伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

北方近世美術叢書Ⅴ ネーデルラント美術の宇宙

2021-01-27 23:34:43 | 人文・社会科学系
 15世紀のネーデルラント美術(絵画)がイタリア、フランス、神聖ローマ帝国等に拡がり影響を与えていった様子を、①「ポルティナーリ祭壇画」の制作の経緯とその後の移動、②ネーデルラント絵画収集家となったハプスブルク家の娘マルグリット・ドートリッシュ、③ルネサンス期の芸術家の移動、④フランソワ1世の肖像画、⑤イーゼンハイム祭壇画の成り立ちとその利用と影響といった5つのテーマ/切り口で論じた本。
 一応統一テーマが設定されてはいるのですが、実態は学者さんがそれぞれの専門分野・研究対象について書いた論文集という感じで、つながりやストーリーのある読み物ではありません。北方近世美術叢書というシリーズで5冊+番外編1冊の構成なんですが、全冊がネーデルラント美術というのも、著者の好みが勝ちすぎている感じがします。
 ネーデルラント美術というと17世紀のオランダ風俗画と呼ばれるもの(フェルメールとか、ヤン・ステーンとか、ピーテル・デ・ホーホとか)がまず思い浮かぶというか、それしか知らなかったのですが、15世紀や16世紀の祭壇画・宗教画、肖像画が多数紹介されていて、初めて見る作品の高い技術/技巧に驚き感心しました。


今井澄子責任編集 ありな書房 2020年11月20日発行
コメント
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