東京から静岡県に引っ越してきた少女香坂仁美(フトミ)が、近隣の少年後藤心太(テンちゃん)、千穂(チーホ)、無量(ムリョ)らと戯れながら、次第に大人になっていく様子を描いた青春・性春小説。
「新潮」4回掲載分が各1章となり、それぞれ小2、小5、中2、高2の時という設定になっています。
仁美は一貫して心太に心惹かれながら、しかしそれは恋愛感情ではない特別な関係と位置づけ、思いをはせ、キスをし、心太が他の女性を関係するのを嫉妬しながらも、恋人にはならないというもどかしい展開が続きます。同時に仁美の立場からのそれぞれの年代での性の目覚めというか自慰への目覚めというかがテーマになっていて、その際のイメージというか妄想が、ちょっと新鮮に読めました。
各章の冒頭に主要な登場人物の死亡記事が配置されていて、小説本文には何ら影響しないのですが、登場人物の将来像というか人物像を少し膨らませています。死亡記事は特に関係なく見えますが、最後にリンクがあって、ちょっとニヤリとできます。フトミ、それじゃ紫の上だよ(いや女三の宮か)。
山田詠美 新潮社 2009年6月30日発行
「新潮」4回掲載分が各1章となり、それぞれ小2、小5、中2、高2の時という設定になっています。
仁美は一貫して心太に心惹かれながら、しかしそれは恋愛感情ではない特別な関係と位置づけ、思いをはせ、キスをし、心太が他の女性を関係するのを嫉妬しながらも、恋人にはならないというもどかしい展開が続きます。同時に仁美の立場からのそれぞれの年代での性の目覚めというか自慰への目覚めというかがテーマになっていて、その際のイメージというか妄想が、ちょっと新鮮に読めました。
各章の冒頭に主要な登場人物の死亡記事が配置されていて、小説本文には何ら影響しないのですが、登場人物の将来像というか人物像を少し膨らませています。死亡記事は特に関係なく見えますが、最後にリンクがあって、ちょっとニヤリとできます。フトミ、それじゃ紫の上だよ(いや女三の宮か)。
山田詠美 新潮社 2009年6月30日発行