中東を舞台にアルカイダの組織への潜入と攪乱の謀略を進めるCIAのケース・オフィサーのロジャー・フェリスとその上司エド・ホフマン、ヨルダン諜報部GIDの長官ハニ・サラームの駆け引きを描いた小説。レオナルド・ディカプリオ主演で映画化された「ワールド・オブ・ライズ」の原作です。
映画ではサラッとしか出て来ないロジャー・フェリスの妻グレチェンは司法省のエリート弁護士でグラマーな美女で性的に貪欲というキャラなんですが、ロジャー・フェリスがグレチェンの前に出るとその魅力に圧倒されながら一緒にはやっていけないと思う葛藤と、現実の離婚に向けての脅迫の駆け引きなどが描かれていて楽しめます。
フェリスが好きになる、パレスチナ難民キャンプで働くブロンド美女のアリス(映画では「アイシャ」という東洋系の黒髪になってましたが)もCIA嫌いでイスラム原理主義者グループとも親交を深め、ハニ・サラームにも時々手伝いをするというミステリアスで深みのある存在として描かれています。
フェリスも、現地の協力者を見殺しにするホフマンの冷酷さに不満を持ちつつも、陰謀を発案・実行し、ハニに出し抜かれた後もすぐに立ち直ってさらなる謀略を実行するなど、したたかな一面を見せています。ハニ・サラームはCIAをも手玉に取る冷静で紳士的でありながら狡猾な力量を見せつけていますし、ホフマンもハニに出し抜かれながらもその手柄を自分のものにするしたたかさを持っています。
ハニだけでなく、フェリス、ホフマン、そしてアリスまでが大人の駆け引きを繰り広げる展開が、読みどころです。
ただ、その分、そのフェリスが、アリスへの愛にまっしぐらに進みCIAをやめるラストが、ストーリー展開から浮いている感じがします。
原題:BODY OF LIES
デイヴィッド・イグネイシアス 訳:有沢善樹
小学館文庫 2008年11月12日発行 (原書は2007年)
映画ではサラッとしか出て来ないロジャー・フェリスの妻グレチェンは司法省のエリート弁護士でグラマーな美女で性的に貪欲というキャラなんですが、ロジャー・フェリスがグレチェンの前に出るとその魅力に圧倒されながら一緒にはやっていけないと思う葛藤と、現実の離婚に向けての脅迫の駆け引きなどが描かれていて楽しめます。
フェリスが好きになる、パレスチナ難民キャンプで働くブロンド美女のアリス(映画では「アイシャ」という東洋系の黒髪になってましたが)もCIA嫌いでイスラム原理主義者グループとも親交を深め、ハニ・サラームにも時々手伝いをするというミステリアスで深みのある存在として描かれています。
フェリスも、現地の協力者を見殺しにするホフマンの冷酷さに不満を持ちつつも、陰謀を発案・実行し、ハニに出し抜かれた後もすぐに立ち直ってさらなる謀略を実行するなど、したたかな一面を見せています。ハニ・サラームはCIAをも手玉に取る冷静で紳士的でありながら狡猾な力量を見せつけていますし、ホフマンもハニに出し抜かれながらもその手柄を自分のものにするしたたかさを持っています。
ハニだけでなく、フェリス、ホフマン、そしてアリスまでが大人の駆け引きを繰り広げる展開が、読みどころです。
ただ、その分、そのフェリスが、アリスへの愛にまっしぐらに進みCIAをやめるラストが、ストーリー展開から浮いている感じがします。
原題:BODY OF LIES
デイヴィッド・イグネイシアス 訳:有沢善樹
小学館文庫 2008年11月12日発行 (原書は2007年)