著者の「はじめに」によれば「小学校の4年生ぐらいから読めるにしたい」という目標で、いくつかの分野分けをして現代思想を紹介した本。
小学生が読めるかは(無理だろうと思いますけど)ともかく、議論のパターンは観念的で、対立する主張の相手方にいくらかでも問題点があればそれで正しいとは言えない→どちらも同じ、正しい価値観や理想(大きな物語)は失われたという論じ方が目につき、理想に向けて少しずつでも努力しようという方向性を否定し冷笑する姿勢が目につきます。
監視社会は便利なツールで普通の人には監視は怖くない、監視があってこそ自由が守れるなどと論じられ、環境保護派は批判され、クローン人間や兵士のサイボーグ化は批判されず、権力は近代社会ではあからさまな強制力と捉えるべきではなく権力の遍在・内在が語られて現実を変革する方向性は見えないとされ、自由や平等は民主主義は様々な議論があり難しいとされます。
私には、どうも全体が、権力者や企業に対する批判や制約を緩める方向に向いているように思えます。
こういう本を子どもに読ませるとしたら、権力を見据えたり理想を語ることはなく、言葉遊びばかり達者で努力嫌いなニヒリストが育つことになると思うのですが。

岡本裕一朗 ちくま新書 2009年9月10日発行
小学生が読めるかは(無理だろうと思いますけど)ともかく、議論のパターンは観念的で、対立する主張の相手方にいくらかでも問題点があればそれで正しいとは言えない→どちらも同じ、正しい価値観や理想(大きな物語)は失われたという論じ方が目につき、理想に向けて少しずつでも努力しようという方向性を否定し冷笑する姿勢が目につきます。
監視社会は便利なツールで普通の人には監視は怖くない、監視があってこそ自由が守れるなどと論じられ、環境保護派は批判され、クローン人間や兵士のサイボーグ化は批判されず、権力は近代社会ではあからさまな強制力と捉えるべきではなく権力の遍在・内在が語られて現実を変革する方向性は見えないとされ、自由や平等は民主主義は様々な議論があり難しいとされます。
私には、どうも全体が、権力者や企業に対する批判や制約を緩める方向に向いているように思えます。
こういう本を子どもに読ませるとしたら、権力を見据えたり理想を語ることはなく、言葉遊びばかり達者で努力嫌いなニヒリストが育つことになると思うのですが。

岡本裕一朗 ちくま新書 2009年9月10日発行