伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

レッドシャイン

2009-05-15 23:55:29 | 小説
 手先の器用な自分の将来像が描けない高専の3年生澄川怜が、同級の先輩(留年生)に誘われて大潟村でのソーラーカーレースに参加し、最初はいやいや修理担当をしていたのが、次第にのめり込んでいく青春小説。
 ソーラーカーがテーマなので、時折、エコについての議論が挟み込まれています。しかし、作品としては、カーレースとレーシングチームを素材にした青春恋愛・友情小説と見た方がいいと思います。
 手先が器用で優柔不断な怜と意志は強いが不器用な奈緒の恋愛の進行を、格好良く几帳面な創太、ずぶとい周平、頭がよく雄々しい桃子、ソーラーオタクの美少年瑞生ら個性的なメンバーが取り囲んで人間関係を作っていく、そういう読み物です。怜が奈緒に惹かれていくポイントが、結局容貌が前に付き合っていた彼女に似てるというところに求められそうなところは、ちょっと機になりますが、気持ちの動きは描けていると思います。
 ただ、怜の先行きへの遺志が中途半端というか、作品の流れとフィットしないというか、そういう違和感が残りました。


濱野京子 講談社 2009年4月9日発行
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レッド・マスカラの秋

2009-05-15 23:45:20 | 小説
 17歳高校2年生の三浦凪が、シリーズ第1巻「カカオ80%の夏」で知り合ったモデルのミリがライバルのモデルイリヤに自分が気に入っているマスカラを勧めたところ目が腫れたと言ってイリヤがショーをキャンセルして失踪したことからミリの陰謀やマスカラの欠陥を疑われたことに疑問を持ち、ミリとマスカラメーカーを陥れようとする陰謀を追及する青春ミステリー。
 嫉妬による陰謀を疑われたミリのタフさ、窮地に陥ったマスカラメーカーの社長の強さとリカバリーの過程は、読んでいてすがすがしいと思います。ストーリー展開も軽妙でいいと思います。
 ただ陰謀の正体が、大きな策略を示唆したわりには、やはりショボい。高校生が主人公の事件としてちょっと身の丈を越えたところで済ませておいた方がってことかも知れませんが。


永井するみ 理論社 2008年12月発行
コメント (2)
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カカオ80%の夏

2009-05-15 23:33:37 | 小説
 一貫教育の女子校に高校から入りグループに入らない高校2年生三浦凪が、ファッションのアドヴァイスを頼まれた直後に行方不明となったクラスメイト雪絵の所在を探る青春ミステリー。
 この後第2弾の「レッド・マスカラの秋」が出ています。先に「レッド・マスカラの秋」を読み始めたのですが、登場人物の人間関係や設定の説明が、読者は知ってますよねという雰囲気だったので、前作を探して先に読むことにしました。
 両親が離婚し、母は大学助教授(今時は「准教授」が普通だと思いますけど)でIT企業研究者の父も援助してくれるリッチな母子家庭で、母が忙しい上に恋愛に走り放任され、しっかりしている、だけど自分のやりたいことや将来像は持っていないという設定です。
 ミステリー部分は、悪役が狙いのわりにやることが大仰で、結果的にはショボい感じです。
 むしろ、クラスメイトとの間合い、希薄なつきあいと主観的な思い、ネットを通じて生じる意外に濃密な関係といった人間関係の方を考えさせられました。


永井するみ 理論社 2007年4月発行
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