橋本の文化財「牛久保家の長屋門」

相模原市緑区元橋本町には鉄道誘致に尽力した相澤家の屋敷と瑞光寺側に長屋門を持つ名主の牛久保家の屋敷が建っている。この「牛久保家の長屋門」は近世末の建築で、桁行9.5間(約17.1m)、梁行2.5間(約4.5m)の堂々たる構えをもって現存する相模原市内の長屋門としては最大規模のものである。両脇にある2本の太い柱の上に大きな天井を貼っている。軒のセガイは、柱に腕木をほぞ差とする古い形式。部材も全体に太く、冠木の丈は1.4尺(42㎝)、その上に乗る梁は約1尺(30㎝)である。まさしくこれぞ「門」であると頷ける。黒褐色の板塀は重厚感が際立っているが、何故かこの町に溶け込んでいるようだ。市登録有形文化財となっている「長屋門」より中をのぞかせてもらうとよく手入れされた庭、大きく幹を広げた松、豪邸が眼に飛び込んでくる。この道両サイドの家並みを見ているとかって橋本が宿場町として栄えていた面影が今も残っている。(2002)