伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

定年後の起業術

2014-06-15 22:42:07 | 実用書・ビジネス書
 定年後の起業についてのアドバイス本。
 「定年後の起業術」と銘打ち、表紙見返しには「定年を機に起業にチャレンジし、老後に生き甲斐を感じられる第二の人生を送りたい-そう考えている熟年のみなさんに、失敗せず、確実に起業を成し遂げる方法を伝授します。」と書かれています。しかし、この本で積極的に起業のヒントとして言っているのは、ボーダーレス、タニマチ、絆で、しかもタニマチはむしろ自分では起業せずに他人を財政支援するという選択です。この本で書かれていることは、どちらかというと、こういうことだと失敗するという話で、むしろ、日本で自営業者が成功する道がいかに険しいかの方を実感します。
 著者は「まえがき」で「でも、しか」で行う起業は危険だと指摘し、不退転の決意で起業しているかを問い、「『絶対に成功させる』と思わない限り、少しの成功も望めません」と述べています(9~10ページ)。
 欧米の企業は市場規模が小さすぎて利益が出にくい「ニッチ(隙間)」にはあまり手を出さないが、日本の大企業は皆新市場を広く開拓しようとするよりも既存の市場の隙間を埋めようと躍起になる、徒手空拳で成り上がる新興勢力をアメリカでは評価するのに対して、日本では大企業が全力で潰しにかかる。日本は世界で一番起業や独立が難しい土地柄だ(29~31ページ)、だから起業の成功のためには大企業と組め(24~28ページ)というのですから、この本は、起業の勧めではなく、日本での起業はとっても難しいし、成功する道は面白くもないよということを諭す本なのだと思います。


津田倫男 ちくま新書 2014年2月10日発行
コメント
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