パワハラを受けた労働者の救済方法と闘い方などを、労働事件を専門とする弁護士事務所の新人弁護士を主人公とする小説風の形で解説した本。
一般読者向けに、パワハラと闘う意志というか希望を持たせるために、裁判や労災認定の一般的な感覚よりは労働者に有利に解決される流れになっている印象を持ちます。パワハラによるうつについて、目撃証言や録音などの証拠がないケースで、裁判で事実が認められないケースも扱っていますが、そのケースでも本人の供述などから裁判所が一定の和解を勧めて和解金が取れた結果とされ、さらにはその後目撃証人を得て労災では逆転して認定を受けたり、他のケースでも労災が認められる結果になっています。あとがきでも「現実には、この書籍で紹介した事件のように、うまく労災の支給決定がおりたり、裁判で望ましい結論が得られたりすることはまれです。」と書かれています(230ページ)。そのあたりには、注意したいところですが、青少年向けの読み物としてはかなり踏み込んで裁判や労災の実務を紹介し、わかりやすく書かれていて、多くの青少年に読んで欲しいと思える本です。
サブタイトルが「労働安全衛生法指南」とされていて、労働安全衛生法の説明自体は、一般向けの本としては詳しめに書いてはあるのですが、タイトルのパワハラとの関係で、私にはパワハラの事件で労働安全衛生法をどう使うのかということが論じられているのかと期待して読んだのですけど、そこはあまり書かれておらず、その期待は外れました。
笹山尚人 岩波ジュニア新書 2013年11月20日発行
一般読者向けに、パワハラと闘う意志というか希望を持たせるために、裁判や労災認定の一般的な感覚よりは労働者に有利に解決される流れになっている印象を持ちます。パワハラによるうつについて、目撃証言や録音などの証拠がないケースで、裁判で事実が認められないケースも扱っていますが、そのケースでも本人の供述などから裁判所が一定の和解を勧めて和解金が取れた結果とされ、さらにはその後目撃証人を得て労災では逆転して認定を受けたり、他のケースでも労災が認められる結果になっています。あとがきでも「現実には、この書籍で紹介した事件のように、うまく労災の支給決定がおりたり、裁判で望ましい結論が得られたりすることはまれです。」と書かれています(230ページ)。そのあたりには、注意したいところですが、青少年向けの読み物としてはかなり踏み込んで裁判や労災の実務を紹介し、わかりやすく書かれていて、多くの青少年に読んで欲しいと思える本です。
サブタイトルが「労働安全衛生法指南」とされていて、労働安全衛生法の説明自体は、一般向けの本としては詳しめに書いてはあるのですが、タイトルのパワハラとの関係で、私にはパワハラの事件で労働安全衛生法をどう使うのかということが論じられているのかと期待して読んだのですけど、そこはあまり書かれておらず、その期待は外れました。
笹山尚人 岩波ジュニア新書 2013年11月20日発行