旧約聖書に書かれている7つのエピソード、ノアの方舟と洪水伝説、出エジプト、エリコの征服、ダビデとゴリアトの一騎打ち、シシャクの遠征、アフェクの戦い、ヨナ書と大魚について、史実性の有無と物語に込められたメッセージを考察する本。
出エジプトについては、歴史の教科書でも、聖書の記載を史実と捉えているが、考古学的な根拠はなく、少なくとも旧約聖書に書かれている年代にあったとは考えられず、「唯一言えるのは、出エジプトは聖書の描写そのままの事件ではなかっただろう、ということである。ただしそのどこまでが事実でどこからがフィクションなのか、あるいはまったくのフィクションなのか、私たちにはそれを検証するための十分な道具も資料もない。これが高校世界史の教科書に史実として記載されている出エジプトという『事件』について、現在ある資料から言えることのすべてである」(67~68ページ)とされています。教科書だからといって無条件に信じてはいけないということですね。しょせん人間が作るものですからもともとそういうものとは思いますけど。
教科書と言えば、子どもの頃に、音楽でここで書かれているエリコの征服を語り伝える「ジェリコの戦い」という歌を歌わされ、三つ子の魂百まででまだ覚えています。当時も若干の違和感を覚えたのですが、ユダヤ民族の歴史的民族的宗教的主張の込められた物語に沿う歌なのだと再認識しました。ヨシュアに導かれたユダヤ民族に打ち負かされ征服される側からすれば、とてもけしからん歌と物語だと思うのですが。そうでなくても、あれほど好戦的な歌を、道徳の時間にはもっぱら平和教育を行っていた(大阪府教組の下でしたからね)先生方が許したのはどういうことだったかと、不思議に思います。
ダビデとゴリアト(ゴリアテ)については、旧約聖書自体がサムエル記下21章19節でダビデの家臣の1人エルハナンがゴリアトを打ち殺したとしていたり、歴代誌20章5節ではエルハナンがゴリアトの兄弟ラフミを打ち殺したとされているなど矛盾しているそうです(124~129ページ)。長い間聖書として読み継がれてきたのに意外に整理されていないのですね。
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長谷川修一 中公新書 2014年3月25日発行
出エジプトについては、歴史の教科書でも、聖書の記載を史実と捉えているが、考古学的な根拠はなく、少なくとも旧約聖書に書かれている年代にあったとは考えられず、「唯一言えるのは、出エジプトは聖書の描写そのままの事件ではなかっただろう、ということである。ただしそのどこまでが事実でどこからがフィクションなのか、あるいはまったくのフィクションなのか、私たちにはそれを検証するための十分な道具も資料もない。これが高校世界史の教科書に史実として記載されている出エジプトという『事件』について、現在ある資料から言えることのすべてである」(67~68ページ)とされています。教科書だからといって無条件に信じてはいけないということですね。しょせん人間が作るものですからもともとそういうものとは思いますけど。
教科書と言えば、子どもの頃に、音楽でここで書かれているエリコの征服を語り伝える「ジェリコの戦い」という歌を歌わされ、三つ子の魂百まででまだ覚えています。当時も若干の違和感を覚えたのですが、ユダヤ民族の歴史的民族的宗教的主張の込められた物語に沿う歌なのだと再認識しました。ヨシュアに導かれたユダヤ民族に打ち負かされ征服される側からすれば、とてもけしからん歌と物語だと思うのですが。そうでなくても、あれほど好戦的な歌を、道徳の時間にはもっぱら平和教育を行っていた(大阪府教組の下でしたからね)先生方が許したのはどういうことだったかと、不思議に思います。
ダビデとゴリアト(ゴリアテ)については、旧約聖書自体がサムエル記下21章19節でダビデの家臣の1人エルハナンがゴリアトを打ち殺したとしていたり、歴代誌20章5節ではエルハナンがゴリアトの兄弟ラフミを打ち殺したとされているなど矛盾しているそうです(124~129ページ)。長い間聖書として読み継がれてきたのに意外に整理されていないのですね。
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長谷川修一 中公新書 2014年3月25日発行