武士道シックスティーンに始まる青春剣道小説シリーズの第3作。
神奈川の東松学園剣道部を率いるおやじキャラの剛の剣道に邁進する磯山香織と、西の名門福岡南高校に残り型破りの顧問吉野に見込まれながらもトップにはなれない甲本(西荻)早苗の友情を軸にしているのですが、「セブンティーン」で2人の剣道を近づけすぎたためか、「エイティーン」では、全中で磯山に勝った黒岩伶那と磯山の戦いがストーリー展開の山になっていて、早苗の影が少し薄くなっています。
「シックスティーン」「セブンティーン」で通してきた磯山と早苗の交互の語りに、「エイティーン」では、シリーズの外伝ともいうべき、緑子と岡巧の恋の末路、桐谷先生の来歴、吉野先生の過去、磯山から距離をおいた田原美緒の思いの4本が、それぞれの語りで挿入されています。シリーズの愛読者には、これまでの疑問が解かれ、その点では満足度が上がりますが、ストーリーはそこで途切れ、磯山と早苗の存在感が薄れる感じがします。インターハイに向けてきちんと盛り上げてはくれていますし、磯山、早苗、黒岩、そして田原の思いを切なく描いていて巧くまとめてはいるのですが。
高1の「シックスティーン」から始まっているので「エイティーン」で終わりかと思ってたんですが、「エイティーン」のラストを見ると、まだ続編があるのかなって感じですね。
誉田哲也 文藝春秋 2009年7月30日発行
神奈川の東松学園剣道部を率いるおやじキャラの剛の剣道に邁進する磯山香織と、西の名門福岡南高校に残り型破りの顧問吉野に見込まれながらもトップにはなれない甲本(西荻)早苗の友情を軸にしているのですが、「セブンティーン」で2人の剣道を近づけすぎたためか、「エイティーン」では、全中で磯山に勝った黒岩伶那と磯山の戦いがストーリー展開の山になっていて、早苗の影が少し薄くなっています。
「シックスティーン」「セブンティーン」で通してきた磯山と早苗の交互の語りに、「エイティーン」では、シリーズの外伝ともいうべき、緑子と岡巧の恋の末路、桐谷先生の来歴、吉野先生の過去、磯山から距離をおいた田原美緒の思いの4本が、それぞれの語りで挿入されています。シリーズの愛読者には、これまでの疑問が解かれ、その点では満足度が上がりますが、ストーリーはそこで途切れ、磯山と早苗の存在感が薄れる感じがします。インターハイに向けてきちんと盛り上げてはくれていますし、磯山、早苗、黒岩、そして田原の思いを切なく描いていて巧くまとめてはいるのですが。
高1の「シックスティーン」から始まっているので「エイティーン」で終わりかと思ってたんですが、「エイティーン」のラストを見ると、まだ続編があるのかなって感じですね。
誉田哲也 文藝春秋 2009年7月30日発行