父親が高名な作家で自分も小説家だが1冊単行本を出したきり書けないなど限りなく作者自身を示唆する設定の主人公(あだなの「アームー」だって「あ」の付く名前を想定してますしね)が、8歳年下の比較的純真な青年と同棲して弄びながら、自分は仕事もせずに高齢の母親に寄生してグータラ過ごしながら、妻子ある男との不倫を続けるという、身勝手ダメ女だった日々を、どこか甘い思いを込めつつ回想する小説。
あれこれ言い訳をしつつも自分が仕事をしないためにすることもなく時間をもてあました日々、明らかに性欲処理のためだけに都合のいい女としてキープしている不倫男に勝手な夢想をして呼ばれればいそいそと出かける日々、文句をいわずに付き合う青年「ズームー」に不満をつのらせ無意味な喧嘩を仕掛ける日々、主人公のそういう生活を、それを許容してきたズームーが原因であるかのように「ズームーデイズ」などと名付ける感性には、ちょっと呆れてしまいます。自分に都合の悪いというか客観的には人聞きの悪い過去が、いつか美化されて甘いあるいは甘酸っぱい想い出に変えられてしまう、そういうことは、まぁありがちなことではありますが。
34歳の設定なのが、突然「大リーグボール養成ギプス」なんていうのが出てきてビックリ。慌てて作者のプロフィールを見たら私と1歳違い。同じ世代なのねと思って読むとさらに考え込まされます。
井上荒野 小学館文庫 2008年11月12日発行(単行本は2007年)
あれこれ言い訳をしつつも自分が仕事をしないためにすることもなく時間をもてあました日々、明らかに性欲処理のためだけに都合のいい女としてキープしている不倫男に勝手な夢想をして呼ばれればいそいそと出かける日々、文句をいわずに付き合う青年「ズームー」に不満をつのらせ無意味な喧嘩を仕掛ける日々、主人公のそういう生活を、それを許容してきたズームーが原因であるかのように「ズームーデイズ」などと名付ける感性には、ちょっと呆れてしまいます。自分に都合の悪いというか客観的には人聞きの悪い過去が、いつか美化されて甘いあるいは甘酸っぱい想い出に変えられてしまう、そういうことは、まぁありがちなことではありますが。
34歳の設定なのが、突然「大リーグボール養成ギプス」なんていうのが出てきてビックリ。慌てて作者のプロフィールを見たら私と1歳違い。同じ世代なのねと思って読むとさらに考え込まされます。
井上荒野 小学館文庫 2008年11月12日発行(単行本は2007年)