東北大学災害科学国際研究所に所属する研究者たち(一部別の機関の研究者を含む)が、各自が担当する東日本大震災とその後の防災に関する研究について紹介した本。
基本的に、4ページで、「はじめに」「第1節 東日本大震災が明らかにした問題」「何が起きたのか?」「被害の実態」「第2節 震災が破壊したパラダイム」「従来までの常識と必要だった対応」「第3節 新しいアプローチ」「第4節 到達点とこれから」「新たな災害科学の手法」「おわりに~執筆者から」というフォーマットで書かれており(そうでない人もいますが)、読後感としては、学問研究というのは実にさまざまなテーマ領域があり学者研究者はあらゆることを対象とするのだなと感じ、東日本大震災に関してもさまざまな問題があると気づかせ視野を広げる本だなと思いました。他方において研究者の志も表現力もさまざまで、同じ4ページでも、問題提起から研究成果など新たな発見を感じさせてくれるものもあれば、自分の研究の重要さをアピールする以外の内容が読み取りにくいものなど玉石混淆だなと思いました。東京電力との連携ができたと喜び東京電力の言い分をほぼそのまま書いているもの(33~38ページ)など、まぁ学者研究者にはもともと原発推進派がいるわけですけど、大学でも研究者の志もいろいろだなと考えさせられます。コラムで「スポンサーである国や県、企業に忖度するような事業や研究は、ろくな成果をもたらすことができない」と指摘している(141ページ)点が救いというか、清々しいですが。
「自然災害はどの災害をとっても同じものはない。起きる場所や時間帯・季節によって被害の形は異なる。時間の経過によって状況は変化する。だから、『こうすれば良いですよ』と教える正解は無いのである」(120ページ)という記述を読んで、そのとおりだと思うと同時に、この本のテーマとは全然関係ないのですが、私たち弁護士が扱う事件と裁判についても当てはまる表現だと思いました。裁判でも1つ1つの事件は同じではなく、事件ごとにポイントになる事実や問題点、放置した場合の見通し(被害)は異なってくるし、時間の経過・裁判の展開で状況は変化しますので、すべての事件に当てはまる正解がないのはもちろん、他の事件で正解だったこともその事件で当てはまるとは言えません。考え込まれた指摘には、通じるものがあるなぁという感慨です。
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東北大学災害科学国際研究所編 東北大学出版会 2021年3月11日発行
基本的に、4ページで、「はじめに」「第1節 東日本大震災が明らかにした問題」「何が起きたのか?」「被害の実態」「第2節 震災が破壊したパラダイム」「従来までの常識と必要だった対応」「第3節 新しいアプローチ」「第4節 到達点とこれから」「新たな災害科学の手法」「おわりに~執筆者から」というフォーマットで書かれており(そうでない人もいますが)、読後感としては、学問研究というのは実にさまざまなテーマ領域があり学者研究者はあらゆることを対象とするのだなと感じ、東日本大震災に関してもさまざまな問題があると気づかせ視野を広げる本だなと思いました。他方において研究者の志も表現力もさまざまで、同じ4ページでも、問題提起から研究成果など新たな発見を感じさせてくれるものもあれば、自分の研究の重要さをアピールする以外の内容が読み取りにくいものなど玉石混淆だなと思いました。東京電力との連携ができたと喜び東京電力の言い分をほぼそのまま書いているもの(33~38ページ)など、まぁ学者研究者にはもともと原発推進派がいるわけですけど、大学でも研究者の志もいろいろだなと考えさせられます。コラムで「スポンサーである国や県、企業に忖度するような事業や研究は、ろくな成果をもたらすことができない」と指摘している(141ページ)点が救いというか、清々しいですが。
「自然災害はどの災害をとっても同じものはない。起きる場所や時間帯・季節によって被害の形は異なる。時間の経過によって状況は変化する。だから、『こうすれば良いですよ』と教える正解は無いのである」(120ページ)という記述を読んで、そのとおりだと思うと同時に、この本のテーマとは全然関係ないのですが、私たち弁護士が扱う事件と裁判についても当てはまる表現だと思いました。裁判でも1つ1つの事件は同じではなく、事件ごとにポイントになる事実や問題点、放置した場合の見通し(被害)は異なってくるし、時間の経過・裁判の展開で状況は変化しますので、すべての事件に当てはまる正解がないのはもちろん、他の事件で正解だったこともその事件で当てはまるとは言えません。考え込まれた指摘には、通じるものがあるなぁという感慨です。
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東北大学災害科学国際研究所編 東北大学出版会 2021年3月11日発行
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