伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

チーム・バチスタの栄光 上下

2014-01-26 21:52:13 | 小説
 2005年の第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作のメディカルミステリー。
 首都圏の端の桜宮市にある東城大学医学部付属病院で、平均成功率6割といわれる拡張型心筋症に対する左心室縮小形成術(通称バチスタ手術)で26例連続して成功していた桐生医師のチーム(チーム・バチスタ)で3例立て続けに術死が生じ、不定愁訴外来の万年講師田口公平が高階病院長から調査を命じられチームの聞き取りを行った後手術に立ち会うが、桐生の手技は完璧なのに田口の目の前でまた術死が生じ、原因解明は無理と泣きついた田口に高階病院長は厚労省のはぐれ者白鳥をあてがうが…という展開です。
 大学病院での力関係・人間関係、医療現場の繁忙と緊張と諦念の描写が、とても迫力があります。トリックスターの「厚労省の火喰い鳥」白鳥が、厚労省で残業を拒否して机を奪われ最上階の食堂の5番テーブルに居つき「大臣官房付」の辞令を渡され仕事はないから勝手に探せといわれているというあり得ない経歴で、人の神経を逆なでする無神経な俺様キャラで、読んでいていらつきますが、小説としてみる限りおもしろいところではあります。
 ミステリーとしても、医療技術・医療現場の状況の下での謎なので、読者が容易に推測できないという点が大きいかとは思いますが、終盤まで謎を楽しめ、読み甲斐があります。ただ、ありがちではありますが、犯人の動機・犯人像はあまり説得力がない感じがします。


海堂尊 宝島文庫 2007年11月26日発行 (単行本は2006年2月)

《田口・白鳥シリーズ》
1.チーム・バチスタの栄光:2014年1月26日の記事で紹介
2.ナイチンゲールの沈黙:2014年1月28日の記事で紹介
3.ジェネラル・ルージュの凱旋:2014年2月1日の記事で紹介
4.イノセント・ゲリラの祝祭:2014年2月14日の記事で紹介
5.アリアドネの弾丸:2014年2月14日の記事で紹介
6.ケルベロスの肖像:2013年12月9日の記事で紹介
コメント
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