オワンクラゲの緑色蛍光タンパク質GFP(Green Fluorescent Protein)の発見により2008年にノーベル化学賞を受賞した著者(私はこの本を読むまでそれを知りませんでしたけど)が、生物発光についてこれまでにわかっていることの概要を解説した本。
蛍や夜光虫、深海魚など光る生物の存在は広く知られており、好奇心をそそられるテーマなので、研究も進んでいるかと思うと、生物発光の研究者は世界でもたぶん千人くらいに過ぎず、その大多数は応用面の研究で、基礎科学である生物発光の生物学面の研究者は30~50人、化学面の研究者は10人以下と思われるとされています(36ページ)。
この本では生物発光の化学面、発光物質と発光(化学反応)の機序の発見・特定の歴史と実験法、実験経過などを中心に説明しています。発光物質の発見・特定には発光物質の抽出が必要となりますが、オワンクラゲの発光物質「イクオリン」の発見ではイクオリン5ミリグラムを精製するのにオワンクラゲ1万匹から抽出した発光物質を6か月かけて100回カラムを通して精製しなければならず(68~69ページ)、さらにイクオリンの発光機構を調べるためにその中の蛍光物質AF350の構造を決定するためには25万匹のオワンクラゲと5年の歳月を要した(70~75ページ)のだそうです。
生物発光についての説明と、その知識が得られる歴史、著者の実験経過、著者の経歴が入り交じり、やや読みにくい感じがしますし、化学的な解説部分は難しいように思えますが、研究者の少なさと実験の大変さは実感できました。
下村脩 朝日選書 2014年4月25日発行
蛍や夜光虫、深海魚など光る生物の存在は広く知られており、好奇心をそそられるテーマなので、研究も進んでいるかと思うと、生物発光の研究者は世界でもたぶん千人くらいに過ぎず、その大多数は応用面の研究で、基礎科学である生物発光の生物学面の研究者は30~50人、化学面の研究者は10人以下と思われるとされています(36ページ)。
この本では生物発光の化学面、発光物質と発光(化学反応)の機序の発見・特定の歴史と実験法、実験経過などを中心に説明しています。発光物質の発見・特定には発光物質の抽出が必要となりますが、オワンクラゲの発光物質「イクオリン」の発見ではイクオリン5ミリグラムを精製するのにオワンクラゲ1万匹から抽出した発光物質を6か月かけて100回カラムを通して精製しなければならず(68~69ページ)、さらにイクオリンの発光機構を調べるためにその中の蛍光物質AF350の構造を決定するためには25万匹のオワンクラゲと5年の歳月を要した(70~75ページ)のだそうです。
生物発光についての説明と、その知識が得られる歴史、著者の実験経過、著者の経歴が入り交じり、やや読みにくい感じがしますし、化学的な解説部分は難しいように思えますが、研究者の少なさと実験の大変さは実感できました。
下村脩 朝日選書 2014年4月25日発行