仕事人間のエリート夫瞭平が突然蒸発し、一人息子にも出て行かれた専業主婦の笠松睦子が、夫を蔑ろにしてきたことや息子を甘やかすとともに干渉しすぎたことを後悔しつつ、仕事を始め、まわりに当たり散らし依存してきた自分を一歩引いて見つめ直すという専業主婦成長小説。
基本的に妻側の視点と妻側のストーリーですし、結局は妻側に都合よく展開するのですが、瞭平の蒸発が、仕事一筋に走り続けた疲労の蓄積とともに、家庭での居場所の喪失、たまに早く帰ると妻には「あら、やだ。おとうさん、ご飯食べるの?なら、ご飯、"チン"だわ。え?ビール?入れてないないわよ。だって帰ってくると思ってなかったもの。いいじゃないの。毎晩外で飲んでるんだし、おいしいもの食べてるんだから」と言われ、息子には「え、風呂?待ってよ。今、俺がはいろうとしてたんだよ。・・・予定狂うなあ」と言われ(54ページ)というのが引き金を引きぷつんと切れたというところ、中年男のツボ押さえてるなぁと感じます。年齢的にもほぼ瞭平と同じおじさんには身につまされるなぁ。
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明野照葉 文藝春秋 2010年2月25日発行
基本的に妻側の視点と妻側のストーリーですし、結局は妻側に都合よく展開するのですが、瞭平の蒸発が、仕事一筋に走り続けた疲労の蓄積とともに、家庭での居場所の喪失、たまに早く帰ると妻には「あら、やだ。おとうさん、ご飯食べるの?なら、ご飯、"チン"だわ。え?ビール?入れてないないわよ。だって帰ってくると思ってなかったもの。いいじゃないの。毎晩外で飲んでるんだし、おいしいもの食べてるんだから」と言われ、息子には「え、風呂?待ってよ。今、俺がはいろうとしてたんだよ。・・・予定狂うなあ」と言われ(54ページ)というのが引き金を引きぷつんと切れたというところ、中年男のツボ押さえてるなぁと感じます。年齢的にもほぼ瞭平と同じおじさんには身につまされるなぁ。
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明野照葉 文藝春秋 2010年2月25日発行
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