46歳のバツ1介護士毛利美南子が、コンビニでバイトする大学生真木宗助の未熟な一途な愛に、ためらいつつ惹かれていく「愛さえあれば年の差なんて」恋愛小説。宗助の視点と美南子の視点が入れ替わりながら描写されていきます。
一方の主人公の宗助は、独りよがりな「正義感」に駆られてすぐに苛立ち喧嘩になったりするけど、結局自分も同じことをやってるし、美南子に対しては、ほとんどストーカーというか、ストーカーそのものの行動に出る、未熟な学生。でも同級生のお嬢様碧からは慕われ、友人や合コンでは人気者という設定。最初は、この未熟で独りよがりな青年が年上の恋人との恋愛で成長する話かと思いましたが、最後までほとんど成長は見られません。
46歳でバツ1、一人で生きていけるし、後半では世間的には申し分のない婚約者にも出会いながら、若い男に一途に愛され、自分はためらい、身を引き距離を取りながらもしかしその男にどこまでも追い求められるという、中高年女性の願望を体現した小説と考えるのがよさそうです。相手の男は若い魅力的な女に慕われながら、にもかかわらず46歳の自分を選んでくれる、そのために碧という存在を設定して宗助を慕わせている、そういう感じです。
年の離れた恋愛もいいと思いますけど、私ももっと年の離れた恋愛を描いたホノカアボーイ(映画。原作の方はまだ読んでないんですが)なんていい感じだと思いますけど、これをまさに46歳の作者が書くというのは、なんか自己愛的な妄想を発表しているようで、読んでいる側で気恥ずかしさを感じてしまいます。「失楽園」以来中高年男性の性的/不倫・願望/妄想の体現者となった渡辺淳一の女性版を目指しているのかなと感じてしまいました。
谷村志穂 光文社 2008年12月25日発行
一方の主人公の宗助は、独りよがりな「正義感」に駆られてすぐに苛立ち喧嘩になったりするけど、結局自分も同じことをやってるし、美南子に対しては、ほとんどストーカーというか、ストーカーそのものの行動に出る、未熟な学生。でも同級生のお嬢様碧からは慕われ、友人や合コンでは人気者という設定。最初は、この未熟で独りよがりな青年が年上の恋人との恋愛で成長する話かと思いましたが、最後までほとんど成長は見られません。
46歳でバツ1、一人で生きていけるし、後半では世間的には申し分のない婚約者にも出会いながら、若い男に一途に愛され、自分はためらい、身を引き距離を取りながらもしかしその男にどこまでも追い求められるという、中高年女性の願望を体現した小説と考えるのがよさそうです。相手の男は若い魅力的な女に慕われながら、にもかかわらず46歳の自分を選んでくれる、そのために碧という存在を設定して宗助を慕わせている、そういう感じです。
年の離れた恋愛もいいと思いますけど、私ももっと年の離れた恋愛を描いたホノカアボーイ(映画。原作の方はまだ読んでないんですが)なんていい感じだと思いますけど、これをまさに46歳の作者が書くというのは、なんか自己愛的な妄想を発表しているようで、読んでいる側で気恥ずかしさを感じてしまいます。「失楽園」以来中高年男性の性的/不倫・願望/妄想の体現者となった渡辺淳一の女性版を目指しているのかなと感じてしまいました。
谷村志穂 光文社 2008年12月25日発行