伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

トコトンやさしい香料の本

2023-12-01 20:48:35 | 実用書・ビジネス書
 香料の歴史や日常生活との関わり、香料物質の特性・抽出・合成、食品や生活用品に用いられている香料に関する知識等を解説した本。
 見開き2ページ(右ページに文、左ページに図表類)68項目で読みやすくしようと努力してはいますが、第3章の香り成分の特性あたりは、「トコトンやさしい」は日刊工業新聞社の本を気軽に読む層の人々にとってのやさしさで、有機物の構造式(ベンゼン環の亀の子とか)に苦手意識を持っているような人にはやさしくありません。
 「現在では質量分析(MS)と連動したGC-MSを用いると、調合香料の90%以上の成分を解明することも可能です。調香師の創作処方の秘密を守ることができるブラックボックスは、わずか数%」(32ページ)というのに、門外漢としては驚きました。最先端のガスクロマトグラフィーでも香料の成分を完全には特定できないんですね。人間の鼻がまだまだ機械に勝てる、調香師という仕事がまだまだ生き延びられるのだと感心しました。
 食べる前だけでなくて、食べたものの匂いが喉の奥から鼻へ抜ける空気に乗って鼻腔の嗅覚受容体でキャッチされて匂いを感じる「レトロネーザルアロマ」(あと香、戻り香)は人類しか持っていない感じ方なのだとか(36~37ページ)。鼻腔と喉(食道)がつながっていれば感じるのじゃないかと思うのですが、人類しか感じないのだとすれば不思議です。


光田恵編著 日刊工業新聞社 今日からモノ知りシリーズ 2023年9月29日発行
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