語でSystème international d'unitésの略ですが、これはメート
ル法
がフランスによって発案されたことに由来しているのです。 MKSA単位系は、メートル ( metre = M)・キログラム (kilogram = K)・秒 (second = S)・アンペア
 (ampere = A) 
の4 つの単位を基本単位とする単位系です。 日本工業規格(JIS)は、
1991年に 完全に
国際単位系準拠となりました。  

 私の子供の頃には確かCGS系であったように記憶していますが、その後MKS
単位系に代わったようで、更に拡張されたSI系に置き換えられたのですね。

 

 日本では、伝統的な単位からメートル法に転換するのに、長時間をかけてその
導入を
図りましたが、インドでは、導入にあたって、それ以前の単位の使用の禁止、
全ての政府
出版物・法律の再発行、教育システムのメートル法への変更をほぼ同時
に行い、2年間で
完全移行に成功し、オーストラリアやニュージーランドなど多くの
国でこの方法が用い
られたそうです。


 現在、世界のほとんどの国ではメートル系は公式に使用されていますが、一部の
伝統
的な単位が今まだ使われているものがあり、長くなりますが、5年前の拙ブログ
「メートル法」(2017.4.11)からいくつかの例をコピペしました。 

  • カメラは、1/4-20または3/8-16の取付けねじを使って三脚台に固定するように 
    ISO 1222:2010で規格化されているが、この寸法はインチによるものである。

  • 自動車のタイヤの空気圧は、ブラジル・ペルー・アルゼンチン・オーストラリ
    ア・
    チリ・イギリス・アメリカなど多くの国で重量ポンド毎平方インチ(psi)
    で計測される。


  • 北欧の建築作業者の間では、厚板や釘がしばしば古いインチ・ベースの名前で
    呼ばれる。


  • 不動産の取引ではよく伝統的な単位が使用される(香港やインドでは平方フィ
    ート、
    日本・韓国・台湾では坪)。

  • 配管において、かつて国際的に受容されていた標準との整合性のため、インチ
    単位の
    管および管用ねじの規格が明示されている。

  • 自動車の車輪の直径はインチ単位で計測されることが多い(それに対し、タイ
    ヤの
    幅はミリメートル単位で計測される)。
              (ネット画像より)

  • コンピュータ業界と印刷業界では解像度の表現にdot per inchやpixel per
    inchが
    使用され続けている。

  • テレビやモニタの画面の大きさは、多くの国で対角線のインチ単位の長さで表
    現される。ただし、オーストラリア・フランス・南アフリカなどでは、インチ
    ではなくセンチ
    メートルが使用される。日本でも画面サイズをインチで表現し
    た数字となるが、
    「インチ」の表記を使えないので、代えて「型」と表記する
    (例、50インチサイズの
    画面を「50型」と表記する)。

  • 電子工業において、各種の部品(コネクターやネジなど)のサイズは1/10イン
    (2.54ミリメートル)単位で設計するのが支配的になっている。これを変更
    しようと
    すると、互換性の問題が生じる。サーバーを格納するラックも19イン
    チラックと呼ば
    れるものが普及している。

  • 航空業界では航空発祥の地であるアメリカの影響と伝統からヤード・ポンド法
    が使わ
    れ続けている。特に高度はフィートで示され、管制で高度を指示するの
    に使われる。フライト・レベルはフィートが基準となっている。


  • 日本の住環境に適した尺度として、日本家屋の設計基準としては尺を基準とし
    て設計者の思考上、使われることがある。しかし、設計図面上の寸法はあくま
    でメートル法を用いて表記される。また、日本の映像業界(テレビ・映画・特
    撮等)では、セットを建てる際などに尺貫法を使用している。


  • ベニヤ板などの板材の大きさを表すのに「3×6(さぶろく)」「4×8(しはち、
    よんぱち)」などといった呼称が用いられることがある。これらの由来は長さ
    を尺(曲尺)で表したもので、前者は3尺×6尺(= 90.9cm×181.8cm)、後者
    は4尺×8尺(= 121.2cm×242.4cm)の大きさの板材を指すことが多いが、いわ
    ゆるコンパネ
    と呼ばれるコンポジットパネルでは同一の呼称を用いても 91cm×182cm
    や 90cm×
    180cmの製品が存在する。また、建設工事や建築現場で使用される仮
    設の鉄板は、
    その縦横の寸法を表すのに「5×10(ごっとー)」などといった
    型番の呼称が用いら
    れる。その鉄板の縦横の寸法が5尺×10尺だからである。

  • 軽トラックの荷台は3尺×6尺に余裕(メーカーにより差がある)を持たせたサ
    イズと
    なっているが、この寸法は主な客層の一つである畳や襖を扱う小規模工
    務店の使い
    勝手を考慮しているためである。また市販の荷台用品は逆に荷台に
    合わせたサイズで
    製造するため、荷台マットやパネルは一枚が3尺×6尺、収納
    用品も幅が1尺(収穫用の
    籠)か3尺(蓋付きコンテナ)に合わせている。この
    ため、多数の籠と細かい道具を
    使う農家や漁師にとっても結果として利便性が
    高くなっている。

           (ネット画像より)

  • 建築や不動産関係者間では土地の面積や床面積として、36平方尺(畳2帖の面
    積に相当)を表す「坪」を念頭において業務を行っている。不動産取引自体に
    「坪」を使うことはなく、「坪あたり○万円」が使われることは無く、「3.3
    平方メートルあたり○万円」と表記されるが、取引当事者の思考上は「坪」の
    概念があることは確かである。

    (坪(約3.305 785 124 m²)と3.3 m²とでは、約0.18%の差があるので、厳密
    には
    「坪当たり」ではなく、あくまで、3.3000 m²当たりの表記である)。

  • 「一升瓶」は1800 mL ± 15 mL の液体を入れる瓶、「一斗缶」(日本工業規
    格Z1602-
    2003では「金属板製18リットル缶」と呼称)は19.25±0.45 リットル
    の液体を入れる
    缶の名称として用いられる。

  • 剣道では用具の規格等の呼称として随所に尺貫法時代の名残が見られる。例え
    ば、
    竹刀の長さは慣用的に(曲尺の)寸単位で表され、「三八(さぶはち=約
    115cm)」
    「三九(さぶく=約118cm)」等と呼ばれる(ただし、現行の「剣道
    試合・審判細則」
    上における竹刀の長さの規定はcm単位である)。また手刺防
    具においても、布団の
    刺し目の間隔を曲尺基準で「1分5厘(=約4.5mm)刺」
    「1分(=約3mm)刺」などと表す。袴の号数の呼び方は鯨尺の寸単位で表した
    裾丈の長さが基になっており、「25号」の剣道袴であれば裾丈がおよそ94.7cm
    となる。


  • 包装食パンの重量の単位として「斤」が用いられる。舶来品の1ポンド(453.6g)
    から
    由来して、450gを1斤(英斤と呼ぶ)として売買していた名残である。時
    代とともに
    1斤の重さが少なくなっていき、現在は公正競争規約により1斤は
    340g以上と定められ
    ており、「斤」を商品に表示する場合は保証内容重量の表
    示に1斤が340g以上である
    旨を併記することが義務付けられている。

  • 真珠の取引単位は直径はセンチメートル、ネックレス等の長さはインチとされ、
    質量はグラム表記したことで混乱を招いた歴史があることから、世界的に「も
    んめ
    (momme)」(単位記号は mom )が国際単位として使われている。

             (ネット画像より)

  • 木造建築や和裁などの分野では、尺や鯨尺が現在でも使われており、計量単位
    の規制が、我が国の伝統や文化の中で著しく不便を生じさせている場合は、そ
    の度合いを最小限に留めるよう、制度の柔軟な運用を行うこととしている。


  • 「尺相当目盛り付き長さ計」(尺相当の長さの目盛りが付いているが、値はメ
    ートル
    の物差し)は、メートル法による物差しとし、合法であるという判断が
    なされ、これ
    に基づき販売が認められている。1/33mごとの目盛りは曲尺相当、
    1/26.4mごとの
    目盛りは鯨尺相当というように、表記上はメートル法が採用さ
    れている。文化財修復
    及び畳職人用等の竹製ものさし、および金属製ものさし。
    鯨尺尺相当目盛付の長さ計は、和裁用の竹製ものさし。

  最後に、子供のころ、長さの単位を覚えるのに唱えた言葉を思い出しました。

 キロキロと ヘクと出かけた メートルが デシに負われて センチ ミリミリ
                       cm  mm

 

  お疲れ様でした!   

  

2022年『立山黒部アルペンルート』全線開通、純白の雪の大谷

 

 

 

 

コメント (2)
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