伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

ヴァンパイレーツ14 最後の海戦

2014-06-19 21:10:04 | 物語・ファンタジー・SF
 海賊船(ディアブロ号・タイガー号など)とその属する「海賊連盟」、血を吸う相手を殺さないようルール化している吸血海賊船(ヴァンパイレーツ)ノクターン号の「ノクターナルズ」と、ノクターン号に反旗を翻して独立したヴァンパイレーツのシドリオたち、ディアブロ号とノクターン号に命を救われた双子の兄弟コナーとグレースの運命で展開するファンタジー。
 日本語版14巻は、原作の完結編である6巻の後半で、日本語版としても完結となります。
 これまで不死身で、殺しても再生してきたシドリオらヴァンパイレーツ軍団の攻勢を、人間たちの海賊連盟と数で劣勢のノクターナルズがどうしのぎ、勝利を得ることができるのか、戦乱を終わらせるためには双子のどちらかが死ななければならないという予言はどうなるのか、という点が読者の関心の的になります。その点では、完結させるためには仕方がないとは言え、終盤でのヴァンパイレーツ、シドリオの滅び方はあっけない印象で、不死身の生命力が強調されてきた経緯からするとあまり納得できませんでした。海賊同盟・ノクターナルズ側の「切り札」も、もちろんもともとがヴァンパイアのファンタジーですから荒唐無稽な設定ですが、それを前提にしてもあんまりというか安直な感じがします。ヴァンパイアと人間のハーフの「ダンピール」という存在の特性や能力についてもきちんとした位置づけ・説明を欠いている印象が強く、困ったら新しいことができるようにしているように思えました。
 シドリオ軍を強くし過ぎ、ダンピールとか予言とか風呂敷を拡げたために収束が難しくなり、無理無理終わらせたというように、私には感じられました。


原題:VAMPIRATES:IMMORTAL WAR
ジャスティン・ソンパー 訳:海後礼子
岩崎書店 2014年2月28日発行 (原書は2011年)

13巻は2013年11月19日の記事で紹介しています。
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