さて大先輩のTさんと連れ立って、わたしは暗い温泉街を歩き出した。
すぐに怪しいネオンが目に留まる。
スナックあけみ とかいう看板。こういう店のドアは中が見えない。
こんなとこ、どうやって入るんですかぁ。コワイですよぉ。。。(゜゜)
心配すんな^^ 「山下君」が先にいるかどうかってやるんだよ。見てろって^^
・・・山下君(゜゜)?
Tさんはためらいもせずにドアを開ける。なかは薄暗く、艶めかしい照明の下にバー・カウンターが見えた。その向こうには夜の女性が…
すみません、山下が来てませんか?
えっ?来てませんけど…。
(化粧厚塗りのおばさん、いやおばーさんがひとり返事をする)
おかしいな。幹事が先に来てるって言ってたんだけど。。。
ここ、いくらくらいで遊べるのかな。歌も歌える?
・・・わかりました。また来ます^^ 山下どうしたのかなぁ…。
・・・とTさんは店の外に出てきた。
こりゃダメだよ。次いこう!
すごい作戦だ… ( ゜Д゜)y-~~
次の怪しいドアも、迷わずTさんは開けてゆく。
おっ!
怪しいドアを開けたとたん、いきなり狭い階段。
それがずっと下に続いており、降りきったところにまたドア。
な・なんだ、これは・・・
と言いつつ、Tさんはずんずん降りてゆき、2つ目のドアを開けた。
また怪しい明かりが目に入り、ぼんやり第二のおばーさんが「いらっしゃい」と返事をする。
おばけ屋敷でも、ここまで凝った造りはしていない。キャストも超一流のメイクである。
しかしTさんは、開けたドアをいきなり閉めるようなことはしない。こいつぁ一瞬で入るはずがねえ、とわかっていながら、ふたたび「山下君」である。
おかしーなー。山下が先に来てるって言ってたんだけど…
わたしは怪談、いや階段の途中で腹がよじれていた。
地獄につながっているような、脱出不可能と思わせる恐るべき狭く急な階段で、わたしは必死に笑い声を抑えながら、先に外に這い出したのである。
(^益^)ノ つづく