2023年本屋大賞受賞作「汝、星のごとく」の幼い少女結と2人暮らしする高校教師北原のそこに至る前日譚(今風に言うエピソード0)の「春に翔ぶ」、青埜櫂が書き残した原稿「汝、星のごとく」の出版とそのキャンペーンに賭ける編集者二階堂絵理と植木渋柿の奮闘を描く表題作「星を編む」、その後の北原と暁海らを描く「波を渡る」の中編3作からなる続編ないし番外編。
「春に翔ぶ」と「波を渡る」が「汝、星のごとく」の読者の関心に応えるものと思いますが、「春に翔ぶ」のどこか意地っ張りな若さ故の勢いでというストーリーを読んでも、「波を渡る」で長年を経て暁海と性的な関係を結ぶに至るなど悟りきっているわけではないというのを読んでもなお、北原の生き様と心境にはついていけない感が残り、中高年男性読者としてはむしろ植木渋柿の視点がなじみやすく、長年連れ添った妻の醒めた諦めの仕草が今度の休みに二人で温泉に行こうと提案したところでじわりと笑みが広がっていきそこへ仕事の連絡が来て妻の笑顔が引っ込む(175ページ)というあたりの描写に微笑ましさと苦々しさを感じました。
凪良ゆう 講談社 2023年11月6日発行
「小説現代」掲載
2024年本屋大賞第8位
「春に翔ぶ」と「波を渡る」が「汝、星のごとく」の読者の関心に応えるものと思いますが、「春に翔ぶ」のどこか意地っ張りな若さ故の勢いでというストーリーを読んでも、「波を渡る」で長年を経て暁海と性的な関係を結ぶに至るなど悟りきっているわけではないというのを読んでもなお、北原の生き様と心境にはついていけない感が残り、中高年男性読者としてはむしろ植木渋柿の視点がなじみやすく、長年連れ添った妻の醒めた諦めの仕草が今度の休みに二人で温泉に行こうと提案したところでじわりと笑みが広がっていきそこへ仕事の連絡が来て妻の笑顔が引っ込む(175ページ)というあたりの描写に微笑ましさと苦々しさを感じました。
凪良ゆう 講談社 2023年11月6日発行
「小説現代」掲載
2024年本屋大賞第8位
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