手塚治虫の漫画「ブラック・ジャック」(1973年11月19日~1983年10月14日:「週刊少年チャンピオン」連載)での天才外科医ブラック・ジャックの診断、診療、手術を、現在の医療知識に基づいて評価し論じた本。
医師免許は持っていたが臨床医としての経験がない手塚治虫が1970年代に書いた漫画が、現在の医療水準で見ても遜色がなく、または高い問題提起を行っていることを著者は賞賛しています。そのあたりは、私にはわからず、ただ昨今の医療はすごく細かく病状や治療法が分化しているのだなと感じただけですが。
インターネットの普及と医療水準の向上により社会の/患者の要求水準が高くなっている現在、死ぬリスクが高ければ治療により生じるリスクがあってもリスクを取って治療するのが当然ということにはならなくなってきている、死ぬリスクがどうであれ治療介入による悪い結果の責任を患者側が医者を咎めてくる可能性があるので医者が防御的な価値判断をする傾向にあることが指摘されています(176~179ページ)。専門分野と素人の知識の増加、知ったかぶりの素人の増長と専門家の困惑、職人気質/プロ意識の複雑で微妙な切ない関係…医療のみならず様々な領域で生じていることかなと思いました。
國松淳和 金芳堂 2020年4月20日発行
医師免許は持っていたが臨床医としての経験がない手塚治虫が1970年代に書いた漫画が、現在の医療水準で見ても遜色がなく、または高い問題提起を行っていることを著者は賞賛しています。そのあたりは、私にはわからず、ただ昨今の医療はすごく細かく病状や治療法が分化しているのだなと感じただけですが。
インターネットの普及と医療水準の向上により社会の/患者の要求水準が高くなっている現在、死ぬリスクが高ければ治療により生じるリスクがあってもリスクを取って治療するのが当然ということにはならなくなってきている、死ぬリスクがどうであれ治療介入による悪い結果の責任を患者側が医者を咎めてくる可能性があるので医者が防御的な価値判断をする傾向にあることが指摘されています(176~179ページ)。専門分野と素人の知識の増加、知ったかぶりの素人の増長と専門家の困惑、職人気質/プロ意識の複雑で微妙な切ない関係…医療のみならず様々な領域で生じていることかなと思いました。
國松淳和 金芳堂 2020年4月20日発行