熊本の繁華街を歩いていたら、「桂花ラーメン」がありました。新宿に支店があるので、
ずいぶん昔から慣れ親しんだ味です。そういえばイギリスからケビンが来たときも
連れていったなぁ。「スープが旨い!」と言っていました。生まれて初めてのトンコツ、
気に入っていたようです。
そおか、ここが「本店」なんだなぁ。本店はひと味違うかな?と思ったけれど、やっぱり
同じでした(^益^;
近くに「味千ラーメン」もありました。これは中国で何度か見かけたラーメン屋です。
熊本のトンコツは、なかなかやりますねw
さてラーメンも食ったし、近くに小泉八雲の住んでいた旧居があるというので行って
見ることにしました。
にぎやかな商店街のすぐ横にあります。よくまあこんな古い平屋を残してくれた
ものです。
受付に行くと、あまり観光客も来ないような様子でした。係の人は、「寒いでしょうから
いまストーブをつけますね」と親切な対応をしてくれました。たしかに中はガランとして
寒い。ストーブをつけてくれたからには、少しゆっくり見ていかないとね(^益^;
あの隅にある机で仕事をしたそうです。西洋人だから、畳の家に住んでもやっぱり
書き物は机だったんですね。
八雲はこの庭がとても気に入っていたそうです。
小泉八雲、帰化する前の名:ラフカディオ・ハーンは、なかなかすごい人生でした。
父親はアイルランド人、母親はギリシャ人でした。ギリシャで知り合い、結婚して
アイルランドの首都ダブリンに住んだのです。父親が西インド諸島に赴任中、母親は
神経がやられてギリシャに帰ってしまいました。太陽のまぶしいギリシャから、暗くて
寒いアイルランドなんて行ったら、みんなそうなりますよ…。
つまり子供のハーンは、両親にほとんど会わずに育ち、フランスとイギリスで教育を
受けて、アメリカに渡って就職しました。
アメリカの出版社の仕事で日本に来ましたが、日本が気に入ってその会社は辞め、
こちらで結婚して英語教師となりました。松江、熊本、神戸、東京に住んだので、
それぞれの場所が記念の地として残されています。
熊本では第五高等学校(のちの熊本大学)、東京では東京帝国大学英文学講師と
なっているので、夏目漱石はそれぞれの学校で八雲の後任になったわけですね。
さて改めて八雲を読んでみたくなったので、本屋を探しました。熊本の街には本屋が
多い。ちゃんとした文学書などを置いてある、わりと大きな店があちこちにあります。
早速八雲の作品集を買い、旅の合間に楽しみました。
そのなかからひとつ御紹介。「浦島伝説」です。
「浦島太郎」の民話でおなじみですが、八雲の話では亀は子供たちにいじめられて
いませんね。釣り針にかかったのを離してやっただけです。そしたら心のやさしい人、
というわけで海の中から美しい乙女が現れ、お嫁さんにして♪と言われて龍宮城に
いくわけです。
そこで鯛やヒラメの活造りを、乙姫様に女体盛り…というわけではなく、しばらく
幸せに暮らし、飽きてきたら戻りたくなって、「開けちゃあダメよ」と言われた箱を、
400年も過ぎていた故郷に驚いて開けてしまうのです。そしたらジジー!
やめとけばいいのに、と思いますが、それが人間ですよね。それが2回あります。
1回目は龍宮城で幸せに暮らしていたのに、「ちょっと戻りたい」と浮気心が出て
しまったとき。どんな素晴らしい女性を嫁にもらったって、どんな快適な生活を送って
いようと、一生それだけの中で暮らしたいとは思わないんですぅ~~w それがヲトコ。
2回目は玉手箱を開けてしまうとき。「ダメよ」と言われたら開けたくなるじゃんw
どうせロクなことにならないって、わかってたって開けなきゃ気が済まないの!
「やっぱりね」「あーそういうことですか」って、わかっているのになー!ナーゼ?
人生一回ですからね。知らずに死ぬわけにはいきませんしー。