伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

王国の鍵1 アーサーの月曜日

2009-05-09 01:31:58 | 物語・ファンタジー・SF
 創造主の遺言によって異世界「ハウス」の正当な後継者に指名された喘息持ちの少年アーサー・ペンハリガンが、創造主の遺言を無視してハウスの支配権を奪った7人の管財人から王国の鍵を取り戻すため冒険を続けるファンタジー。
 創造主が創造した、人間の住む宇宙「第二世界」を記録し続ける異世界「ハウス」の管財人たちが、創造主の死後、その遺言を無視し引き裂いて拘束し、ハウスを支配して、第二世界を記録するにとどまらず第二世界に影響を与えようとし、拘束を脱した遺言の一部が管財人からハウスの支配を取り戻すために喘息の発作で死が迫っていたアーサーを後継者に指名するとともにハウス下層の管財人「マンデー」を騙して7組の鍵のうち1組の片割れをアーサーに手渡し、その鍵の力と遺言の指示に従ってアーサーが冒険を重ねるという筋立てです。
 1巻で示唆された枠組みでは、王国はハウス下層、ハウス中層、ハウス上層、地底界、大迷路、至高の園、果ての海の7つの領域からなり、7人の管財人マンデー、チューズデー・・・・・がそれぞれに支配しているということで、2巻以降1巻で1つずつ制覇し7巻で最後の対決に至るという構図が見えます。そのあたりのお約束がはっきりしたRPGのようなファンタジーです。
 創造主、その死後の世の乱れと、いかにもキリスト教色の濃い枠組みですが、創造主の怒りを買って地底深くの時計に鎖でつながれて12時間おきに目玉をくりぬかれ続けるという罰を受ける(しかもそれ以前は肝臓を抉られていた)「古き者」なんてもろにギリシャ神話(プロメテウス)から借りてきています。
 アーサーと同様に異世界を認識できる人間リーフとエドの謎とか、笛吹に異世界に連れてこられた人間の孤児スージーなど、面白くなりそうな要素はありますが、1巻を読む限りは添え物的で、2巻以降の展開に期待というところでしょうか。RPG好きの読者にはいいかも知れませんが、同じようなパターンがこの後6回繰り返されると思うと、ちょっと食指が動かないなぁというのが私の正直な気持ちです。


原題:THE KEYS TO THE KINGDOM : MISTER MONDAY
ガース・ニクス 訳:原田勝
主婦の友社 2009年4月30日発行 (原書は2003年)
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