伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

狼のゲーム

2009-05-14 00:23:58 | 小説
 元特殊部隊員で実は今も現役の大佐のロシアン・マフィアのヴォルクことアレクセイ・ヴォルコヴォイが、ボスの将軍とアゼルバイジャン・マフィアのマクシムの力関係に翻弄されながら、エルミタージュ美術館に死蔵されていることがわかったレオナルド・ダ・ヴィンチの作品を盗み出し、横取りされて取り戻そうと奔走するというストーリーのヴァイオレンス小説。
 全編を通じて、人の命が軽く、殺人犯・暴力犯が処罰されず、コネと賄賂で正義が曲げられ、貧しく救われないロシア像が貫かれています。
 ロシア人がこれを書いているならいいんですが、アメリカ人作家がこういうふうに書くと、ちょっと斜に構えて読みたくなります。
 殺人・残虐シーンが満載で、私はこういうの苦手です。
 全体の暗さをほぼ唯一緩和しているのが主人公とチェチェンで苦楽をともにした恋人のヴァーリャの明るさですが、主人公がそのヴァーリャと、ヴァーリャが手ひどい仕打ちを受けた上で別れるのも、読後感を暗くしています。まぁ主人公がロシアン・マフィアで、裏社会を描き、さんざん人を殺して、ハッピーエンドもないでしょうけど、せめてヴァーリャには幸福感を持たせて終わらせて欲しかったなと思いました。


原題:VOLK’S GAME
ブレント・ゲルフィ 訳:鈴木恵
ランダムハウス講談社文庫 2009年1月10日発行 (原書は2007年)
コメント
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