伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

黄昏の百合の骨

2023-09-11 21:43:32 | 小説
 「麦の海に沈む果実」の釧路湿原内の学園を出てイギリスに留学していた水野理瀬が、祖母が死にその遺言で祖母と義理のおば(祖母の夫の連れ子)の梨南子・梨耶子姉妹が住んでいた周囲の住民から白百合荘とも魔女の家とも呼ばれる長崎の坂の上の洋館に6か月居住することとなり、祖母が生前説明してくれなかった「ジュピター」なるものの秘密をめぐって、隠された財宝の存在を疑う義理のおばたち、従兄弟で大学病院の勤務医の稔と起業した大学院生の亘、近所に住む理瀬の同級生やその弟、幼なじみらが錯綜するミステリー小説。
 りりしく逞しく育った理瀬が、16歳の高校生ながらに同級生はもちろんのこと、年上の者たちを超えた洞察力、胆力を示して謎や事件に取り組んでいく姿に好感します。
 正義と悪で割り切れない、暗闇の「こっち側/そっち側」を飲み込む覚悟、それに対して「自覚していない悪」をどう受け止めるかなどを考えさせられました。


恩田陸 講談社文庫 2007年4月13日発行(単行本は2004年3月)


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