「武士道シックスティーン」で剣道を通じて友情をはぐくんだ攻め一筋の武蔵オタクおやじ女子高生磯山香織と観の目で打ち時を待つ日本舞踊出身の西荻早苗が、早苗が家庭の事情で福岡に転校して、全中決勝戦で負けた磯山が宿敵とする黒岩伶那が通う日本屈指の強豪校福岡南高校に移って東と西に遠く離れて互いを気にかけながら剣道を続ける続編です。
攻め一筋だった磯山が無駄な動きをなくして一撃で仕留めることを指導されて待ちを覚え、打ち時を待つ西荻再度改め甲本が福岡南での猛稽古でパワーをつけ、ある意味で剣道のスタイルを近づけ、剣道に対する気持ちの面で互いを思い合う展開がいい感じです。孤高を保っていた磯山が部の強化に心を砕き、友人との和を心がけてきた甲本がルールギリギリのところで勝つことを最優先する福岡南のやり方に反発して孤立し、勝ちたい磯山は強豪の先輩の卒業で団体戦が勝てなくなり、勝負に興味を失う甲本は強いチームメイトに恵まれて団体戦を危うげなく勝ち続けるというらしくない展開の中で、それぞれが成長していく部分が青春小説しています。
シックスティーン同様、磯山の語りと甲本の語りが交互に展開しますが、2人が遠く離れているので、別々の話が同時進行で、シックスティーンよりも展開が大きいのですが、読み味はシックスティーンの方がまとまりとテンポのよさと軽快さで勝っているような気がしました。

誉田哲也 文藝春秋 2008年7月10日発行
武士道シックスティーンは2010年11月27日の記事で紹介しています。
攻め一筋だった磯山が無駄な動きをなくして一撃で仕留めることを指導されて待ちを覚え、打ち時を待つ西荻再度改め甲本が福岡南での猛稽古でパワーをつけ、ある意味で剣道のスタイルを近づけ、剣道に対する気持ちの面で互いを思い合う展開がいい感じです。孤高を保っていた磯山が部の強化に心を砕き、友人との和を心がけてきた甲本がルールギリギリのところで勝つことを最優先する福岡南のやり方に反発して孤立し、勝ちたい磯山は強豪の先輩の卒業で団体戦が勝てなくなり、勝負に興味を失う甲本は強いチームメイトに恵まれて団体戦を危うげなく勝ち続けるというらしくない展開の中で、それぞれが成長していく部分が青春小説しています。
シックスティーン同様、磯山の語りと甲本の語りが交互に展開しますが、2人が遠く離れているので、別々の話が同時進行で、シックスティーンよりも展開が大きいのですが、読み味はシックスティーンの方がまとまりとテンポのよさと軽快さで勝っているような気がしました。

誉田哲也 文藝春秋 2008年7月10日発行
武士道シックスティーンは2010年11月27日の記事で紹介しています。