先日、NHKBSで放送された映画『スノーデン』を観ました。
この映画『スノーデン』(Snowden)は、オリバー・ストーン監督による、アメ
リカ国家安全保障局(NSA)の機密情報を2013年にイギリスの『ガーディアン』誌
に暴露した事件(実話)を基にして制作された映画で2016年に公開されています。
(映画.comより)
9.11(2001年)のイスラム過激派組織による同時多発テロ事件がきっかけといわ
れている、NSAがアメリカの法令や憲法、国際法を踏み越えて捜査令状なく個人
情報などを含む広範な監視を行っていたことを、NSAやCIA(中央情報局)の局員で
あるスノーデン(当時29歳)が内部告発をした事件なんですね。
2013年に香港に滞在していたスノーデンに対して、米司法当局から香港政府に
臨時逮捕と引き渡しの要請が出されましたが、スノーデンはロシアに逃げ延びます。
途中でパスポートが無効とされそのままロシアに滞在し、8月にはロシア移民局
から期限付きの滞在許可証が発給されます。 その後2022年9月には、プーチン
大統領は、彼にロシア国籍を付与する大統領令に署名したとされています。
16年この映画上映をきっかけに、スノーデンは、国家機密を暴露した犯罪人なの
か、国民(個人)の権利を守るための英雄なのかの議論が活発となったそうですが、
スノーデン恩赦に対する署名は1100万人におよびさらにIT関係の著名人らの運動も
あったそうです。「国家の安全保障のためなら、個人のプライバシーをどこまで
侵害してよいのか?」の見地から彼に対する恩赦の動きは、当時オバマ大統領に
期待されましたが、現在まで恩赦の事実は見当たりませんでした。
で、映画ですが、香港から逃げ出すところまでが描かれています。NSAやCIAの
活動の実態なども描かれ緊迫感が漂う場面が多いですが、彼の日常の家庭や恋人
との関係においても、口外できない事情が付きまとい、如何にこの任務が精神的
にも個人を滅する立場に追い込まれているか、その苦悩も描かれていました。
ラストシーンにはスノーデン本人が出演していますが、スノーデン役の俳優ジョ
セフ・ゴードン=レヴィットは本人によく似ていました。
エドワード・ジョセフ・スノーデン(2013年)
(ウイキペディアより)
監督のオリバー・ストーンも、映画化に当たっては事案が事案だけに、障害も
多く、資金集めにも苦労を重ねたようですが、イギリス、ドイツの資金提供など
によって実現でき、撮影もドイツで行われたそうです。
絶対権力にあるお上(国家)に対して、内部告発をするというのは、やはり、
日本ではあまり考えられない事態のような気がしますが、現在でも裏情報はかなり
頻繁に秘密裏に流通されているのでしょう。
映画の中で、日常使っているパソコンの内蔵カメラのレンズのところにテープを
張るシーンなどもありましたが、このカメラを通して情報が捕られているかもしれ
ないと恋人に説明していました。確かに、日常何気なく使っているメールや情報
アクセス先などもすべて監視されているのでしょう。 今後、あらゆるのものが
インターネットに接続される、IOT時代になるともはや、個人のプライバシーは
かなりオープンになってしまうかもしれませんね。
(映画.comより)
スノーデンの映画以来、ネット関連各社など個人のプライバシー保護の観点から
一段とセキュリティ強化が図られてきているといいます。
便利が進むとそれに応じて、不都合や問題が付随して持ち上がるのは仕方のない
ことなのかもしれませんが、それを防御する鎧の層が次第に厚くなって動きが取れ
ない事態になるとも限らないのですね。
この映画は、日本では、2017年1月27日に公開上映されたとあります。
『シチズンフォー スノーデンの暴露』予告編